新潮文庫 夏目漱石『こころ』を読了しました。
あらすじと感想をざっくりと備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。
【目次】
上 先生と私
中 両親と私
下 先生と遺書
注解 大野淳一
漱石の文学 江藤淳
『こころ』について 三好行雄
年譜
【あらすじ】
書生の身であった私は、暑中休暇を利用して海水浴に行った友達から誘われ、鎌倉へと出かけて知り合ったのが先生だった。
私と先生の短いながらも濃密な交流を描く長編。
【感想】
学生の頃に読んだ作品には、大人になってから再読したいと思うものも少なくない。この作品もその中のひとつ。改めて読んでみると、当時とはまた違った感じ方をしていることに気がつく。
例えば、「先生」の「私」に対する振る舞いや言葉に、当時はただただまどろっこしく苛々していた。大人になり、「先生」の心情に共感はできないが理解できるようになった。
同じことが「K」にも当てはまる。やたらと「道」にこだわり、最終的に自殺という道を選んでしまう彼を、当時の私は全く理解できなかった。今は何なくわかるような気がする。
Kの「御嬢さん」に対する失恋は切っ掛けにすぎないのではないか?自分の生い立ちや将来のこと、二十代前半のモラトリアムをどうにかやりすごしてしまえば、もしかしたら、自殺せずに生きていけたかもしれない…。
中学生当時に感じていた、とても暗く重苦しいものはなくなり、むしろ人が生きていくことの難しさを感じた。
【余談】
中学生の頃に一度読んでいるので再読。