Being on the Road ~僕たちは旅の中で生きている~

日常の中にも旅があり、旅の中にも日常がある。僕たちは、いつも旅の途上。

東トルキスタンの夢と新疆の現実 第9回(タシュクルガンへ)

2020-11-08 00:38:14 | 旅行

2019年の記録

標高約3600mにあるカラクリ湖

早朝ホテルを出発、と言っても、バスが迎えに来た訳ではなく、ガラガラとスーツケースを転がして集合場所へ向かう。昨日、ホテルのフロントから「ツアーバスは、ホテルまで迎えに来ないので、集合場所の天縁商務国際大酒店へ自分で行ってください。」と伝えられた。やれやれ、ホテルに迎えに来てくれれば、ギリギリ朝食を食べて出発できたのに。天縁商務国際大酒店までは、タクシーで1メータと言っても、そのタクシーが、中々捕まらないし。タクシーを気にしつつ徒歩で天縁商務国際大酒店に到着。出発時刻の30分前には無事到着、大小のツアーバスがならび次々と出発していくもタシュクルガンツアーのバスは現れず。定刻をちょっと廻った頃にツアーバスが来る。定員20名ほどのバスは、ほぼ満席。僕以外は、ガイドを含めて漢族の旅行者。昨年参加したカラクリ湖日帰りツアーよりは、紳士淑女度が高い、いわゆる上級旅行者の感じである。車内で大声で話し、時には喧嘩して、食べ物のゴミをまき散らす人はいない。(その類の田舎のおじさんおばさんも朋友になると人情があって、悪い人ではないのだが)

 

定刻よりちょっと遅れてツアーバスは、無事出発。遅刻者がいないところも紳士淑女度が高さの現われか?途中、其尼瓦賓館でツアー客をピックアップして、全員集合。その時に登場したのが、3日間行動を共にすることになったTさんだった。もちろん、ツアーに日本人の参加者がいるなどとは思っていなかったので、第一声は、「日本人の方ですか?」といったものだったと思う。(日本語で聞いたか、中国語で聞いたか、よく覚えていない。) ただ、Tさんのお陰で、最高に楽しい旅行が3日間できた。旅行中知り合い、行動を共にする人は、一緒に居て楽しいか、否かに尽きる。もちろん、コミュニケーション能力が高く、現地の人との交渉や情報収集に長けていることに越したことはないが、それらは、あくまでもプラスαだ。少なくとも、その人の社会的地位といったことは、まったく関係ないと思う。Tさんも後になってわかったのだが、有名IT企業に勤める傍ら、海外に毎月プライベート旅行するワンダラーで、大手出版社のオンラインサイトに連載も始めたといった “凄い旅行者” だった。しかし、そんなことをひけらかすこともなく、目の前の旅を楽しむ姿勢は、尊敬に値する。 (人間としての器量が小さい僕は、「俺って凄いんだぜ!」って、ひけらかしてしまう。)

 

閑話休題、一路タシュクルガンへ、と書きたいところだが、ツアーバスは、市街地の中で停車。我々外国人の旅行許可書の手続きに手間取っていたみたいだ。同行の中国人客にとっては、さぞかし迷惑だったのではないか。

タシュクルガンへ向かう道の最後の街に立ち寄り休憩、遅めの朝食の買い食い。まだ、ウイグル族の地域だ。吊るしの肉を切って貰い量り売りが、中国の市場の肉屋のスタンダード。ナンを裸のまま並べて売るのも同じ。

昼食にドライブインで食べた牛肉面。見かけによらずボリュームはある。脂っこくなく、優しい味だった。

ツアーバスは、快調に走る。昨年は、片側交互通行で、1時間近い待ちがあったが、幸いと言うか、残念ながらと言うか、それはなく、カラクリ湖も車窓から眺める。高度は4千mを超えるが、実感はない。2度目の検問所のトイレに向かって崖を駆け登ったときは、さすがに息が切れた。

雪が残る7千m級の山々、空は青く、空気は澄んでいる。

湿地帯にはヤクが放牧され、背後の山々は、白一色。

標高4100mのスパシ峠を越え、北京時間19時と言っても北京よりはるかに西方のタシュクルガンでは、実質15時前に無事到着。

あらためてタシュクルガンの位置を確かめてみると、「思えば遠くへ来たもんだ」といった気持ちになる。

旅は続く