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「きよしこ」(重松 清著)【新潮文庫】
どこにでもいる少年。転校生。
言いたいことがいつも言えずに、悔しかった。
思ったことを何でも話せる友だちが欲しかった。
そんな友だちは夢の中の世界にしかいないことを知っていたけど。
ある年の聖夜に出会ったふしぎな「きよしこ」は少年に言った。
伝わるよ、きっと。
「きよしこの夜」、これは普通の読み方です。 でも平仮名で「きよしこのよる」と書いてみると、これは「“きよしこ”の夜」とも読める。
この物語は吃音の少年“きよし”と“きよしこ”の不思議な出会いをもとに、思うことを言葉として表現できない少年の内面的な成長を繊細に描いていく心に優しい物語です。
吃音というハンディを背負った少年。 しかし彼は決して孤独ではなかった。 “きよしこ”と出会ってからは。 それは言いたいことを「言葉」に置き換えなくても話は通じるし、「言葉」を都合の良い道具として使わなくても、大切なものは相手の心に伝わる。 そんなことを優しく教えてくれる小説です。
もしも自分がこの少年きよしと同じハンディを背負っていたとしたら、心にまでハンディを背負ったまま生きていただろうなぁなんて思いました。 むしろこの小説を読み始めて、少年きよしが出会った“きよしこ”は、僕の心の中のどこかに潜在的に潜んでいた“きよしこ”に、僕自身が出会うことの出来るチャンスをもらえたような気がしました。
まだ4冊しか読んでいない重松清さんの作風を語るのは早すぎると思いますが、今まで読んだ中で感じたことは、ある意味中年の域に入った自分自身の将来への不安と、同世代を生きた親への哀愁・惜別、また幼い頃描いていた自分自身の大人へのオマージュであり、過去の自分へのメタモルフォーゼのような、それは作者自身への“鎮魂歌”であるように感じました。
重松作品を読み始めて、これまで生きてきて出会った人たちの中で、忘れてしまっていた人との想い出の糸を手繰り寄せることが出来たことに感謝しています。
たとえば好きな映画を観ていると、そういう自分自身の想い出と重なり合うことがあります。 重松作品もまたそんなどこかに忘れてきた過去を取り戻すきっかけを作ってくれる作品でもあります。
作者のあとがきにの中に、この作品で重松さん自身がこの小説を通して言いたかったことを集約している文章があったので引用させていただくと、
「君が話したい相手の心の扉は、ときどき閉まっているかもしれない。
でも、鍵は掛かっていない。 鍵を掛けられた心なんて、どこにもない。
ぼくはきよしこからそう教わって、いまも、そう信じている。」
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最近読んだ『疾走』は、かなり過激でした。びっくり! 二人称で書かれていることも不思議な感じです。それでも、重松ワールド(って言っていいの?)は、根底に流れているのがわかるのです。「哀しい」お話だったかもしれない。
>独特の雰囲気とやさしさを感じる表現が好き
そうですね、僕も彼の創る世界観にと人間表現にハマっています!
>最近読んだ『疾走』は、かなり過激でした
映画化されるようなので、それまでには読みたいと思っています^^
『いとしのヒナゴン』の映画化の『ヒナゴン』は観ましたし、
『流星ワゴン』も映画化されるし、重松作品目が離せません^^
最近大泣きしたのは、西加奈子さんの「さくら」でした。もうひとつは梨木果歩さんの、「りかさん」でした。
本は欠かせない私です。
>西加奈子さんの「さくら」、梨木果歩さんの、「りかさん」
読んだことがないので、重松作品がある程度落ち着いたら、探してみたいと思います。
情報ありがとうございます^^
今は『流星ワゴン』読んでます。
私は『エイジ』が好きですよ。
重松作品は言葉にできない気持ちをうまく表現していて、温かくて厳しくて・・・。
いいですよね。
こちらからもTBさせていただきました。
重松作品はこれが初めてです。
書店で「疾走」のすごい表紙に気後れし、
読もうかどうしようか迷ってました
重松作品は、皆さんの書評を読ませて頂くと好評のようですので他の作品も読みたいと思っています。
また遊びに伺わせていただきます♪
これからも宜しくお願いします
>今は『流星ワゴン』読んでます
おっ、僕も読みましたが面白いですよね^^
映画化されるそうですし!
>私は『エイジ』が好きですよ
まだ未読です。これから読む予定ですが^^
>言葉にできない気持ちをうまく表現していて、温かくて厳しくて・・・。いいですよね。
そうですね、僕は特に三人称で描かれる重松さんの特徴が好きですね^^
『流星ワゴン』もレビュー書いていますので、
また感想聞かせてくださいね^^
>重松作品はこれが初めてです
では、ぼちぼちハマっている頃でしょうか(笑)?
>書店で「疾走」のすごい表紙に気後れし
僕もまだ未読です。でも映画化されるそうなので、公開するまでには読みたいと思っています。
重松ファンは多いですよね^^
僕もあちこち読み歩きビックリしました!
昨日「日曜日の夕刊」を読み終わりました。
近いうちにウップしますのでまた見に来て下さいね!
こちらこそよろしくお願いします^^
重松作品は面白いものが多いですね。
私のオススメは『疾走』です。ぜひ読んでみてください。
『流星ワゴン』も映画化されるのですか!?
へぇ~楽しみですね。
重松ファンは多いですね。うれしいです。
cyazサンのおかげで重松ファンの方のご意見拝見できました。
重松氏の本は文庫化されたものはたいてい読んでいるのですが、
どちらかというと、「カカシの夏休み」「日曜日の夕刊」「口笛吹いて」などの短編が好きです。
重松作品では、すべてを投げ出したくなるような、元気が出ない現実がたくさん描かれているけど、それでも主人公たちは諦めたりしないし、投げ出したりしない。
暗い中にもほんの一筋の光が見えるから、読んでいて私も頑張ろうって思える。
思い通りには行かない現実を前に嘆いてばかりいても仕方ないよなって、励まされるんですよね。
主人公の内言の声にも「わかるわかる」って思うことが多いです。
上の方で梨木さんの「りかさん」が紹介されていましたが、「からくりからくさ」「裏庭」もオススメですよ。
それではまたおじゃまします。
長文失礼しました。