
いよいよ来週末からツール・ド・フランスが開幕します。注目はなんといってもパンターニ以来のジロとツールのWツール制覇がかかるポガチャルの走りでしょう。2020年に彗星のように現れた若きタディ・ポガチャルが初めてのツール・ド・フランス参戦でマイヨジョーヌを勝ち取ったのです。翌年も連覇し怪物と呼ばれるようになりました。

2022年はユンボ・ヴィスマが強力な布陣で、ヨナス・ヴィンケゴーがポガチャルからマイヨジョーヌを奪い取ってしまいます。遅咲きのヴィンケゴーは、ポガチャルが総合優勝したツール・ド・ラヴニールで、区間2勝していたのですが、その後も目立った成績を残していませんでした。ポガチャルが連覇した2021年に総合2位と頭角を現すと、この年のユンボは完全なポガチャル包囲網でマイヨジョーヌを獲得します。

前年は戦線離脱したトム・デュムランに代わり急遽初出場し、エースのプリモシュ・ログリッジのアシストのひとりでしかなかったのですが、彼の負傷離脱で巡って来た代役エースで総合2位と頭角を現します。4年前まで魚市場で働きながらトレーニングに勤しんでいた1996年生まれの25歳が、2度目のツール参戦で、シャンゼリゼの表彰台のてっぺんに立ったのです。
2021年には5分以上のタイム差を付けられていたヴィンケゴーが、よもやポガチャルを破ってしまうとは誰も予想していませんでした。誰もがポガチャルの3連覇を確信していたのですから。第6ステージの登りスプリントを征し、ポガチャルがマイヨジョーヌを獲得した時は、これで最後までマイヨジョーヌはポガチャルの物になると思っていました。

それが、最初の超級山岳ステージ(第11ステージ)でユンボ・ヴィスマが猛攻を仕掛けポガチャルを振り落とすことに成功し、ヴィンゲゴーが自身初のステージ優勝を飾ると共にマイヨジョーヌに袖を通すことになったのです。このステージでヴィンケゴーに3分近い差を付けられたポガチャルはその後標高の高い山岳が苦手だと思われるようになってしまいます。

ただ、これはガリビエ峠でヴィンケゴーとログリッジの度重なるアタックに反応せざるを得なかったポガチャルに最後のグラノン峠を登る脚が残っていなかったためだと私は考えています。ログリッジは翌年のジロ・デ・イタリアを優勝する選手ですから、二人のエースに一人で立ち向かうのは流石のポガチャルでも無理があったようです。連覇中のポガチャルには過信があったのかもしれません。
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