CYCLINGFAN!!

自転車をこよなく愛し、自分の脚と熱いハートで幾つになっても、可能な限り、どこまでも走り続けます~♪

TPUチューブを考える(2)

2024-11-22 09:12:40 | 自転車用品
 最大のデメリットの価格がここまで下がると、とても魅力的な製品に思えます。何せTPUチューブは、ブチルチューブに比べると大幅に軽いことが最大の特徴なのですから。軽さが命と考えれているロードバイク乗りには、相当魅力的に思えてしまうのです。

 個人的にも完成車に付属したチューブを見て驚いたことがあります。1本120g以上もあるチューブが前後に2本も入っていたのです。100g軽量化するのに数万円というロードバイクでチューブだけで240gというのは相当な重量になります。あわてて手持ちのラテックスチューブに交換しました。Vittoriaのラテックスチューブはバルブが60mmなので、重さは85gでしたが、前後で50gの軽量化になりました。ミシュランのラテックスチューブは10gほど軽いのですが、23Cタイヤ迄の製品しかないのが残念です。

 一般的なプチルチューブは100g前後が普通で、最軽量の製品でも80gはあるのが一般的です。それがTPUチューブなら30~40gというのですから驚きです。前後2本で100gの軽量化が4000円で出来るのなら安いものでしょう。
 TPUチューブのチューブ部分の素材は「Thermoplastic PolyUrethane」の略です。日本語でいうと「熱可塑性ポリウレタン」です。名前の通り、熱で変形するポリウレタンということになります。このTPUは私の愛用サドルのFabric Cellの表面素材でもあり、なかなかの優れものです。寒い時期は少し硬めですが、夏場の暑い時期はフワフワなのです。ただ、経年劣化で徐々に可塑性が無くなって行くという欠点がありました。

 リムブレーキが主流の頃は熱に弱いTPUをチューブにするという発想は生まれなかったのでしょう。TPUチューブはディスブレーキ化の中から生み出された製品といえるでしょう。リムブレーキでもアルミリムならOKという製品もあるようですが、個人的にリム部分が熱を持つのは間違いはないので、お勧めは出来ません。TPUチューブはディスクブレーキ用のホイールに限定して使うのが原則でしょう。

 私の場合はディスクロードは第4世代のSupersix EVOのみなので、これまでTPUチューブの存在は知ってはいたのですが、ほとんど興味がありませんでした。ラテックスチューブが軽いことは知ってはいても、都度空気を入れるのが面倒で、ついつい100gのプチルチューブを使い続けて来たのです。
 CAAD10やCAAD12の頃は軽さが命みたいに考えていたのですが、還暦を過ぎた頃から、軽さより快適性を求めるようになり、バイクの重量はほとんど気にしなくなっているからです。ただ、昨年の秋に第4世代のSupersix EVOを購入してからは、このTPUチューブが気になり始めたのです。
 



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インタビューから紐解くログリッジの魅力(3)

2024-11-21 14:42:13 | プロ・ツール
 確かにヨナス・ヴィンゲゴーはチーム内の最大のライバルでした。ただ、彼も初めからエースだった訳ではないのです。『魚屋』とも綽名されたヴィンゲゴーはかつて練習生だった時代には水産加工場で働いていたこともある苦労人のようです。2021年のツールが最初のグランツールで、その時はログリッジのアシストのひとりに過ぎなかったのです。

 勿論、ヴィンゲゴーはログリッジの背中を見て育った選手のひとりです。母国の後輩ポガチャルといいヴィンゲゴーといいログリッジに憧れていた若手が、あっという間に自分を追い越してマイヨジョーヌを獲得して行ったのですから、ログリッジの心境は推し量るのも難しいと思っています。
 ポガチャルについては「彼とは友達ですし、彼が今、成し遂げていることは本当にすごいことです。信じられないほどのレベルですから、僕たちは彼をどうやって倒すかを考えるのではなく、自分たちをどう改善できるかを考えています。彼はもう20歳というような年齢ではありませんが、まだ若いですし、彼が持っている楽しさが最大の強みだと思います。それが自転車レースに対する姿勢を支えているんです。もちろん、パフォーマンスやパワーなどの数値も素晴らしいですが、楽しむという部分が彼の本当の強さだと思います」と応えているのです。友情を越えてリスペクトさえ感じさせるコメントでした。

