Uさん、こんばんは。
ズームレンズが付いたカメラのファイダーを右目で覗き、左側の目で被写体(風景でも良いです)を見たことはありますか。
レンズの焦点距離を標準域(広角域)から、ズームしていくと、あるところでそれぞれの目で見た対象物が同じ大きさになります。
35㎜判の数値でいうと、70㎜から80㎜の間ぐらいに当たるはずです。
その状態で、対象物をじっくり見てみますと、対象物が浮き上がって見えるというか、かなり立体的に見えると思います。
なぜかというと、両眼の焦点距離がズレなくなり(一致して)、立体視出来るようになるからです。
それと、焦点距離からくる圧縮効果ですね。これで注視する対象物とそれ以外の背景がある程度整理されます。
そしてこの行為は、肉眼で普通にモノを見るようにしているのと同じです。
人の目は両眼で立体的にモノを見て、測距しているのですね。
我々は、普段このようにしてモノを見ています。
意識は余りしませんが、道理はこうです。
カメラは単眼(二眼レフの場合は、レンズ一つは撮影用、もう一つは視認用)ですけれど、焦点距離が人の目に一致するこのような数値のレンズで撮影すると、撮影された写真は誇張の少ないごく自然な描写になるはずです。
ポートレート撮影が35㎜判でいうと焦点距離80㎜前後で撮影されるのは、人の目と同じように見える描写の自然さ故だと思っています。
人の目に近いと言われる50㎜の標準域は、画角はそうかもしれませんが、焦点距離としては少し短い印象です。
で、70㎜~80㎜と言いますと、35㎜判では中望遠レンズと呼ばれるレンズの焦点距離でして、室内では撮影範囲が狭く感じられ、やや使い勝手が悪い場面も多いことでしょう。
戸外でもどちらかというと、景色を切り取る、といったように使われます。
遠景であれば、まぁフレーム一杯にイメージを取り込んでも足りない、といったこともあるでしょうね。
とにかく、ここで中判デジタルカメラの出番です。
例えば焦点距離が35㎜判で75㎜のところ、中判デジタルでは0.8倍の60㎜相当の画角になります。
これでも少し長めですが、手持ちの55㎜レンズなどでは、44㎜ぐらいの画角になります。
まぁやや短めの標準レンズといったところでしょうか。
中判デジタルの旨味の一つは、35㎜判に中望遠を付けたときよりは、より焦点距離は長いが、映る範囲はより広いという特性です。
数値上の差はわずかかもしれませんが、実際の撮影時では結構な違いが出たりします。
実際のところ、使い勝手を考えると、セミ版のセミ版みたいな中判デジタルの主流のセンサーサイズ(44㎜×33㎜)では、ちょっと寸足らずです。
本当はもう少し大きさが欲しいのだけれど、フル規格の645はフェーズワンの異常に高額な(確か500万円⁈)プロフェッショナルモデルしかありません。
もっと本音を言えば、6×7とか6×9のフル規格のセンサーサイズのデジタルカメラが適価で販売されれば、カメラ・オーディオの全てを売り払って手に入れるのですが、幸いなことに?このようなカメラは民生用では恐らく今後も絶無なままでしょう。
だから、現実的な選択肢としては、セミセミ判のこのデジタル645センサーしかありませんが、これでもまぁ十分ですし、35㎜判に中望遠を付けたときよりも、使い勝手は何かと上がります。
見た感じの自然さ、違和感の無さ・見た目の優しさを追いかけて、デジタル中判を買い求めました。
出てくる絵も違いますが、器材の大きさそのものも相まって、35㎜判やAPS-C,マイクロフォーサーズ機とは異なる撮影感覚となります。
持っているPENTAX 645Dは、もはやクラシックモデルとも言ってよいほどの古めかしいデジタルカメラです。
動作はとっても緩慢で媒体に記録する時間も異様に掛かりますから、連射は望むべくもありません。
必然的に単射となります。
自分は元々そういう撮影スタイルですから、これについては問題はありません。
重くてキレのある独特のシャッターフィーリングがあります。
1シャッター、1シャッターがなんだかやけに貴重なものに感じられます。
出てくるのは、目に優しくて自然で立体感のある自分好みの絵。
成功すれば、の話ですけれどね。
中判デジタルには 他の良いところもあります。
近いうちに、そのことも投稿したいと思います。
ではこれで失礼します。
ごきげんよう、さようなら。