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西條奈可・宮部みゆき 他『なさけ<人情>時代小説傑作選』あらすじと感想

2022-03-17 15:37:40 | 紙の書籍
PHP文芸文庫 西條奈可・宮部みゆき 他『なさけ<人情>時代小説傑作選』細谷正充 篇を読了しました。


あらすじと感想をざっくりと備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。





【目次】
善人長屋 西條奈可
抜け殻 坂井季久子
まぶたの笑顔 志川節子
海の紺青、空の碧天 田牧大和
地獄染 村木嵐
首吊り御本尊 宮部みゆき
解説 細谷正充


【あらすじ】
善人長屋 西條奈可
お縫は千七長屋の差配の娘。巷では善人長屋といわれているここは、実は住人たちはみな訳ありだった…。

抜け殻 坂井季久子
向島に住まうおくめは50すぎの市兵衛の囲い者。おくめはかつては金栄堂という金つば屋の嫁だったが、息子の栄太と浅草ではぐれてしまい離縁されてしまった。

まぶたの笑顔 志川節子
芽吹長屋のおえんは、かつて松井屋の嫁だった。向島で息子の友松とはぐれ離縁された。

海の紺青、空の碧天 田牧大和
長太郎の姉お芳が安芸から江戸へ嫁ぐことになった。長太郎はこれがおもしろくない。なんとしても縁談をこわしたいのだ。

地獄染 村木嵐
新吉と奉公先の一人娘お文、佐吉とお袖。この二組の若い男と女は実は…。

首吊り御本尊 宮部みゆき
捨松は上総屋の奉公人でまだ十一。奉公が辛くて実家の長屋に逃げ帰ったが、母親は自分を見ようともせず、ただ泣くばかりだった…。


【感想】
善人長屋 西條奈可
長屋の住人がみな悪人という設定に吹き出す。加助だけは本当に真人間だったのに、長屋を追い出されずおいてあげることにするのがほっ。。とする。

抜け殻 坂井季久子
息子を失って抜け殻になってしまったおくめが痛々しい。最後はほんのりと元さやに戻れそうな予感に希望を感じる。

まぶたの笑顔 志川節子
息子を失ってしまったが、喪失と悲しみを乗り越え、前にすすもうとするおえんに幸あれと思う。

海の紺青、空の碧天 田牧大和
シスコンの長太郎がおかしくて苦笑もの。最後はふふっとなる。

地獄染 村木嵐
このアンソロジーの中で唯一、胸が悪くなる話。悪党の新吉(佐吉)に腹がたつ。お袖もお文もこんな男に惚れて哀れだ…。

首吊り御本尊 宮部みゆき
貧乏人の性がどうしようもなく辛く悲しい…。子は親を選べない。暮らしが苦しいのになんで子を次々とつくるのだろう?
土蔵の壁の折れ釘にぶら下がっていた捨松の母親が、いろんな意味で恐ろしい…。


【余談】
首吊り御本尊 宮部みゆき は、新潮文庫『幻色江戸ごよみ』に収録されていて読了していた作品だった。どうりで既視感があると思ったよ~。
今、ブログ内を検索してみたら、読了して記事をアップし損ねてた。あらら。









カレル・チャペック『園芸家12カ月』内容と感想

2022-03-05 15:16:33 | 紙の書籍
中公文庫 カレル・チャペック『園芸家12カ月』小松太郎訳 を読了しました。

内容と感想をざっくりと備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。





【目次】
庭をつくるには
園芸家になるには
1月の園芸家
 種
2月の園芸家
 花つくりのコツ
3月の園芸家
 芽
4月の園芸家
 労働の日
5月の園芸家
 恵みの雨
6月の園芸家
 野菜つくり
7月の園芸家
 植物学の一章
8月の園芸家
 シャボテンつくり
9月の園芸家
 土
10月の園芸家
 秋のうつくしさについて
11月の園芸家
 準備
12月の園芸家
 園芸家の生涯について
訳注
解説 小松太郎
新装版解説「愛好家」礼賛 阿部賢一
参考地図


【内容】
われわれ園芸家は未来に生きているのだー。
草花をこよなく愛したチェコの作家、カレル・チャペックが描く、園芸家愛好家の幸福な熱狂に満ちた一年。そのユーモラスな筆致で世界中の読者を魅了し続ける、無類に愉快な名エッセイ。


【感想】
園芸あるある♪な文章が延々と綴られている、とても楽しいエッセイ。カレル・チャペックの実兄が描く挿絵も可愛い♡
ただ、どうしても全編、田口トモロヲの顔が浮かんでくるのには困った~。NHKのドラマ『植物男子ベランダー』好きだったからね。


【余談】
文庫の帯には、園芸王子の三上真史が爽やかなお顔で文章を載せている。彼がNHK『趣味の園芸』のメインMCから外れた頃から、番組があまりおもしろくなくなってきたので、最近はもうほとんど観ていない。
いや、別に村雨辰剛 はいいんだけれども、氷川きよしはこの番組向きなんだろうか?とか思ってしまうし。バラエティ色が強くなってどうもね…。