積ん読の部屋♪

本棚に積ん読な本を読了したらばの備忘録

畠中恵・宮部みゆき他『あやかし〈妖怪〉時代小説傑作選』あらすじと感想

2021-08-18 10:14:10 | 紙の書籍
PHP文芸文庫 畠中恵・宮部みゆき他『あやかし〈妖怪〉時代小説傑作選』細谷正充編を読了しました。

あらすじと感想をざっくりと備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。




【目次】
四布の布団 畠中恵
こおろぎ橋(こおろぎは虫偏に車) 木内昇
あやかし同心 霜島ケイ
うわんと鳴く声 小松エメル
夜の鶴 折口真喜子
逃げ水 宮部みゆき
解説 細谷正充


【あらすじ】
四布の布団 畠中恵
長崎屋の病弱な若旦那、一太郎のために特別に注文された布団の中から、夜な夜な若い女の泣き声が聞こえてくる。その正体とは…。

こおろぎ橋(こおろぎは虫偏に車) 木内昇
佐吉は年老いた母のために下総屋から暇をもらった。母の白内障に良い薬種屋があると聞き、やってきたがそこは妙な店だった。

あやかし同心 霜島ケイ
南町奉行所定町廻り同心の柏木千太郎は、れっきとしたあやかしでのっぺらぼう。奇妙な女から訴えがあるが…。

うわんと鳴く声 小松エメル
医師清庵の娘、真葛は弟の太一と共に、あやかし退治をしている。今度は西国屋に異変が起こり…。

夜の鶴 折口真喜子
料理屋勤めのお咲には五つになるお梅という娘がいた。ある日突然に高熱を出し亡くなってしまう。憔悴するお咲だったが…。

逃げ水 宮部みゆき
三島屋の姪おちかは叔父の発案で、“変わり百物語”の聞き手をしている。今回の話は平太と可愛らしい少女の姿をした神様だった。


【感想】
四布の布団 畠中恵
病弱な一太郎のために、祖母ぎんが妖たちに一太郎を守らせているという設定がおもしろい。
泣き布団は田原屋の奉公人お梅の生霊だった。田原屋の主人松次郎の癇癪が怖くて泣いていたのだ。今でいうパワハラ、モラハラ。いつの時代にもあったことだろうな…。
最後に松次郎を妖たちが懲らしめるところは痛快! 現実でもそうだといいのにね~。

こおろぎ橋(こおろぎは虫偏に車) 木内昇
薬種屋の娘那智のお役は、家に戻れなかった御魂を、船に乗るまでお戻しすることだった。死人はこおろぎ橋から船に乗って旅立つ。
佐吉は死んでいた…。お店を辞める日、酒席の火の不始末から火事になったのだ。
おどろおどろしいかと思えば、家族のしがらみにうんざりしたり、怪奇ものと人情ものを混ぜたような変わった味わいの作品。

あやかし同心 霜島ケイ
柏木千太郎の父兵衛は艶という狐と結婚し、生まれた息子がのっぺらぼう。それも南町奉行所定町廻り同心という設定はさすがについていけない。荒唐無稽すぎて。これなら登場人物?が全部妖怪の京極夏彦の『豆富小僧』のほうが楽しめる。
解説で作者はライトノベル出身とか。なるほどな~薄っぺらいわけだ。

うわんと鳴く声 小松エメル
シリーズものらしく、解説の説明を読むまで設定がわかりづらかった。
真葛が思うこと…。(この世は因果応報じゃないのよ)。
全くそのとおりだと思う。悲しいけれど、この世はすべからく理不尽で不平等だから。

夜の鶴 折口真喜子
わが子を亡くした母親の悲しみ、苦しさ、辛さが胸に迫る。
お梅と狸のエピソードが可愛らしく微笑ましくて、そこだけが救われる思いがする。

逃げ水 宮部みゆき
平太に憑いている神様は“お旱りさん”。切髪、色白、眼のぱっちりとした可愛い少女の姿をしているが、実態は山の主、大蛇だ。手当たりしだいに水を飲むから「水が逃げる」のだ。“お旱りさん”は怒っている、もっといえば悲しんでいる。村人たちに必要とされなくなり、祠は荒れ放題。
哀しいような、ほっとするような読後感。


