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吉原高志・吉原素子 訳『初版 グリム童話集 1』内容と感想

2012-04-13 13:37:21 | 紙の書籍
白水ブックス 吉原高志・吉原素子 訳『初版 グリム童話集 1』を読了しました。

内容と感想をざっくりと備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。






【目次】
原書第一巻
一 かえるの王さま または鉄のハインリッヒ
ニ 猫とねずみのともぐらし
三 マリアの子
四 九柱戯とトランプ遊び
五 狼と七匹の子やぎ
六 夜啼きウグイスとめくらトカゲ
七 くすねた銅貨
八 ナイフを持った手
九 十二人兄弟
十 ならずものたち
十一 兄と妹
十二 ラプンツェル
十三 森の中の三人の小人
十四 苦しみの亜麻紡ぎ
十五 ヘンゼルとグレーテル
十六 なんでもござれ
十七 白い蛇
十八 旅に出たわらと炭とそら豆
十九 漁師とおかみさんの話
二十 勇敢な仕立て屋の話
二十一 灰かぶり
二十二 子どもたちが屠殺ごっこをした話
二十三 小ねずみと小鳥と焼きソーセージ
二十四 ホレおばさん
二十五 三羽のからす
二十六 赤ずきん
二十七 死神とがちょう番
二十八 歌う骨


【内容】
比較言語学・説話学の分野に偉大な足跡を記すグリム兄弟が、ドイツ各地で口から耳へと伝えられた昔話の数々をあまねく採録したもの。
初版グリム童話がもつ、素朴で荒削りな文体、残酷で恐ろしいお話の数々。


【感想】
子供の頃に呼んだ記憶がある物語の数々に再び会うことができ、旧友に再会した気分になり懐かしかった。

かつて『グリム童話集』の初版が出版されたとき、「内容が十分に子ども向きでない」、「語り口があまりにも飾り気がない」という批判がグリム兄弟たちに寄せられたそうだ。この批判に応え、後の版では、残酷な場面や性的な事柄が削られ、情景描写や心理描写がより詳しくなったとのこと。
この初版では、「荒削りで素朴な文体を味わっていただきたい」と、訳者ご本人がまえがきで書かれている。そのとおりに文章はよく言えば素朴、悪く言えばぶっきらぼう、お世辞にも洗練されているとは言い難い。
だが、その荒削りなところが味というか趣があるように思う。口づてに伝承されていった物語というものは、本来このようなものであり、「だからなんなのだ?」などと理屈で迫るべきものではないのだろう。

日本昔話によく見られるような(これも後年、改ざんされていると思われる)、説教じみた教訓が織り込まれてはいない。正直なところ、??なまま終わってしまう話もままある。それこそが、伝承話らしいのではないだろうか。
この素朴な味わいがする物語は、いつまでも伝えていって欲しい愛すべき物語なのだと思う。


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コメント
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