三月末、まだ桜にはちょっと早い頃、久しぶりに、横浜・山手から根岸競馬場跡を訪れてみた。
まずは用事があったのだ。大学時代から続く「三人会」の会場探し。二年ぶりに、今年は「三人会」をやろうと約束している。前回は横浜だったけど、海が見えないところだった。それで、「今度は海の見えるところ」でやろうと注文がついた。

<ベイブリッジ>
これがなかなか難しい。今までの経験でいうと、食事をしながら話が弾んでのんびりやると、まあ2時間はかかる。高級なホテルで部屋を取ると、目ん玉が飛びでる。かといって、海の見える流行りのレストランでは、1時間もいれば追い出されてしまう。海の見える良い席だと、よけいに追い立てられる。
みなとみらいや山下公園のホテルなんかには、とても手が出ない。何とか考えて、あまり流行そうにない、眺めのいい場所を当ってみた。港の見える丘公園は、海が見える場所だとは知っていた。このあたりに何処かないかと、ロケハンに出た。
2、3当たって、なんとか落ち着いた場所を探し当てた。個室を借りても、なんとか僕たちにも払えそうだ。食事が出来て、2時間半はOKとか。やっと、場所は確保できた。あとは、気候のいい時期を、皆と話して決めればいい。夏はいやだから、秋口になるだろう。これで、一安心。
一人でコーヒーを飲んで、さあ帰ろうかと思ったが、素晴らしい天気だ。このまま帰るのはもったいない。さて、と考えたら、そうだ、競馬場に行こうと閃いた。

<グーグルアース>
山手の丘から尾根道をたどると、日本で初めて、洋式競馬場が作られた根岸台に至る。調べると、ここに慶応3年、1987年に外国人向けの横浜競馬場が出来たとある。古い歴史を持った競馬場跡だ。勿論、今は馬は走っていない。ジョギングの大人と、ガキたちが大きな声を出しながら走っている根岸森林公園。お飾りで、馬の博物館も存在している。
ここは、僕の子供たちがチビだったころ、何度か連れて来ていた。広い草原が広がり、周りを林が囲んでいる。まさに森林公園だ。
グーグルの鳥瞰図でもわかる通り、楕円形の競馬場のコースの跡が、明確に残っている。それが外周の道になり、その内側は草原だ。子供たちと凧を揚げ、ボール遊びをしたのだと思い出す。僕の子供たちも、君たちの子供を連れて遊びに来ているのだろうか。

<草原>
心臓君のご機嫌を伺いながら、平たいところを選んで、なんとか、競馬場の観覧席(スタンド)の跡の残るはしっこまで行ってみようと、草原を横切った。子供連れのお母さんのグループや、学生たちのグループや、犬を連れた家族づれたちが、場所を選んで広い草原と周囲の林を楽しんでいる。大きなピレニアン犬の白い顔も見える。小さなテントを張って、子供を寝かせている家族もいる。のびやかな、空気が流れていた。
観覧席(スタンド)は、米軍のフェンスで仕切られた向こう側に在って、なかなか、構図が決まらない。エイヤと撮ったのが、この写真。

<フェンスの中の観覧席跡>
レースコースを一周歩いてみようかと思ったが、やめておいた。結構、起伏があるのだ。東京競馬場とか、中山とかのようにほとんどまっ平らというわけではない。昔の馬は、この山坂のあるコースを走っていたのだと知った。辛かったかも。
染井吉野に時期には早くて、早咲きの枝垂桜が鮮やかだった。

<枝垂桜>
戦後、米軍に占領されて、住宅地になっていた周囲も、昨年(2015)、返還されたはずだけど、競馬場として中心の観覧席はフェンスの中。近寄れない。
もう一つ思い出がよみがえった。この公園の外に、米軍の消防署があって、そこには、日本の真っ赤な消防車ではなく、アメリカではお馴染みの「黄色い消防車」がいたのを訪ねてみようと車を走らせた。しかし、残念。住宅地が返還されたと一緒に、役目を終えてシャッターが閉まっていた。

<米軍の黄色い消防車>
帰り道のドルフィンは、まだ健在だった。でも、工場群がもうせんよりもっと沖まで出張ったから、美しい海は見られないだろう。もしかすると、工場群が見えるテラス席になってしまっているかもしれないと、ふと思った。
<写真の黄色い消防車は、 「レッド・インパルス」の消防車ブログのオーナーの了解を得て、借用しています。
URL: http://blogs.yahoo.co.jp/fire1143ts/12988253.html >
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