親知らず子知らず(正式には 親しらず子しらず)
平家落人の夫を慕って 雪の越後路に心を急がせる 母と幼な子
越後路最大の難所 親不知子不知
秘められた母娘の 悲しい伝承を歌う。
荒磯(ありそ)の 岩陰(いわかげ)に 苔むした地蔵が かすむ沖を じっと見つめている
子を呼ぶ母の 子を呼ぶ母の 叫びが聞こえぬか
母を呼ぶ子の 母を呼ぶ子の すすり泣きが 聞こえぬか
子を呼ぶ母の 子を呼ぶ母の 叫びがきこえぬか
母を呼ぶ子の 母を呼ぶ子の すすり泣きが 聞こえぬか
旅に病む父親の元へと 心を急がせた母と子に 北冥(ほくめい)の怒涛が グワッとツメをたて
次々に 次々に ふたつの悲しき命を 奪い去ったという
怒涛は何を怒ったか その怒りをなにゆえに 悲しき母と子に 向けたか
子を呼ぶ母の 子を呼ぶ母の 叫びが聞こえぬか
母を呼ぶ子の 母を呼ぶ子の すすり泣きが聞こえぬか
悲しき人を さらに悲しみで 追い打ちするを 人生というか
悲劇に向かって 悲劇に向かって 挑む者を 挑む者を ああ 運命の神は 憎むか
かもめは 鳴きつつ 飛び交い 海を潜り波を滑る かもめの歌の悲しさよ
じっと見つめる 苔むした地蔵も 夕暮れる
親知らず子知らずの 沖も 茫々 夕暮れる 夕暮れる
注 荒磯=荒波の打ち寄せる岩石の多い海岸
北冥=溟と書いてあるものもある。
冥は 冥土などに 使われる字で 暗い やみ 奥深い 死後の世界の意味
北の暗い海 (黎明は 私の思い違いでした)
怒涛=荒れ狂う大波
茫々=広々として はるかなさま
参考資料
親不知の名称の由来は いくつかの説があります。
一説では 断崖と波が険しいため、親は子を、子は親を省みることができないほどに
険しい道であることからと されています。(私も そう聞いたことがあります)
また 次のような 伝承もあります。
壇ノ浦の戦い後に 助命された平頼盛は
越後の国蒲原郡五百刈村(現在の新潟県長岡市)で
落人として暮らしていました。
このことを 聞きつけた奥方は 京都から越後国を目指して この難所に差し掛かります。
しかし・・・難所を越える際に 連れていたこどもが 波にさらわれてしまいます。
その時 詠んだ歌が
親知らず 子はこの浦の 波枕 越路の磯の 泡と消えゆく
以後 この子供がさらわれた浦を 「親不知」と呼ぶようになった というものです。
これらの伝承を元に 合唱曲 親しらず子しらず が つくられました。
今 この歌を歌うと 東北大震災のあの津波の映像と重なり
切なく目頭が熱くなります・・
作詞 山本和夫 (福井県 現小浜市生まれ。私と同じ福井県!児童文学作家 詩人
ちなみに いわさきちひろさんも 福井県武生市でうまれました。
私が住んでいた近所の豆腐屋さんの離れでうまれたそうな・・
今 そこは いわさきちひろ記念館になり石碑が建っています。)
町おこしも大変です。横道にそれました!
作曲 岩河三郎 (富山市生まれ。合唱曲をたくさん つくられています)
*次回の練習日に 印刷したものを 用意します。
(文責 いさやマッチ坊や)