 ただ、本人も決して諦めている訳ではなく、今季から加入したレッドブル・ボーラ・ハンスグローエというチームをヴィスマのようなグランツールでも勝てるチームにすることにシフトしているように見えます。
 「僕たち(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)はグランツールに勝つことに慣れているチームではありませんし、毎年必ず1つは勝てるわけではありません。だから、時間が必要です。皆が一歩ずつ進んでいく必要があります。僕も年を重ねていますが、まだ学んでいる最中で、これからも学び続けます。今年は何か新しいことを取り入れ、少しでも成長できればと思っています。」と口にしていました。35歳のログリッジが「まだ学んでいる最中で、これからも学び続けます」というのですから、チームの若手には良い刺激になるはずです。
 ツールの結果については、「最終的にどうなるか見てみる必要がありますが、今年のツールの総合トップ3、タデイ、ヨナス、レムコに対して、僕たちがあまり遅れをとっていないことは確かです」と振り返っているのですが、その言葉はブエルタの総合優勝で証明されています。個人としては大きな差でも、チームとしてなら何とか出来るというのが、ヴィスマで育ったログリッジらしい考え方でしょう。

 レッドブルが新たにスポンサーに付いたこともあり、レムコに対してビッグマネーでオファーを出したという噂もあります。ただ、レムコはクイックステップと来シーズンまでの契約があるので、来季の移籍はありませんが、ログリッジが現役でいる間に若い有力選手が加入すれば、将来的にはマイヨジョーヌを着用する選手が現れる可能性は十分にあると考えています。
 



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自転車乗りの体感温度(2)

2024-11-21 09:04:56 | ロードバイクの科学
  気温が20℃を下回るようになると、体感温度は10℃近くにまで下がりますから、防風対策だけでは足りなくなります。保温性のあるインナーをプラスするか、長袖ジャージにウインドジャケットという組み合わせが必要になるでしょう。気温が15℃以下になるとインナー+長袖ジャージ+ウインドジャケット、10℃を下回るようなら完全に防寒ジャケットが必要になります。

 一般的に体感温度が5度を下回ると、寒さを不快に感じるようになるそうです。体感温度から逆算すると、時速30kmで走る人なら気温12℃、時速20kmで走る人でも気温が10℃を下回ると寒さを不快と感じるようになるのです。
 これはあくまで机上の計算です。ロードバイクで走ることは運動ですから、心拍数を上げれば身体は温まります。気温が低くても坂を登れば汗ばんでくるのが普通です。これは運動強度が高くなり体温が上昇することに加え、登りで速度が落ちて風を切ることが少なくなる為です。
 個人的には風の影響なども考えて『外気温より5度~10度低めの防寒対策』を心掛けています。特に気温が15度を下回るようになると、耳を覆うためにスカルキャップやつま先の防寒対策としてのトゥカバーやシューズカバー、手の指先の防寒対策としてフルフィンガー・グローブもしっかり準備するようにしています。

 防寒ジャケットは気温10度を下回る状況では必要ですが、暑くなった時に困るので、極力インナー+長袖ジャージ+ウインドジャケットという3点セットで対応するようにしています。特にポケッタブルのウインドジャケットは必携です。登りで脱いで、下りで着ることが簡単にできるので、大変便利です。

 防寒ジャケットは防風処理されているのが一般的ですが、裏起毛の長袖ジャージでも防風加工がされていなければ、ウィンドジャケットやベストは必須になりますので、注意が必要です。ちなみにシマノの製品は1st、2nd、3rdレイヤーに分類されていて、気温に応じた重ね着を推奨しているようです。1stレイヤーはベースレイヤー、2ndレイヤーは裏起毛などの保温性の高いレイヤーですが、防風性能はありません。3rdレイヤーは保温性と防風性を兼ね備えたレイヤーになります。

