保護者体罰禁止 明記へ 都の虐待防止条例案
2018年11月21日 東京新聞朝刊
東京都目黒区の五歳女児虐待死事件を受け、都は保護者による体罰の禁止を明記した子供虐待防止条例を制定する方針を固めた。都によると、児童虐待の防止を盛り込んだ条例は千葉、埼玉など九府県で施行されているが、体罰禁止を明記しておらず、成立すれば都道府県で初めてという。
都民からの意見を募った上で条例案をまとめ、来年二月開会の都議会への提出を目指す。罰則は設けない一方、行政が家庭内の親子関係に踏み込むことに、さまざまな意見が出る可能性がある。
子供への体罰は、学校では学校教育法で禁止されているが、家庭内では一律に禁止する法律はない。民法では親権者の子供に対する「懲戒権」が規定され、その権利の行使として体罰もあり得るとの解釈例があるためという。
都の担当者は「しつけと称して虐待を正当化することがないよう、条例に盛り込むことで、体罰によらない育児が重要とのメッセージを発信したい」と説明している。体罰のほか、暴言など「品位を傷つける形態による罰を与える」ことも禁止する方針。
目黒区の事件では、保護責任者遺棄致死罪などで起訴された父親が三月に逮捕された際、警視庁に「これまでにも、しつけと称して平手でたたいた」などと供述したとされる。