角川書店 角田光代ほか『Sweet Blue Age』を読了しました。
あらすじと感想をざっくりと備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。
【目次】
角田光代 あの八月の、
有川浩 クジラの彼
日向蓮 涙の匂い
三羽省吾 ニート・ニート・ニート
坂木司 ホテルジューシー
桜庭一樹 辻斬りのように
森見登美彦 夜は短し歩けよ乙女
【あらすじ】
「あの八月の、」
あらすじと感想をざっくりと備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。
【目次】
角田光代 あの八月の、
有川浩 クジラの彼
日向蓮 涙の匂い
三羽省吾 ニート・ニート・ニート
坂木司 ホテルジューシー
桜庭一樹 辻斬りのように
森見登美彦 夜は短し歩けよ乙女
【あらすじ】
「あの八月の、」
わたしたちは卒業した夜の大学に忍びこみ、「キネマ友の会」という愛好会の部室に入る。かつてわたしたちが青春の1ページを送った場所だ。そこで、持ち込んだビールやつまみ片手に思い出を語り合いながら時をすごす。
「クジラの彼」
中峯聡子には付き合っている彼がいる。合コンで知り合った自衛官、潜水艦乗りだ。聡子は潜水艦をクジラだと思う。
「涙の匂い」
飯田理恵子は転校生だ。大平良町という田舎町に引っ越してきて、カルチャーショックの連続な毎日を送っている。
「ニート・ニート・ニート」
タカシはたった2年で会社を辞めて、寮も出なければならなくなった。金もなければやる気もない。そんなとき、旧友たちと車で闇雲に走り出す。
「ホテルジューシー」
私は長い間、物心ついてからずっと、年下の弟妹を心配しながら生きてきた。大学生になった今、「好きようにしたらいいよ」などと言われてもどうしたらいいのかわからない。
「辻斬りのように」
わたし川村優奈は二五歳になった数日後、唐突に「辻斬りのように男遊びをしたいな」と思った。父はぼんやりしたひと、母はとても厳しいひとだった。母が亡くなり、父と二人暮らしの毎日から脱却するのだ。
「夜は短し歩けよ乙女」
彼女は「おともだちパンチ」という奥の手をもっている。それを伝授したのは彼女の姉だ。ふるいたくない鉄拳をふるうことになったときでも、「おともだちパンチ」には愛があるというのだ。
【感想】
短編集なので、細切れ時間を読書にあてている身には読みやすくてありがたい一冊。それぞれの作品について簡単な感想を。
「あの八月の、」
角田光代らしい感性が散りばめられた作品。女性ならではの視点と感覚に「うん、うん」と頷いてしまう。
珍しくひりつく感覚がなく、甘いようなほろ苦いような味わいが残る。
「クジラの彼」
所詮、作りものであるところの小説に本気で突っ込みを入れたくはないのだが、それにしても「これはないだろう~」と思ってしまう設定と展開。
有川浩のファンの方には申し訳ないのだが、ライトノベルというより携帯小説を読んでいるような気持ちになってしまった。もしくは少女漫画か民放のゴールデン枠ドラマのようといったらいいのだろうか…。
小難しいことを言わずにただひたすら「キュン♥」としたい方向きのような気がする。この世界観には全くのれなかったので、辛口な感想しか出てこない。
「涙の匂い」
いろんな匂いと共に、子供の頃の懐かしい記憶が蘇ってきた。嗅覚や視覚、肌感覚までも思い出し刺激されるような感覚的な作品。
表面状は平穏な日常の中に隠されている人の心情、その深さと重さが苦しく切ない。
「ニート・ニート・ニート」
なんだろうこの既視感。どこかで読んだような気がして仕方がない。初出の「野生時代」2006年1月号は読んだ記憶がないのだが。
「ホテルジューシー」
主人公のヒロについつい感情移入してしまった。大家族ではないが、自分も第一子長女で育ち、仕事で忙しい両親に代わって弟の面倒(大したことはしていないが)をみていたからだ。
ヒロに苦笑しつつ「もっとのんびりしなよ~」と、ぽん!と肩を叩いてあげたくなった。
「辻斬りのように」
細かい設定は違うのだが、大島弓子の「秋日子かく語りき」をふと思い出した。“わたし、川村優菜”の唐突に始まった衝動は自傷行為のようで痛々しく哀しい。
小説だし現実ではないからよいのだが、”わたし“はこれでよくても生まれてくる子供のことはどうなのだろう…? 自分が感じていた母からの呪縛を、今度は別の形で、自分が子供に連鎖しているのではないだろうか。
「夜は短し歩けよ乙女」
う~ん、珍しくきちんと読めなかった作品。滅多に飛ばし読みすることはないのだが…。文体が苦手で読みにくいうえに、意味がわからない。というより、作者の意図がわからない。
感情移入以前に俯瞰ですら見られなかった。ある意味驚く作品。
【余談】
どこかでおすすめされていたので、新書で購入して読んでみた一冊。あまり新書は購入しない。本棚のスペースを占領するから。
珍しくひりつく感覚がなく、甘いようなほろ苦いような味わいが残る。
「クジラの彼」
所詮、作りものであるところの小説に本気で突っ込みを入れたくはないのだが、それにしても「これはないだろう~」と思ってしまう設定と展開。
有川浩のファンの方には申し訳ないのだが、ライトノベルというより携帯小説を読んでいるような気持ちになってしまった。もしくは少女漫画か民放のゴールデン枠ドラマのようといったらいいのだろうか…。
小難しいことを言わずにただひたすら「キュン♥」としたい方向きのような気がする。この世界観には全くのれなかったので、辛口な感想しか出てこない。
「涙の匂い」
いろんな匂いと共に、子供の頃の懐かしい記憶が蘇ってきた。嗅覚や視覚、肌感覚までも思い出し刺激されるような感覚的な作品。
表面状は平穏な日常の中に隠されている人の心情、その深さと重さが苦しく切ない。
「ニート・ニート・ニート」
なんだろうこの既視感。どこかで読んだような気がして仕方がない。初出の「野生時代」2006年1月号は読んだ記憶がないのだが。
「ホテルジューシー」
主人公のヒロについつい感情移入してしまった。大家族ではないが、自分も第一子長女で育ち、仕事で忙しい両親に代わって弟の面倒(大したことはしていないが)をみていたからだ。
ヒロに苦笑しつつ「もっとのんびりしなよ~」と、ぽん!と肩を叩いてあげたくなった。
「辻斬りのように」
細かい設定は違うのだが、大島弓子の「秋日子かく語りき」をふと思い出した。“わたし、川村優菜”の唐突に始まった衝動は自傷行為のようで痛々しく哀しい。
小説だし現実ではないからよいのだが、”わたし“はこれでよくても生まれてくる子供のことはどうなのだろう…? 自分が感じていた母からの呪縛を、今度は別の形で、自分が子供に連鎖しているのではないだろうか。
「夜は短し歩けよ乙女」
う~ん、珍しくきちんと読めなかった作品。滅多に飛ばし読みすることはないのだが…。文体が苦手で読みにくいうえに、意味がわからない。というより、作者の意図がわからない。
感情移入以前に俯瞰ですら見られなかった。ある意味驚く作品。
【余談】
どこかでおすすめされていたので、新書で購入して読んでみた一冊。あまり新書は購入しない。本棚のスペースを占領するから。
う~ん、文庫本でもよかったかな~というのが正直な感想。文庫になっていればだけど。
アンソロジーは短編集だから、一作品が短めで読みやすいといえば読みやすいけど、当たり外れが大きい気がする。プチギャンブル的な。今回はやや外れかな~。