増田カイロプラクティックセンターの近況レポート

筋骨格・神経・アレルギー(NAET)・感情の統合療法。
増田裕D.Cのブログ

2006年2月23日 遺伝子発現の形態

2006-02-23 21:07:02 | 近況
○昨日、Biology of Belief、「信念の生物学」の拾い読みをした。第2章「バカだねえ、環境だよそれは」と第4章「新物理学:薄い空気の上にしっかり両足で立つ」。このなかで、著者のBruce Lipton, PhDは現在の西洋医学の最先端部門の遺伝子研究を批判する論旨を展開している。そのキーワードはEpigenesisである。これは文字通りGenesis(遺伝子)のEpi(上)という意味で、分かりやすく言えば、遺伝子が活性化する発現形態のことである。

 世の中には「○○病の遺伝子発見、最先端医療に光明」というニュースが多く飛び込んでくる。あたかも、病気の原因は遺伝子にあるかのような趣だ。今では、高校の生物の教科書にも遺伝子のことは出てくる。ところが、遺伝子がタンパクを合成する仕組みはあたかも自動機械が動いているような形で書かれている。遺伝子は自動的に複製し、タンパクをつくるかのような刷り込みがある。しかし、遺伝子は自動機械ではない。遺伝子を活性化させるEpigenesisの機序があるのだ。それは環境からの刺激である。

 たとえば、神経線維(ニューロン)は刺激を受けた最初期遺伝子が活性化してタンパクを合成する。神経の標的組織も神経伝達物質の刺激を受けて、タンパク合成を行う。免疫細胞は細胞間の接触を通じて遺伝子が活性化されてタンパク合成を行う。
 
 このように、主として環境からの刺激を受けて遺伝子が活性化して、タンパクの合成が行われるのである。つまり、遺伝子決定論ではなく、実は環境からの刺激が生命活動の根幹なのである。

 また、最新の分子生物学によると、染色体には遺伝子のほかに遺伝子の暗号解読をONにしたりOFFにしたりする役割を規制タンパクが担っており、この部分のタンパクも情報を遺伝する。まさに、ラマルクの獲得形質も遺伝するのである。

NAETではアレルギーも遺伝すると述べているのは、まさにこの環境からの刺激を次の世代に送る染色体内の規制タンパクの役割にほかならない。

大分部の遺伝障害は遺伝子の器質的な損傷の割合は2%以下であり、あとの98%以上は環境の悪い因子が及ぼす機能障害である。

著者はこの環境からの刺激を、心理的、精神的、感情的、霊的な力も含めて考えている。これらの要素が遺伝子の働きに関与しているのである。

○ちょっと知らない間に、このような素敵な本がいろいろ出ている。日本に帰ってきてから11年、もう英語の本より日本語の本を読むほうがはるかに楽なのだが、それでも時々は英語の本に直接当たって勉強しないと、時代にキャッチアップできない。

○本日、遠方からの患者さんの宿をお世話していただいている提携先のホテルから電話がかかってきた。「お泊りの受験生があさって試験なんですが、顎関節症で困っているのでみてもらいたいんですけど」。このホテルの支配人の期待に応えなければならない。主訴は吹奏楽器を吹けなくなったというものである。試験はこの楽器の実技試験である。アクティベータで治療。顎関節も右の上方、左の下方変位がありこれを矯正する。マッスルテストでこれを確認。また、舌圧子を二つ折りにして左右の奥歯で噛んでもらいマッスルテスト。OKである。「先生、かみ合せがきちっと戻りました」と笑顔を浮かべる。

さらに、顎関節は心因性が絡んでいる場合が多いので、感情的遮断を調べると、肝系に「理屈に合わない(理不尽な)」という感情が現れた。現在と13才の時の思い当たる点を心に浮かべながら治療。なにか合点が入ったよう。すがすがしい表情をして帰っていた。明日念のためにもう一度診ることにした。

○本日、患者さんより本を贈呈された。「先生は読書家だからこの本を読んでみてください」。「国富消尽」(吉川元忠、関岡英之共著、PHP刊)。どうやら小泉改革はアメリカの対日隷属戦略の一環であり、日本の社会を崩壊させてしまうという警世の書である。読んでみよう。私の予めの結論は、既存のシステムの保護だけではいけないことははっきりしている。しかし、規制打破だけでは、アメリカ型の社会となり、アメリカ資本が無制限の自由を謳歌するだけになる危険性もあるので、そこは一定の枠をはめながら、構造改革をしていくことが望まれる。この私の意見にどのようなインパクトがあるのか。
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