ちくま文庫 恩田陸『土曜日は灰色の馬』を読了しました。
内容と感想をざっくりと備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。
【目次】
硝子越しに囁く
Ⅰ 面白い本はすべてエンタメ
Ⅱ 少女漫画と成長してきた
Ⅲ 暗がりにいる神様は見えない
初出一覧
あとがき
文庫版あとがき
【内容】
小説、漫画、映画に音楽、舞台まで。少女時代からありとあらゆるエンターテインメントを堪能し、物語を愛し続ける作家の眼にはどんな世界が映っているのか? その耳はどんな響きを感じているのか? どんな言葉で語るのか?
軽やかな筆致で想像力の海原を縦横無尽に楽しみ尽くす、とびきり贅沢なエッセイ集。
【感想】
ひとつひとつについて感想を書いていると、この作品と同じくらいの長さになりそうなので細かいことは割愛する。ざっくりとおおまかに各章について触れておく。
硝子越しに囁く 9P
しょっちゅうテナントの変わる店…あるある、周りは続いているのに。家と場所の記憶もおもしろい。ちょっとオカルト気味だが。
ちなみに私はサンシャイン60が駄目だ。渋谷や六本木が駄目だという人もいるが、私は平気なのだ。人によるんだろうな~。
Ⅰ 面白い本はすべてエンタメ 33P
まだ読んだことのない作品が多くて、気になった本をまたぞろ探して「☆お気に入り」に入れてしまった。購入予定金額が数万円になっている。苦笑。
「一人称の罠」には激しく同意してしまった。なによりも「自分」。傷つかないこと、癒やされることが最優先。自分の閉鎖空間で膝を抱える、いつまで経っても客観性と俯瞰の視点をもつことができない大人子供たち。
このことに気持ち悪さを感じていたのは私だけではなかったのだな…。
Ⅱ 少女漫画と成長してきた 173P
読んだ作品もそうでない作品もあるが、どの漫画家も知っている。大御所から少々マニアックな方まで。
内田善美は音信不通だそうで再販もできないらしい。読みたいのだが…。漫画家を「卒業」したのだろうな…。
引っ越しをするときに処分してしまった内田善美の『草迷宮』。あのときの自分を殴りに行きたい。環境が変わるから、もういいだろう。。と処分してしまったのだ。手に入らなくなるとは思わず。泣ける。
Ⅲ 暗がりにいる神様は見えない 225P
映画と演劇についてが書かれている。観たものもそうでないものもある。
『24』に早々脱落したという件に「一緒♪」と思った。
「おはなしの神様」は「物語る」存在だという。ストーリーはなくなり、複雑化されたプロットだけがあるのだと。もしくは、心象風景と称する「自分の話はしたいが、人の話は聞きたくない」という映画ばかりが増えて、映像作家は日々生まれても、映画監督は消えつつある……と語る。
そうかもしれないな…。「心象風景」という名の自慰行為を観させられているような、気持ち悪さを感じていたから。
【余談】
『土曜日は灰色の馬』という素敵なタイトルに惹かれて、タイトル買いしてしまった本。恩田陸は好きな作家なので、まだ購入していないものをチェックしていて、さかさかと「☆お気に入り→カート→購入」という流れだった。
購入したのはいつもの honto で、まとめ買いしたときの一冊。こちらも随分長く積ん読だった。苦笑。
読み始めてからエッセイだったのか~となった。実は、エッセイはごく一部を除いて苦手なのだ。まぁ。。仕方がないこんなこともあるよ。
私は物語、ストーリーが読みたいのだと改めて思った。作家によって紡がれた物語、作家が表現したかった何かを読みたいのだ。