【余談】
やっぱりアンソロジーになるとわかるな~。宮部みゆきのすごさが。
他の作者に、どうしても宮部みゆきの影響を感じてしまうし。

最後に収録されている宮部みゆきの『逃げ水』は、角川文庫『あんじゅう 三島屋変調百物語事続』にあって読了済みだった作品。あらためて読んでみてやっぱりいい話だな~と思った。
記事を探してみたら画像しかなく、読了したのにもたもたしていてアップしていなかった模様。読了したら、感想が薄れないうちに記事に書いておかないとね~。反省。

まとめて文庫本を購入しました♪

2021-08-07 11:09:21 | 紙の書籍
本棚にブログタイトルどおり、積ん読がまだ残っているのに、またも文庫本を購入してしまいました~♪
前回の購入したときの記事はこちら。→「まとめて文庫本を購入しました♪」
こちらの宮部みゆき作品を読み始めたら、続きものなのに抜けている作品があることに気づきまして。今頃?苦笑。
というわけで、つづきものとアンソロジーを購入しました♪ 


こちら♪ 全部で7冊。



暑いけど、いや暑いから涼しい室内で読書を楽しみたいと思いま~す♪


朝井まかて・宮部みゆき他『もののけ〈怪異〉時代小説傑作選』あらすじと感想

2021-08-06 16:23:42 | 紙の書籍
PHP文芸文庫 朝井まかて・宮部みゆき他『もののけ〈怪異〉時代小説傑作選』細谷正充編を読了しました。

あらすじと感想をざっくりと備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。





【目次】
ぞっこん 朝井まかて
風来屋の猫 小松ノエル
韓藍の庭 三好昌子
椿 森山茂里
虫すだく 加門七海
蜆塚 宮部みゆき
解説 細谷正充


【あらすじ】
ぞっこん 朝井まかて
「御前」と呼ばれる使い古るされた“筆”が、ある文字書きとの半生を語る。

風来屋の猫 小松ノエル
半年前に亡くなった夫が、白猫になって妻のもとに戻ってきた真相とは…。

韓藍の庭 三好昌子
庭師室藤が請け負った仕事先には、“韓藍”が一面に「火の海」のように咲き誇っていた。そこで出会ったのは…。

椿 森山茂里
孫娘のお香に祖母が語る昔話。やんちゃなあやかし“白児”と“犬神”とのこと。

虫すだく 加門七海 
棒手振り商人の男がたまたま見つけた寺で聞いた話。僧侶のおぞましい過去とは…。

蜆塚 宮部みゆき
急死した父の口入屋を継いだ男が、歳をとらない者たちの存在に気付く。やがて…。

 
【感想】
ぞっこん 朝井まかて
落語の人情噺のような話。筆の「御前」と文字書き栄次郎との日々にほろり。。とする。

風来屋の猫 小松ノエル
怖いようで実は愛と友情の話。ちょっと目頭が熱くなる。

韓藍の庭 三好昌子
“韓藍”とは“鶏頭”のこと。「火の海」のような裏庭は、さぞや美しくも不気味な光景だったろう。
丁子屋の多紀が息子市松の命の花として植えた“韓藍”。息子を亡くした悲しみから逃れられない多紀、“韓藍”の庭に閉じ込められた市松、母に愛されず寂しかった岩松。
誰も悪くない…。ただただ哀しい…。

椿 森山茂里
日本昔話のような楽しい話。
“白児”(しろちご)はあやかし。髪を角髪(みずら)に結い、白い水干狩衣をまとった美童だ。ちょこちょこと現れては、魍魎たちと戯れる。
可愛らしく、ふふっ♡となる。

虫すだく 加門七海
気味が悪く後味の悪い話。虫嫌いには無理かもしれない…。
僧侶の話す身の上話がぞっとする。鈴虫が怖くなりそう…。

蜆塚 宮部みゆき
これも薄気味悪い話。最後の展開にぞっとする。
蜆が食べられなくなりそう…。


【余談】
宮部みゆき『蜆塚』は別の文庫で読了済みだった作品。角川文庫の『あやし』に収録されていて、そちらでも最後の載っていた。
アンソロジーはあちらこちらから集めてくるので、作者の短編集と作品が重なることもたびたびある。それはそれで、再読の機会が与えられたと思っている。
やっぱり短編集は読みやすいし、いろいろな作者の作品を一冊で読めるのでよき♪