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1月19日から3月2日まで、神奈川近代文学館において、食道楽の人・村井弦斎の企画展が開催された。 村井弦斎というのは、明治時代に『報知新聞』の編集長を務めるかたわら、自社の新聞で『食道楽』という料理小説を連載し評判を呼んだ人物である。 その小説を書くきっかけとなったのは、娘時代を伯爵の家で贅沢に暮らし、料理の腕前もプロ並であったという妻の存在だった。毎日、美味しい料理を食べ刺激を受けた彼は、それらを題材にして小説を書いたのである。 企画展では彼の草稿や写真、史料などが展示されていた。『食道楽』の中には当時の料理のレシピが多数登場しているので、会場内ではその試食コーナーでもあるんじゃないだろうかと勝手に想像していたのだが、もちろんそんなイベントはなかった。当たり前だよね。 ![]() ▲元町側にある外国人墓地の出入り口 神奈川近代文学館は港の見える丘公園の隣にある。企画展を観たあとは、ここからバスで関内・桜木町方面へ向かってもいいのだが、この日は天気も良かったので外国人墓地から見尻坂を下って元町へ出てみた。 ちなみに、見尻坂というのは、登る人のお尻が自分の目の前に見えるほど急であるところからそう名づけられたという。 外国人墓地のメインゲートは山手本通りに面して造られている。イギリスの詩人トーマス・グレイの詩が彫られた立派な門柱が建っており、観光スポットとなっているので、横浜の人なら知らない人はいないだろう。 だが、見尻坂を下ったところにある裏門はあまり知られていない。こちら側は観光地っぽくないので、みなさん素通りして行くのだが、ここの門柱にもなにやらプレートがはめ込まれている。 ![]() ▲個人の名前が書かれたプレート 近寄ってみた。「MEYER M LURY」って、誰だろう? Lury家の方がこの門を造って寄贈したようだが、有名な人なのだろうか。いろいろ調べてみたが分からない。これは外国人墓地資料館にでも聞くしかないようだ。 ![]() ▲生麦事件で犠牲となったイギリス人の墓 これは、その元町側の門近くにある「生麦事件犠牲者の墓」。以前は汚く朽ちていたのだが、最近、リニューアルしたようだ。 しかし、ここも観光客は気がつかず通り過ぎていく。 ![]() ▲振り向いたらこんな旗が眼に入った その生麦事件の犠牲者と向き合うような電柱で、赤地に白く「ラーメン」と染め抜いた旗がヒラヒラしているのに気がついた。こんなところにラーメン屋さんがあるのか? 一体どこに? この辺はよく通るのだが、今までまったく見過ごしていたのだろうか。 電柱の右に短い階段があり、これを降りて行ったところに店があった! この辺は完全な住宅街である。そんな中に有名な「元町梅林」があるが、同店が“隠れ家的割烹”なら、こちらは“隠れ家的ラーメン屋”といった風情。 ![]() ▲葦張りの店頭に小さな看板 店の名前は「下前商店」という。ラーメンと書いた赤提灯がなければ、魚屋さんと勘違いしそうな店頭の造りだ。しかも周囲は住宅街。階段道路のため車も通らないような、元町のエアポケット的な一画である。どこか異様な感じがするのだが、なんとなく直感で「いい店かもしんない」と閃き、恐る恐るドアを開けてみた。 ![]() ▲店内の図 まず目に付いたのは店主の雰囲気。年齢は30代だろうか、たった一人で寡黙にテキパキと仕事をしている。しかも動きに無駄がない。 そして何よりも気に入ったのは、店内、厨房設備の清潔さだ。ステンレス製の冷蔵庫や流し、作業台などはピカピカに磨き上げられていた。今でもグラブをきれいに磨いているイチロー選手に、どこか通ずるものを感じた次第である。 さらに、客層もちょっと雰囲気が違う。IT企業のサラリーマン風、アート系の若者、有閑マダム…そんな中に私のようなヨレヨレのおじさんが紛れ込んでしまったのだ。 こういった店内の状況を、およそ5秒で観察した。そして思った。 