増田院長記
○「先生、私は椎間板ヘルニアでしょうか?前回は左側で7回ほどの治療で良くなったのですが、今回は右側に出て、やはり医者からはヘルニアと言われました。”ブロック注射をしましょう”といわれましたが、結構ですと断りました」 久ぶりに来院した30代の男性。
「そうですね。整形のお医者さんは患者さんが来る前から”椎間板ヘルニア”と診断が判っている”ヘルニア先生”が多いですから、あまり当てにならない例が多いですよ」
この例としてアメリカの整形外科の機関誌に掲載された論文の趣旨を紹介する。MRIの画像を放射線診断医に見てもらったところ、いろんな病名がつけられた。なかには椎間板の膨隆や脱出、脊柱管狭窄などの病名もある。ところが、これらのMRIを撮った被検者はひとりも症状のない健康人ばかりであった。これは何を意味するか?MRIの画像診断だけを頼りにして診断をすると誤診を招くという結論である。
この患者さんの場合も、症状はそれほどきつくない、下肢伸展挙上検査は陰性である。さらに椎間板ヘルニアで神経が圧迫されているとしたら、運動麻痺が起こるはずであるが、感覚系の異常だけである。絞扼症候群の場合、端的に運動系の麻痺が起こるが、椎間板ヘルニアと診断されたケースで運動麻痺は非常にまれである。この点からも、画像でヘルニアがあるからといって、症状との連関は非常に薄い。
だから、患者さんが「先生、椎間板ヘルニアは治りますか?」と聞かれることが多いが、「椎間板ヘルニアは治せませんよ。でも、痛みはとることができます」と応えることにしている。なぜなら、痛みは椎間板ヘルニアとは関係ないからである。
ここに「代替医療のすすめ」(対談、渥美和彦・廣瀬輝夫)がある。このなかで廣瀬氏は「たとえばカイロプラクターが椎間板ヘルニアを指圧して神経根を押し、腰の軟骨の突出が増悪して動けなくなったというようなこともあります」と指摘している。民間の損害賠償保険でも、椎間板ヘルニアをカイロプラクティックの禁忌症にするところもある。
この廣瀬氏の指摘は半ば当たっていることもあるが、半ば誤っている。それはどういうことかといえば、椎間板ヘルニアの手術によって治らないケースのほうがはるかに症例としては多いと思えるからだ。つまり、症状の原因として椎間板ヘルニアははたして妥当かという問題がある。
そのうえで、カイロプラクティック側の問題で言えば、構造的異常の視点から突出した部分を元に戻そうという治療は余計な負荷がかかり、筋肉や靭帯を痛めて、症状を悪化させることがありうる。こうしたアプローチとは異なり、機能的視点から、身体のバランスを整える治療をすれば、痛みは必ず取れる。このアプローチは「ヘルニアは治らない。しかし痛みはとれる」ということになろう。
○野球部の選手が再来院した。また同じ肩の痛みである。ポジションは捕手。悪いところは胸鎖関節、肩鎖関節関節、肩関節である。とくに鎖骨の内側端と外側端の関節が非常に不安定である。これを矯正して、肩の力が戻る。アレルギー治療も再開する。1週間後の予約を入れて終了。
○地元の金融機関から電話が入る。「あと2年で年金の支給が開始されますから、お宅様の年金の状況と大体の支給額をお調べするのをお手伝いします」。これはマイバンクからの電話なので、すなおにお願いすることにした。それにしても、そんな年代になったのか。がっくり。そう言えば、私は今悪名高き「団塊の世代」ではないか。これから益々現役で頑張ろうとしているのに、年金とは。トホホ。私は40才の時に第2の人生を始めたので、まだカイロ人生17年生にすぎない。まあ、年金をもらったら、社会的に有効につかわさせていただきます。まだ先のことだけど。
○「先生、私は椎間板ヘルニアでしょうか?前回は左側で7回ほどの治療で良くなったのですが、今回は右側に出て、やはり医者からはヘルニアと言われました。”ブロック注射をしましょう”といわれましたが、結構ですと断りました」 久ぶりに来院した30代の男性。
「そうですね。整形のお医者さんは患者さんが来る前から”椎間板ヘルニア”と診断が判っている”ヘルニア先生”が多いですから、あまり当てにならない例が多いですよ」
この例としてアメリカの整形外科の機関誌に掲載された論文の趣旨を紹介する。MRIの画像を放射線診断医に見てもらったところ、いろんな病名がつけられた。なかには椎間板の膨隆や脱出、脊柱管狭窄などの病名もある。ところが、これらのMRIを撮った被検者はひとりも症状のない健康人ばかりであった。これは何を意味するか?MRIの画像診断だけを頼りにして診断をすると誤診を招くという結論である。
この患者さんの場合も、症状はそれほどきつくない、下肢伸展挙上検査は陰性である。さらに椎間板ヘルニアで神経が圧迫されているとしたら、運動麻痺が起こるはずであるが、感覚系の異常だけである。絞扼症候群の場合、端的に運動系の麻痺が起こるが、椎間板ヘルニアと診断されたケースで運動麻痺は非常にまれである。この点からも、画像でヘルニアがあるからといって、症状との連関は非常に薄い。
だから、患者さんが「先生、椎間板ヘルニアは治りますか?」と聞かれることが多いが、「椎間板ヘルニアは治せませんよ。でも、痛みはとることができます」と応えることにしている。なぜなら、痛みは椎間板ヘルニアとは関係ないからである。
ここに「代替医療のすすめ」(対談、渥美和彦・廣瀬輝夫)がある。このなかで廣瀬氏は「たとえばカイロプラクターが椎間板ヘルニアを指圧して神経根を押し、腰の軟骨の突出が増悪して動けなくなったというようなこともあります」と指摘している。民間の損害賠償保険でも、椎間板ヘルニアをカイロプラクティックの禁忌症にするところもある。
この廣瀬氏の指摘は半ば当たっていることもあるが、半ば誤っている。それはどういうことかといえば、椎間板ヘルニアの手術によって治らないケースのほうがはるかに症例としては多いと思えるからだ。つまり、症状の原因として椎間板ヘルニアははたして妥当かという問題がある。
そのうえで、カイロプラクティック側の問題で言えば、構造的異常の視点から突出した部分を元に戻そうという治療は余計な負荷がかかり、筋肉や靭帯を痛めて、症状を悪化させることがありうる。こうしたアプローチとは異なり、機能的視点から、身体のバランスを整える治療をすれば、痛みは必ず取れる。このアプローチは「ヘルニアは治らない。しかし痛みはとれる」ということになろう。
○野球部の選手が再来院した。また同じ肩の痛みである。ポジションは捕手。悪いところは胸鎖関節、肩鎖関節関節、肩関節である。とくに鎖骨の内側端と外側端の関節が非常に不安定である。これを矯正して、肩の力が戻る。アレルギー治療も再開する。1週間後の予約を入れて終了。
○地元の金融機関から電話が入る。「あと2年で年金の支給が開始されますから、お宅様の年金の状況と大体の支給額をお調べするのをお手伝いします」。これはマイバンクからの電話なので、すなおにお願いすることにした。それにしても、そんな年代になったのか。がっくり。そう言えば、私は今悪名高き「団塊の世代」ではないか。これから益々現役で頑張ろうとしているのに、年金とは。トホホ。私は40才の時に第2の人生を始めたので、まだカイロ人生17年生にすぎない。まあ、年金をもらったら、社会的に有効につかわさせていただきます。まだ先のことだけど。