サンソン・フランソワと言うピアニストを教えてもらったときのことを
僕は懐かしく思い出す。それは個人的な秘密と呼ぶべきことなので、
ここで書くなんてことはしないけど、それまで、グールドとか、ポリーニとか、
「精密さ」や「鋭さ」の代名詞のようなピアニストばかりを聴いてきた僕にとって、
その対極に位置するような「サンソン・フランソワ」の演奏は衝撃的だった。
聴きはじめたタイミングによるところはあるかもしれない。
少年時代、学生時代を通じて聴いてきたピアノとはまるで違う演奏に、
30才になろうかという頃に出会ったので、古い時代の録音ばかりなのに、
本当に新鮮な気持ちで聴き入った。
そんな中でも僕がとびきり気に入っているのは「ラヴェル」。
本当に大好きなのだけど、サンソン・フランソワのラヴェルについては
辛辣な批評がかなり多いような気がする。
でも、でも。
愛され方が半端ない、と言っておきますか!
その手の批評とは正反対の側に、僕のような偏愛ぶり。。。とかそんなんじゃなくて、
「自分だけが愛しているサンソン・フランソワ」を心の中に住まわせて、
名乗りもあげずにいる人たちがたくさんいらっしゃる、そんな気がしてならない。
と、夜中に鳴らしながら、ふと思ってしまったものですから。。。