「う~む、おぬしデキルな」 ![]() ▲630円のラーメン 最近はギトギトのコッテリした家系ラーメンが流行っているが、ここのはまったくシンプルで懐かしい味わいである。すっきり、さっぱりした醤油系のスープ。色は濃いけど、決してしょっぱくない。むしろ甘みを感じるくらいだ。 このスープにストレートの細麺。ちょうどいい具合に茹で上がっている。トッピングは昔懐かしい叉焼、メンマ、ホウレン草、海苔、ナルト。聞けば叉焼もメンマも自家製とか。ナルトの置き方だって、「の」の字がちゃんと見えるように、裏表を確認して添えているようだ。 昔風の中華そばといった雰囲気が漂う。先客は皆、スープを最後まで飲み干していた。う~ん、その気持ち分かるなぁ。だって、このスープ、美味しいんだもんね。 店主が一杯、一杯、心を込めて作っているのだろう。また食べに来たくなる、嬉しい一杯だった。 ![]() ▲ビールはサッポロラガー ラーメンにトッピングされていた叉焼が美味しくて、次回に訪れたときには、ビールを飲みながら叉焼単品を味わってみた。 これは煮たのではなく、焼いたもの。柔らかくて、それでいて歯ごたえもちゃんとある、ウマイ一品だ。すぐに食べきってしまうのが勿体ないほど美味しかった。 それにビールがいい。サッポロラガーだ。好きだなぁ、サッポロビール。 ![]() ▲シンプルな“のりたまラーメン” 〆は「のりたまラーメン」。具には叉焼などは入っていない。あくまでも海苔と玉子だけ。いたってシンプルだ。海苔と玉子の置き方にもこだわりがあるのかな。 これがまた懐かしくて美味しい。 ![]() ▲ここはカレーライスも美味しいぞ ここの基本形はラーメンとカレー。それにご飯ものが少し。これまたシンプルではっきりしている。 これが結構気に入ってしまい、初めて行ってから何度も足を運ぶようになった。そしてこの日はカレーライス(840円)に挑戦。 これがまたウマイのだ。玉ネギとトロトロに煮込まれた牛肉が、超辛のルーに混じって絶妙のカレーに仕上がっている。ラーメン屋さんが、こんなに美味しいカレーライスを出してしまっていいいのだろうか。 そして、この日のお客は自分だけだったせいか、料理を出したあとはせっせと厨房磨きに徹していた。ここの店主、ただ者ではないぞ。 どこで修行してきたのだろうか。 表の葦張り、BGMのジャズ、あのシンプルなスープ、昔懐かしいラーメンと辛いカレー、折り目正しい作業姿勢…そう、大桟橋入口にある「ザ・ラーメン屋」だ。 だから、あれこれ、ものすごく似ている。しかし、本家の方はビルの軒先を利用したような店造りだが、こちらはさすが元町、あか抜けてお洒落でスタイリッシュな雰囲気。 元町方面に来たらぜひとも寄りたい店である。 ![]() |
私はURLだけメモしていてまだほとんど見てませんが。
http://www.yumyumtown.com/lib/shokudoraku/index.html
柴田書店の本を読破できるだけの暇と金が欲しいなあ、と思う今日この頃です。
よろしければ拙ブログの「なかよしリンク」に登場させたいのですが…
実は中華街以外も含めて、“横浜もの”でいこうと考えていたのです。しかし、時間もないことから中華街専門で始めました。やっているうちに、だんだんとはみ出してきたというわけです。
なかよしリンク登場はOKですよ。
まずラーメンは選ばないヌシですが
このシンプルなラーメンは食べたいかも…
でもね、でもね、カレーラーメン食べた時、ものすごーく辛くて・・・
それから、まだ、行っていないのであります。
近々、のり玉ラーメンにチャレンジ!!
ここのラーメンは旨いです。スープもメンマもチャーシューも。そしてあの清潔さ。ぜひ一度ご訪問を。
◇ひらめさん
カレーラーメンはまだ未挑戦。どれだけ辛いのか…
それから隣のお客が食べていた1000円のネギそば。ネギチャーシューが別盛りで、それをかき混ぜたあと麺に乗せて食べていました。あれならご飯ももらって、まずはネギチャーシュー丼として食べ、後半はネギラーメンにできますねぇ。