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4年に1度のスポーツの祭典とされるオリンピック。アスリートなら誰でも一度は夢見る舞台ですが、先日3度目のマイヨジョーヌを獲得し、あのパンターニ以来となる同一年のジロ・デ・イタリアとのWツールを達成したタディ・ポガチャルが疲労を理由にオリンピックを欠場することが23日に発表されました。
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欠場の理由が「疲労」と聴いてわが耳を疑いました。ライバルが不在のジロ・デ・イタリアはほぼ調整の状態で勝利し、その後はレースには出場せず、回復と高地トレーニングに費やし、ツールは2日目にあっさりマイヨジョーヌを獲得してしまいます。その後、タイム差無しのゴール順位の関係で1度はカラパスに譲ることになったものの、第4ステージの勝利ですぐに取り戻します。
その後は、全ての山頂ゴールを征しステージ6勝で3年ぶりにマイヨジョーヌを獲得することに成功しています。それも、本気で踏み込むシーンは限定的で、超省エネ勝利に見えたほどだったのです。ポガチャルにしては我慢に我慢を重ね、最小のエネルギーで勝てる瞬間を見定めていたように見えました。開幕前はビッグ4と言われていましたが、蓋を開ければポガチャル1強だったのです。
このままオリンピックに行っても勝てるのではと思っていたら、最後のインタビューで「次の目標はアルカンシエル」と答えいたのには驚きました。この段階でポガチャルはオリンピックの辞退を決めていたのでしょう。
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辞退の本当の理由は「疲労」ではなく、スロベニアのオリンピック委員会への不満だという意見もあるようです。パートナーのウルシガ・ジガードがスロベニア代表に選ばれなかったことにポガチャルはかなり憤りを示していたというのです。ウルシガ・ジガードは、2024スロベニアロードとタイムトライヤルの2冠を制しているのですから、ポガチャルの憤りも分かります。
近年のオリンピックは商業化が進み、東京五輪のその後が大変なことになっていたのはご承知のことと思います。オリンピックの開催時期が秋から真夏に変更されたのも、アメリカのTV局の圧力だと言われています。気温の最も高い真夏にスポーツの祭典を行う不都合は多々あるにも関わらずです。アスリートファーストを掲げながら、アスリートに過酷な環境で競技を強いるIOCには、私も大きな不信感を持っています。
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その中で起きた選手選考の不可思議はスロベニアだけではありません。ツールでポガチャルと熾烈な戦いを見せていたヨナス・ヴィンゲゴーもデンマークのオリンピック代表から漏れてしまっているのです。こちらはトラック競技との兼ね合いというデンマークらしい理由のようですが、ロードレースファンとしては納得し難いものがあります。
そもそもオリンピックが真夏開催になって以来、ツールとの兼ね合いが問題になっていました。今年はポガチャルが初めからオリンピックに興味を示さず、ヴィンゲゴーも代表から漏れていたため、総合争いにはほとんど影響はありませんでしたが、山岳賞と総合敢闘賞を受賞したカラパスは、東京五輪の金メダリストですが、エクアドルの代表からは漏れていた選手でした。また、フランスがオリンピック代表を意図的に遅らせた結果、序盤でフランス人の活躍が目立ったことも事実です。
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ファンデルプールはオリンピックを意識し過ぎたあまり調子が上がらないままツールを迎え、その煽りを食う形になってしまったのが、昨年のマイヨヴェールのフィリップセンでした。自らの斜行での降格もありましたが。3勝の内2勝が完璧なファンデルプールの発射台の結果でした。ファンデルプールの調子がもう少し良ければ、ギルマエのマイヨヴェールは無かったと思っています。このようにオリンピックとツールの間隔が無いことは4年に一度、ツールに影響を与えることになるのです。
流石に今年のオリンピックはパリ開催なのでA.S.OもIOCと協力し、シャンゼリゼゴールをニースでの個人TTに切り替えるなどしていましたが、ツール期間中にオリンピックを意識する選手がいることをA.S.Oは快くは思っていないはずです。
今回のツールでビッグ4と呼ばれた中でオリンピックの代表に選ばれているのはレムコ・エヴェヌプールとプリモシュ・ログリッジの二人だけです。ただ、レムコはタイムトライアルがメインで、ロードのエースはワウト・ファンアールトになるはずです。ポガチャルの欠場でリトアニアのエースはログリッジで間違いないでしょう。
ただ、ワンデイレースのオリンピックはステージレーサーよりワンデイレーサー向きで、ワウトのライバルはファンデルプールになるのでしょうか?ただ、ツールの走りを見る限り調子はあまり良く無さそうです。
ポガチャルの欠場ですっかり興味が失せてしまったオリンピックですが、それを夢見て挑む選手達には心から声援を送りたいと思います。日本人としては新城選手の健闘を願っています。
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