巨樹に魅せられて

巨樹巡りを趣味としていますが、気がつくと神社巡り。その周辺の話題もココに書き留めています。

「川合玉堂」

2013-07-14 11:04:36 | ふるさと
 版画が好きな私には珍しく、日本画家の登場です。
 先日NHKの日曜美術館で「山河よ ふるさとよ 日本画家 川合玉堂」と題して放映されました。











日本の詩情豊かな自然と、そこで生きる人々の営みを生涯描き続けた川合玉堂(1873-1957)。生誕140年の今年、その全貌に迫る展覧会が開かれている。
玉堂が描くのはいわゆる大自然ではなく、里山のような、自然と人が共存する心温まる世界。田植えにいそしみ、馬とともに峠を越える人々の姿を描いたその絵は、東日本大震災以降さらに多くの人の共感を集めている。
日本人なら誰もが「懐かしい風景」と感じる玉堂の絵。実はそこには、ある工夫が施されている。ありのままの景色を忠実に再現するのではなく、現実の自然や人々の営みを大量にスケッチしたのち、それを改めて再構築し、最高の心象風景を作り上げていったのだ。だからこそ、その絵には普遍的な輝きが宿り、「日本の原風景」として愛されていった。
明治・大正・昭和と画壇をけん引した巨匠・川合玉堂。時代を超え今も多くの人をとらえ、色あせることのない玉堂芸術の神髄に、玉堂の画力に魅せられ続けてきたという気鋭の日本画家・松井冬子さんの読み解きで迫っていく。


 日本の自然風景の中にそこで暮らす人々を書き込む画風。
 文字通り「日本の原風景」を絵で表現した人です。
 川瀬巴水のような「郷愁感」を誘う作風ではありませんが、より写実的でハッとする構図、さらに人物の書き込みはより詳細で、その時代に生きた人々の貴重な記録でもあります。

 橋下雅邦を師とし、東山魁夷を芸大の生徒として育てました。

 手元にいくつか画集があるのですが、この番組を見てからもっと大きな絵を見たいと思いました。
 細かい技や味わいが、画集の小さな絵では把握しきれません。

 現在「生誕140年記念展」を開催しているのですね。
 暑いけど、行ってみようかなあ。

「秩父山中 花のあとさき」

2013-07-07 15:10:48 | 里山
 NKK-BS放送で何回も再放送されている番組です。

番組内容
 戸数5戸、住んでいる人、9人。平均年齢73歳。埼玉県秩父郡吉田町太田部楢尾。東京からおよそ80km、埼玉県西部に連なる秩父山地の急峻(しゅん)な斜面にへばりつくように、その集落はある。桑畑の跡地に花や木を植える夫婦、段々畑を耕し杉林を守る人など、人々の暮らしと四季の移ろいを見つめ、深い愛情で結ばれた人々と山とのきずなを描く。




 江戸時代に住みつき、畑を耕し、蚕を飼い、杉を植えて生計を立ててきた小さな山村が終わりゆく物語。
 現実に生きている70歳台の老人達が出演しますが、なんだか昔話の世界の中にいるような錯覚を受けました。
 
 「道路ができたら若者は麓の街へ現金収入を目的に働きに出るようになった。」
 「勤めは9時から5時で休憩時間もあり、農業より全然楽だあ。」
 そうつぶやくおばあさん。

 彼女は、体の衰えから山の斜面での畑仕事ができなくなり、代わりに木を植え始めた。
 花の咲く木、紅葉が美しい木々。
 お世話になった山に畑を返す気持ちをこめて。
 また人が山に住むようになったときに心が和むように。

 10年前に制作された番組であり、このおばあさんは既に鬼籍に入っています。

 昭和期の養蚕が盛んな頃は、村祭りも盛り上がったことが老人達の記憶にのみ残る。
 獅子舞や笛太鼓を倉庫から持ち出して、演奏してくれました。

 村の鎮守は「十八神社」。
 昔は村のいろいろなことを話し合って決める集会を行う場所だったけど、今は年1回、正月に顔を合わせて酒を酌み交わすのみ。

 杉林の手入れをする元気な老人。
 冬は枝打ち、夏は下草取りと間伐。
 これをしっかりやれば、明るくて健康な杉林ができる。
 でも、収入にならないからと放置された杉林が目立つ。
 すると、杉の成長は遅く細い木しか育たない。
 暗い杉林には下草が育たない。
 そして、保水力も、地面を固める力も低下し、台風で斜面が崩れてしまう。

 この老人達がいなくなると、この村は消えてしまう・・・。