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躍る剣鉾 差し手観察ノート#001 

2015-10-04 | GRAIN project

Japanese Somatic Education


剣鉾差しの集中練習が始まっています。

剣鉾差しは、特殊な足運びをすることで、先端にある剣先に似た”まねき”と呼ばれる部分の揺れをおこします。そして、飾りの下にある鈴と連動をはかり、音を出します。差し手の醍醐味は、一定のリズムで澄み渡った音を鳴らすことです。

□今年の練習風景動画

https://www.youtube.com/attribution_link?a=updOgftWZoc&u=/watch?v%3DVv0wTFzDeJA%26feature%3Dshare


この剣鉾ですが、種類がいくつもあり、その鉾一つ一つには、習性や性格があります。
 鉾の古さ、長さ、重さ等によっても習性や性格は、変化します。自分の体の中心軸と鉾の中心軸を合わせる作業を【芯】をとると言いますが、差し手は、まず鉾の習性を理解し、芯をとります。そして、その日の身体の軸のとれ具合とその日に差す鉾の芯をよく観察し、両者の芯をとります。芯を取るだけでは、鈴は鳴らず、 せっかくとれた芯を崩しては、とり、また、崩してはとり進みます。そうすることで、 まねきが揺れはじめ鈴が鳴る仕組みです。



 

 

”まねき”は、自分よがりになり、揺らそうとしても微動たりしてくれません。
では、どうしたら”まねき”がまねいてくれるようになるのでしょうか。それには、自己の内的身体感覚の観察、他者からの外的身体感覚の観察、前両者を繋げる周囲の環境への配慮のような3つ要素を取り入れる必要があります。

 

まず、その日の自分の心身のコンディションを注意深く観察する事はもとより、差し手仲間の客観的な視点の観察が一役も二役もかっています。差して仲間からの「鉾が少し前に倒れてんでー、右に少し身体をむけよかー、風、右からキてるしきーつけてー、鉾に行き先きいてー。」等の声掛けによって差し手は、主観的にとらえられなかった芯のズレを仲間差し手の客観的な観察の存在で、主観的要素が強かった観察を全体的な観察へと変化させる援助をします。


時には、路地やビルの間に起こるビル風のような突風がふき、環境的な観察を要する時の手助けがあったり、
また、差し手を故意にちょっと笑わせて、肩に力の入っている新米差し手に先輩差し手が冗談を言ってリラックスさせるといった裏技も大きな隠れ援助のひとつです。

このように、
鉾と差し手と仲間差し手と自然環境のチームワーク(観察や相互関係)の下、剣鉾は差されます。

日本では、ラグビー等のチーム制のスポーツが今、正に盛り上がりを見せていますが、剣鉾のような日本古来のチーム制スポーツ?も秋のよき気候のもと楽しむのも、いかがでしょうか。

 


(写真:吉田神社大祭にむけの練習風景)

★10月5日より、毎日19時より吉田神社境内にて集中練習。

★大祭は、10月11日吉田神社より巡幸開始。