 私が現在使っている製品は2ndレイヤーのウインタージャージと3rdレイヤーのウインドブレイクジャケットです。下にある程度保温性のあるベースレイヤーを着ける3枚重ねで走ってみましたが、気温5℃以下の状況でも寒さはほとんど感じませんでした。
 ただ、3rdレイヤーのウインドブレイクジャケットは結構高価になるので、2ndレイヤーのウインタージャージにウインドブレイカーを組み合わせる方が安上がりになるはずです。特に10度以下の冬場を避ければ、3rdレイヤーのウインドブレイクジャケットは不要かもしれません。

 自転車乗りにとってウィンドブレイカーは必需品です。個人的にはポケッタブルのものを利用しています。ただ、自転車用のウインドブレイカーで気を付けなければいけないことは、薄くて風でバタつかない製品であることです。あまり安物のウインドブレイカーは生地が厚すぎたり、薄手でも風をはらんでバタつく製品は空気抵抗が大きくなるので、注意が必要です。
 



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世界TOP10ライダーのバイクを考える(1)

2024-11-20 14:55:01 | ロードバイク
 2024年シーズンも終わり、年明けのツアー・ダウンアンダーまでの間、サイクルロードレースはお預けですが、今年、UCIのTOP10入りしている選手たちがどんなバイクを使用していたのかを見て行きたいと思います。バイクが選手のパフォーマンスにどのような影響を与えているのかを考えてみるためです。
 4年連続UCIワールドランク1位をキープしているタディ・ポガチャルはUAEチーム・エミュレーツでコルナゴのV4Rsを使用しています。ジロではピンク、ツールではイエロー、世界選手権ではスペシャルグラフィックのV4Rsに乗っていましたが、基本的なスペックは変わっていません。

 コルナゴのV4Rsは正直PinalleroのDOGMA F、TREKのMadone SLRなどと比べると非常に地味な印象ですし、CANYON AEROAD CFRとは明らかにエアロ性能が違う感じなのですが、ポガチャルに言わせると「反応性がよく、登りアタックで武器になる」バイクなのだそうです。
 コルナゴは「リアル・ダイナミック・スティフネス」(シィッティグ時とダンシング時でフレームかかる応力の違いをわけて考慮したフレーム開発設計)と呼ばれる独自の考え方を開発の主軸にあげているのです。エアロ性能に特化している訳でも、一際軽量というバイクではないにも関わらず、高いケイデンスで中高速域での安定した走りがポガチャルに合っているのかもしれません。おそらく、私のようなホビーライダーが低中速域で乗ってもあまり魅力を感じられないバイクなのかもしれません。素人にはTARMAC SL8やMadone SLRの方が分かり易いバイクなのかもしれません。

 ただ、ポガチャルのV4Rsはスペシャル機材が満載です。コンポーネントはシマノのDURA-ACEですがカーボンTi製のカーボンチェーンリングを筆頭に、ディスクローターはカーボンTiのX-Rotorで、スルーアクスルも同社製と軽量化への拘りが見て取れます。ディレイラーハンガーも社外品でポガチャルのパワーに負けないよう剛性を強化しているようです。

 特にホイールとハンドルセットは2023年からパートナーシップを組むENVEで、ハンドルは上側370mm/下側400mmというポガチャルのために作られた専用品。両側ドロップ部分にDI2スイッチ追加し、STIレバーをルールに抵触しないギリギリで倒しているのもポガチャルお馴染みのセッティングです。

 タイヤはコンチネンタルの軽量モデルであるGrand Prix 5000TT TRで、サイズは30C。昨年ポガチャルは28Cを使っていたのですが、更にワイド化した形です。幅広のENVEホイールとの組み合わせにより実測値は32mmを超えるといいます。ポガチャルの走りはバイクによるものというより、ホイールやハンドル、タイヤ等も含めたトータルで速くなる方向性で考えているように見えます。
 
 
 



