前回の続きです。なお、カラスの逆説シリーズの公開済みの記事のタイトルに副題を付けるという変更をしました。
カラスの逆説-1-(06/05)でも紹介した、鋭い論点を披露している[異端的考察(2008/11/13)]に、おもしろい想定事例があります。
------- 原文通りではない -----
(命題-B)「すべての細菌は1センチ以下である」
母集団は生物全体とする
方法1 細菌を調べて、1センチ以下であることを確かめる
方法2 1センチ以上の生物を調べて、細菌でないことを確かめる
----------------------
著者は「細菌の集合が1センチ以上の生物の集合より大きいにもかかわらず方法1が適切である」という例としていますが、私は別の解釈をしてみたいと思います。
細菌の定義とは、現代生物学では真正細菌ドメインに属する生物となりますが、細菌であることの確認はどうすれば良いでしょうか? その特徴はいくつかあります。微生物であるという特徴は、むろんこの場合は使えません。
1) 単細胞である
2) 細胞壁がペプチドグリカンからなる
3) 細胞核がない(原核生物)
(命題-B)では細菌であることの確認方法がわからないということで次の命題を考えます。
(命題-B1)「すべての単細胞生物は1センチ以下である」
(命題-B2)「すべての細胞壁がペプチドグリカンからなる生物は
1センチ以下である」
(命題-B3)「すべての原核生物は1センチ以下である」
ここで問題となるのは、性質1~3の確認がいずれも大きさの確認に比べて遙かに手間がかかることです。1センチ以上か以下かで分ければ簡単に一次スクリーニングができることを考えれば、方法2の方が遙かに現実的な選択肢になります。ということで、この事例は実は、R(x)の確認とB(x)の確認とに難易度差がある場合の事例になっていたのです。
なお余計なことですが、(命題-B1)にはマガタマモや粘菌のような反例があります。ただしどちらも細菌ではありません。(命題-B2)や(命題-B3)にはたぶん反例は見つかっていません。
さて、これまで提案してきた解決案は実はヘンペル本人の提案でもあった、という話を次回にします。
カラスの逆説-1-(06/05)でも紹介した、鋭い論点を披露している[異端的考察(2008/11/13)]に、おもしろい想定事例があります。
------- 原文通りではない -----
(命題-B)「すべての細菌は1センチ以下である」
母集団は生物全体とする
方法1 細菌を調べて、1センチ以下であることを確かめる
方法2 1センチ以上の生物を調べて、細菌でないことを確かめる
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著者は「細菌の集合が1センチ以上の生物の集合より大きいにもかかわらず方法1が適切である」という例としていますが、私は別の解釈をしてみたいと思います。
細菌の定義とは、現代生物学では真正細菌ドメインに属する生物となりますが、細菌であることの確認はどうすれば良いでしょうか? その特徴はいくつかあります。微生物であるという特徴は、むろんこの場合は使えません。
1) 単細胞である
2) 細胞壁がペプチドグリカンからなる
3) 細胞核がない(原核生物)
(命題-B)では細菌であることの確認方法がわからないということで次の命題を考えます。
(命題-B1)「すべての単細胞生物は1センチ以下である」
(命題-B2)「すべての細胞壁がペプチドグリカンからなる生物は
1センチ以下である」
(命題-B3)「すべての原核生物は1センチ以下である」
ここで問題となるのは、性質1~3の確認がいずれも大きさの確認に比べて遙かに手間がかかることです。1センチ以上か以下かで分ければ簡単に一次スクリーニングができることを考えれば、方法2の方が遙かに現実的な選択肢になります。ということで、この事例は実は、R(x)の確認とB(x)の確認とに難易度差がある場合の事例になっていたのです。
なお余計なことですが、(命題-B1)にはマガタマモや粘菌のような反例があります。ただしどちらも細菌ではありません。(命題-B2)や(命題-B3)にはたぶん反例は見つかっていません。
さて、これまで提案してきた解決案は実はヘンペル本人の提案でもあった、という話を次回にします。
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