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罰についての手紙  聖ヨハネ・ボスコ(ドンボスコ)

2023-01-24 22:13:33 | 格言・みことば
「一八八三年の罰についての手紙」聖ヨハネ・ボスコ(ドンボスコ)

一、他の手段を尽くしたのちでなければ決して罰しないこと

 私の愛する子どもたちよ、私は教育者としての長年の生活では、何回も次の事実を認めざるをえなかった。すなわち、耐えるよりも怒ることのほうが楽であることを、子供を納得させるよりも罰でおどかすほうが簡単であることを、また言うことをきかない子供達を寛大な態度とあたたかい心で忍耐強く正すよりも、罰するほうが私たちの短気と傲慢にとっては都合がよいことを認めざるをえなかったのである。

 私があなた方に勧めたい愛は、使徒聖パウロが当時の信者に示したあの愛である。彼らは信者としてまだ未熟で、使徒の熱意にすなおに応えなかったので、聖パウロはいっそう愛にかられて、彼らのために悲しんだり、彼らに懇願したりしていたのである。

 そこで、私は全校長とすべての先生方に勧めたい。生徒を正す場合、まず父の心でやって下さい。そしておおやけではなく、個人的にやりなさい。つまずきを防ぐ、あるいはつまずきを償うため直接生徒をおおやけに叱らないでください。

 最初の忠告で効きめがないなら、当の生徒に対してもっと影響力のある他の先生にたのんで、その力をかりるようにして、また最後に神のおん助けも願いなさい。サレジオ会員は、いつもモーゼのようであって欲しい。すなわち祈りでもって、民の罪に対して憤っておられる神をなだめようとしていたモーゼのようであって欲しい。私の経験から言えば、他の手段を試みないで、いきなり課す罰は、まれにしか役立たない。聖グレゴリオが言っている通り、人の心を力で攻めおとすことは不可能である。それは攻めにくい要塞のようなものであるから、心に入り込むには、愛情とやさしさしかないのである。

 善を勧め、悪を止めることをやめないでください。しかしいつもやさしく懸命にやること、そして忍耐強く愛情でもってやること。そうすれば神は最もむずかしい人の心をかちとる恵みを与えてくださるであろう。もちろんこれは多くの場合にまだ若い先生方には、簡単に見い出せない理想である。若い先生たちの中には、効きめをかまわずに、気持ちにまかせて罰をくわえてしまうことがある。または教えることに失望して何でもなげ出してしまうか、あるいは正否を考えずにいたずらに、罰に走ってしまうことがある。その結果悪が広がっていき、良い生徒も不満を感じて、せっかく悪をなおそうと思った先生自身も、なにも出来なくなるのである。

 ここで私の経験を申し上げよう。がんこでどんな良い勧めも受け入れず、まったく見込みがないと思われた生徒にしばしば出会うことがあった。もはや厳しい手段をとるよりほかないと思った時、最後に愛の手段をつかってみたら、この生徒たちもついに心を動かしたのである。

 時として生徒が忠告を受け入れたくないように見えるが、実はそうではない。生徒は心の中に忠告に従いたい気持はあるが、しかし私たちは生徒に対して、すぐに厳しいつぐないをあまりにも厳格に要求することによって、結局すべてを失敗に終らせてしまうのである。やはり生徒にしてみれば悪意よりも、不注意からあやまちをおかしたので、どうしてこんな罰を受けなければならないかと考えることもあるであろう。

 ある時私はこういう小さな反逆者を呼んでみて、どうしてこういう態度をとるかと聞きてみた。すると「何々先生からにらまれている」とか、「ひどい仕打ちをうけている」とかいうような返事を受けた。そこで私が公平に問題を調べてみると、子供の責任はそれ程ではないか、または子供に全然非がなかったことを認めなければならなかったのである。

 とすると、生徒が従わなかったことは、私たち先生の側に何らかの責任があったことを残念ながらみとめなければならない。生徒に対して沈黙と罰と正確さと盲目的で早急な従順を要求している先生は、かえってしばしば私と他の目上の忠告を平気で無視したりする先生であることに気付くことがある。また生徒に対して厳しすぎる先生が、自分自身にはきわめて甘いということも、認めなければならない事がある。そこで、もし私たちが正しく命令できるようになりたいなら、まず従う事が出来るようにならなければならない。恐れられるよりも、まず愛されるようにすべきである。

 しかしそれでもなお止むをえず罰を与えざるをえない事がある。ある気質を正すには、きびしい方法しかないからである。しかしこの場合大切なのは、感情を完全に排して行動することである。そのために次の勧めが必要となる。






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