<東京新聞社説>教員の不足 労働環境改善に本腰を
2022年2月12日 07時09分
公立の小中高校や特別支援学校で教員が不足していることが、文部科学省の調査で分かった。背景にあるのは長時間労働などによる若者の教員離れだ。人材を確保するには、教員の仕事をより魅力あるものにする必要がある。
昨年五月一日時点で、全体の4・8%に当たる千五百九十一校で計画通りの教員配置ができず、欠員は計二千六十五人に上った。
少人数や習熟度別指導のために自治体が独自に上乗せした教員枠なども含めた数であり、法律上の定員は満たしているが、放置すれば教育の質や学校運営にも支障が出かねない。義務教育の根幹にかかわる問題でもある。
教員不足は、大量採用された団塊世代の退職により若返った職場で産休や育休を取る人が見込みよりも上回ったことや、病休者が増えたことが一因だ。志願者の減少も拍車を掛ける。採用枠は増えているが、都道府県教委などが二〇二〇年度に行った採用試験の競争率は、小学校で過去最低の二・六倍、中学校は四・四倍だった。
背景にあるのは、学校現場での長時間労働だろう。小学校で三割強、中学校で六割弱の教員が過労死ラインとされる長時間労働をしているとの国の調査もある。
小学校では英語やパソコン授業が新教科に加わり、コロナ禍で感染対策やオンライン授業=写真=も必要になった。教員の多忙さは増すばかりであるにもかかわらず、公立学校の教員には残業代が支払われない。基本給に一律4%を上乗せする代わりに、時間外手当は支給しないと定めた教職員給与特別措置法(給特法)があるためだ。
労働実態と懸け離れた待遇を放置すれば、教員の意欲はそがれ、志願者を増やすことは難しい。
コロナ禍で注目された少人数学級化への対応や、貧困や虐待、発達障害などがあって支援が必要な子ども一人ひとりと向き合うには教員を増やすことが前提だ。
教員不足に歯止めをかけるには教員の負担を減らして労働環境を改善し、待遇改善にも本腰を入れる必要がある。政府は、先進国の中でも少ないとされる教育のための予算を増やすべきである。
2022年2月12日 07時09分
公立の小中高校や特別支援学校で教員が不足していることが、文部科学省の調査で分かった。背景にあるのは長時間労働などによる若者の教員離れだ。人材を確保するには、教員の仕事をより魅力あるものにする必要がある。
昨年五月一日時点で、全体の4・8%に当たる千五百九十一校で計画通りの教員配置ができず、欠員は計二千六十五人に上った。
少人数や習熟度別指導のために自治体が独自に上乗せした教員枠なども含めた数であり、法律上の定員は満たしているが、放置すれば教育の質や学校運営にも支障が出かねない。義務教育の根幹にかかわる問題でもある。
教員不足は、大量採用された団塊世代の退職により若返った職場で産休や育休を取る人が見込みよりも上回ったことや、病休者が増えたことが一因だ。志願者の減少も拍車を掛ける。採用枠は増えているが、都道府県教委などが二〇二〇年度に行った採用試験の競争率は、小学校で過去最低の二・六倍、中学校は四・四倍だった。
背景にあるのは、学校現場での長時間労働だろう。小学校で三割強、中学校で六割弱の教員が過労死ラインとされる長時間労働をしているとの国の調査もある。
小学校では英語やパソコン授業が新教科に加わり、コロナ禍で感染対策やオンライン授業=写真=も必要になった。教員の多忙さは増すばかりであるにもかかわらず、公立学校の教員には残業代が支払われない。基本給に一律4%を上乗せする代わりに、時間外手当は支給しないと定めた教職員給与特別措置法(給特法)があるためだ。
労働実態と懸け離れた待遇を放置すれば、教員の意欲はそがれ、志願者を増やすことは難しい。
コロナ禍で注目された少人数学級化への対応や、貧困や虐待、発達障害などがあって支援が必要な子ども一人ひとりと向き合うには教員を増やすことが前提だ。
教員不足に歯止めをかけるには教員の負担を減らして労働環境を改善し、待遇改善にも本腰を入れる必要がある。政府は、先進国の中でも少ないとされる教育のための予算を増やすべきである。