2/22 しわ


帰りに近くの居酒屋で食した島寿司。
鹿児島のすしは、漬けのネタにわさびではなく、辛子。
まろやかな酢飯と辛味が美味。

ジブリ美術館ライブラリー提供の映画「しわ」を見ました。

スペイン人イラストレーター、パコ・ロカの漫画を原作に、同じくスペインのアニメーター、イグシオ・フェレーラスが監督した長編アニメーション。
上映初日ではありましたが、いつもの映画館の様子なら大丈夫と決め込み、上映ギリギリに行ったら、見たこともないほど超長蛇の列!
日本でこんなにも認知症に興味を持つ人がいるのかしら?とただただ驚くばかり。


そう、これはスペインで作られた「認知症」をテーマにした作品。

作品のメインキャラクターであるエミリオは、地方銀行の支店長を務めた真面目人間。定年後は息子夫婦と暮らしていたが、老化に伴い次第に認知能力が低下し、共に暮らすことに疲れた家族によって、(おそらく日本でいう)養護老人ホームに入居することに。
ホームは個室ではなく、相部屋となっていて、同室の男性ミゲルは、家族を持たない自由人。お金に抜け目のない性格で、同じフロアの入居者の認知レベルを把握して、(本人は優しさだというが)お金を巻き上げる的な行為を常習的に行っている強者。

この2人の人間模様とエミリオのアルツハイマー(認知症)の進行によって、物語は展開されていきます。詳細はぜひ、映画館で。


さて、作品から感じたこととして、
ブラックに描かれている面もありますが、日本に(たとえばうちの施設)置き換えてみても、ありそうな場面やキャラクターの心情が心に突き刺さってきます。

自分自身で老いていく事を感じつつも、家族やまわりの人にはちゃんとしているところを見せたいエミリオ。そこにはほころびがちらついていて、見ていて痛々しい。

ちょっとした事が思い出せなかったり、出来なかったりする自分にいらついて、焦りと不安をいつも感じている。

今の自分にきちんと向き合えないまま、認知症の症状は進行していき、
そんな自分と葛藤しているエミリオの様子が、うちの入居者と重なってきます。


施設内でよく耳にするのが、
「もう、ぼけちゃってさ」とか「バカになっちゃったからね」という言葉。
実感から出る辛さなのでしょうが、逆に
忘れていく不安を吹っ切ろうとしているのかもしれないし、とりあえず
否定せずに傾聴することが多いのですが、
本当はどう生きたいのかな?と思うことがよくあります。


本人が望まない形での施設入所。
それに伴うやり場のない苛立ちや焦り、不安。
落ちていく体力や認知能力。
それでも自分は、自分の思うように生きたいという気持ち。

自分の力で生きていくことが困難になったら、
どこかで誰かの言いなりにならないといけないのかしら?


遠く離れたスペインで作られた作品は、
日本で高齢者福祉の現場に向き合う私たちにも
やんわりと問題提起しているようです。


映画『しわ』予告編 - 三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー





あぁ、介護保険料
値上がりするのか…

かくいう私に、自分自身を尊重してくれるような
エンディングステージは約束されているのかしら…










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