女子バスケ大神、指導者でもパイオニア 発展コーチ就任
6/26(火) 16:56配信 ・朝日新聞デジタル
昨季限りで現役を引退したバスケットボールの元女子日本代表、大神雄子さん(35)が、所属するトヨタ自動車で「ディベロップメントコーチ」として契約すると発表された。耳慣れない肩書だが、バスケ界の将来を見据えた挑戦だと語る。
「言葉の通り、『発展』を目指すと言う意味です」と大神さん。1年間、コーチとしてチームに同行するが、主には指導者としての勉強に専念する。海外の先進事例を改めて学ぶ時間が欲しかった自身と、バスケ界全体を引っ張る存在となる指導者育成を目指していたチームの考えが合致した。
これまで米女子プロリーグのWNBAや中国リーグと、世界トップレベルでプレーして国籍を問わず知り合いができた。そのつてを使って世界各地の練習や試合に足を運び、チーム作りや指導法などを学ぶ。与えられた予算枠の中で自ら計画を立てて動くという。「持っている人脈はフル活用したい」
すでに中国リーグ時代に指導を受けたスペイン人コーチが指揮を執るロシアを訪問。相手チームの分析やミーティングの場にも同席させてもらった。今後も中国、米国を訪問する予定。
指導者になることは、現役時代からの夢だった。山形大女子バスケットボール部を全日本大学選手権で6年連続8強に導いた父・訓章さんの影響が大きいという。3月のWリーグプレーオフでは中心選手としてトヨタ自動車を3位に導き、「まだできる」と余力のある中での引退だった。それも「体力も充実している今が、新たな夢に進む時期」と判断したからだ。
国内外のチームでプレーする中で、選手が自分で判断できるチームが強いという信念を持つようになった。「選手の意見を引き出し、後押しできるコーチ」になりたいと考えている。
選手時代から卓越した行動力には定評があった。15年にトヨタ自動車に入ってからはWリーグ12チームの主将に呼びかけてLINEグループを作った。
審判との意思疎通はどうあるべきか。試合会場の設営不備をどう改善するか。選手の要望をまとめてリーグに伝える役割を自ら担った。「バスケ界の発展には選手の意見も必要」と考えている。
指導者としても「男女を問わず教えてみたい」。選手時代と同じく、すべてにおいてバスケ界における「パイオニア」でありたいと思っている。