Being on the Road ~僕たちは旅の中で生きている~

日常の中にも旅があり、旅の中にも日常がある。僕たちは、いつも旅の途上。

東トルキスタンの夢と新疆の現実 第8回(カシュガル)

2020-11-03 15:53:12 | 旅行

2019年の記録

高台民居が描かれた壁、僕はカシュガルの旧市街を美しいと思う。

カシュガルの旧市街は、解放北路の西側(エイティガールモスクや僕の宿泊しているホテルがある)と東側、さらに帕依納甫路の東側の高台民居、それに国際バザール東側と4つに分けられる。高台民居は、前回の日記に書いたように封鎖されているようなので、解放北路の東と西を終日散歩した。旧市街のほぼ真ん中にホテルがあるのは都合が良い。疲れたらホテルの自室に戻りゴロンとすることもできるし、汗をかいたらシャワーを浴びても良い。

 

前の日記にも書いたが、どうにも街が閑散としている。住宅街を歩くと、外カギで施錠された住宅が目立つのだ。どういうことなのだろうか?

 

カシュガル空港で目にした不思議な光景がよみがえった。40歳前後の身なりもきちんとした男性が、迎えに来た母親と思しき女性と涙ぐんで抱擁している。そんな人たちが何組かいた。ひょっとすると彼らは再教育施設からの帰還組なのではないか?日本でも広く報道されているウイグル人の再教育施設だ。再教育施設という言葉からは、反政府的な言動のあった問題人物が収容されると考えがちだが、ウイグル人社会で影響力のある人から先に収容されていると聞いた。(統治の手法としては理に適っている。さすが中国共産党、って感心してどうする?) そのように考えると、身なりのきちんとした男性ということも腑に落ちる。

 

ウイグル人の弾圧や民族浄化のことは、最近、やっと日本でも報道されるようになった。しかし、すべての報道が、「中国共産党、けしからん!」といった一本調子の論調なのだ。確かにウイグル人の弾圧や民族浄化は、どこをどう切っても肯定されるところはないが、「なぜ、中国共産党は、ウイグル人弾圧、民族浄化をするのか?」といった根っこまで掘り下げていかないと、真の問題解決に至らないと思う。DNAレベルの異民族に対する恐怖心を漢族は持っているのではないか、漢族の友人や部下と話していると感じる。そのことは、万里の長城のような世界に類を見ない壁を作ったことからも想像できる。実際に漢民族は、少数民族のモンゴル族()、満州族()に征服された歴史を持っている。少数民族に征服された歴史を持たない日本人には、異民族に対する深い恐怖心を理解することはできないと思う。

 

外カギで施錠された扉を見ると、その先にある悲しい物語を想像してしまい、何とも言えない悲しい気持ちになった。旅は、どうしようもない厳しい現実を目のあたりにする経験を与えてくれる。決して心地よいものではないが、価値のある経験だ。

迷路のような旧市街を感じて欲しくて、1枚1枚が微妙に違う旧市街とウイグルの人たちの笑顔を撮影順にアップしました。スライドショーでご覧いただき、旧市街を散歩した気分になっていただけたら幸甚です。

旅は続く

 


東トルキスタンの夢と新疆の現実 第7回(カシュガル)

2020-11-03 15:37:37 | 旅行

2019年の記録

真っすぐな視線の女子中学生、聡明な瞳に何を映す将来があるのだろうか?

 

朝食の時に熟年日本人夫婦をみかけたので、声を掛けて一緒にコーヒーを飲む。旦那さんは、若いころフンザ(パキスタン最奥部の桃源郷)からクンジェラブ峠を越えて中国に入国したときのことを話してくれたので、筋金入りの旅行者だったのだろう。彼らの話だと、高台民居風景区※は、封鎖されているとのことだった。バザールを除くとビューポイントの大半は、宗教施設なので自由に拝観できるかも疑問だ。今日は、1日カシュガルの旧市街の散歩することにした。

※高台民居風景区:高台にウイグル族の古い住宅が密集したところ、昨年の訪問時は、風景区とはいっても、ウイグルの人が、リアルな生活をしていた。土壁と木材で無秩序に建設されたものなので、好意的に考えると安全上の問題かもしれない。

 

朝食の後、件の旦那さんからホテル前の解放北路の向かい側に鉄道の切符売り場があると聞いたので行ってみることにしたが、なかなか見つからない。移転前の窓口を見つけたものの移転先の案内を理解できず窓口をみつけられない。近隣の店舗の人に聞いてもわからない。「鉄道の切符を買うなら駅に行きなさい。」と教えてくれ、駅まで行くバス路線を丁寧に説明してくれる始末。一度ホテルに戻りに再チャレンジ、意外にあっさり見つけることができた。何のことはない、早くて窓口が開いていなかっただけだった。3日後のヤルカンド日帰り旅行の切符は、あっさり購入できた。

 

ところで、ヤルカンドまでは、頻繁にバスが往復しているのに鉄道を選んだ理由。バスだと町を通過するごとに検問があるようで、外国人、要するに僕の通過に時間が掛かって同乗者に迷惑を掛けたくなかったからだ。きっと同乗のウイグルの人たちは、時間感覚も違って、僕が思うほど迷惑には思わないかもしれないが、やはり避けたい。そんな訳で、どうしても鉄道で行きたかった。しかし、鉄道の選択が、吉か凶か、ほんとうのところは、今でもわからない。(詳細は、後日の日記で。乞うご期待!)

 

ビスケットのような外壁のデザインが僕は好きだ。

 

店番の男性にモデルをお願いすると、7割が笑顔で撮影に応じてくれ、1割がはにかんで撮影を拒む。そして、2割は、店の奥にいる奥さんまで引っ張り出して撮影を頼まれる。

 

旅は続く