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印象に残るレース:2024(2)

2024-11-20 09:07:55 | プロ・ツール
 個人的にはUAEの若手に注目していたので、ベテランで固めたパリ~ニースより、若手にエースを任せたティレノアロレアティコの方に力が入っていたのは確かです。時間的にイタリア開催のティレノアロレアティコが先で、パリ~ニースが後ということもあり、後半は寝落ちすることが多く、パリ~ニースには半分夢の中で、はっきりと覚えていないというのが正解かもしれませんが…

 レースとしてはレムコ・エヴェネプールとログリッジが顔を揃えたパリ~ニースの方が面白そうだったのですが、シーズン初めということもあり、ログリッジはピークに程遠く、レムコも積極性は見せ、最終日は意地でステージを取りますが、第6ステージでマッテオ・ヨルゲンソンやブランドン・マクナルティに1分近く遅れ、厳しい登りに課題を残しているように見えました。

 一時、総合首位に立ちリーダージャージを着ていたマクナルティも最終日に遅れ、総合で3位に後退しています。パリ~ニースをヨルゲンソンでティレノをヴィンゲゴーで征したヴィスマ・リースアバイクはログリッジが移籍しても影響が無いように見えていたのですが、バスク1周の落車がチームに大きな打撃を与えることになってしまったようです。
 ポガチャルこそ不参加でしたが、UAEのチームとしては有力選手はパリ~ニースに投入していたにも関わらず、レムコやログリッジではなく、ヨルゲンソンに負けてしまうのは予想外でした。中東ツアーの頃からアダム・イエーツやジェイ・ヴァインといったサブ・エースの低迷が気にはなっていたのですが、パリ~ニースもTTこそ強さを見せたものの、登りで遅れるというパターンは健在でした。

 マルク・ソレルがリタイヤしたとはいえジョアン・アルメイダ、フィン・フィッシャーブラック、フェリックス・グロスシャートナー、ブランドン・マクナルティ、ニルス・ポリッツ、ジェイ・ヴァインという名だたるメンバーでチーム総合こそ優勝になったものの、マクナルティのリーダージャージを守り切れなかったUAEはストラーデビアンケのポガチャルの圧勝が霞んでしまう感じだったのです。
 本来の力からすればアルメイダかジェイ・ヴァインが総合争いをしなければいけなかったのですが、どうもポガチャルがいないとチームの雰囲気が引き締まらないという感じだったのです。

 一方で若手主体で臨んだティレノアロレアティコではヴィンゲゴーには完敗したものの、アユソが総合2位、デルトロが総合4位と健闘を見せ、ヤングライダー賞をアユソが、チーム総合も優勝という結果でした。特に登りで度々遅れそうになりながら、テンポで刻みながら追いつくというしぶとさが際立っていたデルトロには注目でしょう。
 こちらのメンバーはアユソとデルトロにミッケル・ビョーグ、アレッサンドロ・コーヴィー、マルク・ヒルシ、ラファウ・マイカ、マイケル・ヴィンクで、ヒルシを除けばビッグネームはありませんでした。力からすればヒルシがエースでもおかしくはないのですが、アユソをGCライダーに育てるというチームの意向が働いていたのだと思います。この辺りが来季ヒルシが移籍を決めた理由なのかもしれません。
 モビスターから大きな期待をされてヴィスマへ加入したヨルゲンソンですが、ティレノの後はツールの前哨戦クリテリウム・ド・ドゥフィネで総合2位、ツールでは総合8位でレムコとの力の差は歴然でしたから、春先のティレノはレムコやログリッジの調子が上がっていなかったと見るべきかもしれません。
 チーム力は高いのに、ポガチャルがいないとスイッチが入らないベテランと違い、若手はポスト・ポガチャルを巡る熾烈な争いがあるので、派遣チームが逆なら面白かっただろうと想像をしています。ヴィンゲゴーの相手はベテランに任せ、若手のアユソやデルトロでレムコとヨルゲンソンを迎え撃っていたらと思うとワクワクします。
 

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