新潮社 佐野洋子『シズコさん』を読了しました。
内容と感想をざっくりと備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。
【章】
1-24
【内容】
佐野洋子と家族の話。
【感想】
題名になっているのは佐野洋子のお母様の名前。そこに込められた計り知れない複雑な思いが、悲しいというより切なかった。
お母様は戦後の大変であったであろう混乱期を、七人もの子供を産み育て、三人失っていった中で、佐野洋子に冷たくあたり続ける。それは子供にとって、辛く悲しい出来事の連続だったに違いない。
何故、自分の母親がああであったのか‥?
佐野洋子は自問自答をし続け、母親から逃げ続けた。やがて、母親は自分が建てた家を嫁に追い出され、佐野洋子とも同居し、痴呆症になって老人ホームに入所する。佐野洋子が高額な費用を全部負担して…。
佐野洋子も六十代になり、すっかり別人のように穏やかになった母親と心の中で和解する。
最後の一節が‥心を打った。
静かで、懐かしい思いがする。
静かで、懐かしいそちら側に、私も行く。ありがとう。すぐ行くからね。
【余談】
佐野洋子は絵本『100万回生きたねこ』であまりにも有名な方。『100万回生きたねこ』も素敵な絵本だと思うが、ちくりちくりと小さな針が出ているな~と感じていた。ご本人も癖というか個性が強い方なのだろうと。この本を読了してなんとなく納得した。
生育歴が与える影響は大きいから…。