知識は永遠の輝き

学問全般について語ります

会計の中の二つの顔(4) 仕訳帳での債務や債権

2016-08-04 05:56:32 | 経済学
前回からの続き

 次に借入金(債務・負債)とその返済、および銀行預金出し入れ等の債権の取引です。

負債とその返済
  仕訳帳
  4) 借入 現金、 3000 // A銀行債務、3000
  5) 返済 返済金、1000 // 現金、1000

  元帳(現金勘定)
  1) 借入  現金、3000 // 
  2) 返済        // 現金、1000
  *) 差額        // 収益、2000

  元帳(債務勘定)
  1) 借入れ       // A銀行債務、3000
  2) 返済 返済金、1000 // 
  *) 差額  費用、2000 // 

  元帳(損益勘定)
  1) 現金        // 収益、2000
  2) 債務  費用、2000 // 
  *) 差額    0   //  0

 多くの人は御承知の通り、バランスシートではA銀行債務というのは企業への出資金の中のA銀行の持ち分であり、総資産に含まれます。つまり借入を行えば借入金の分だけ企業の総資産は増えます。いわゆる投資をした、という状態です。逆に返済をすればA銀行の持ち分が減り、同額だけ総資産も減ります。いわゆる資金を引きあげた、という状態です。そして自己資本比率は向上します。
 この自己資本の"自己"という言葉が問題で、個人経営の場合はほぼ経営者本人のことが多いでしょうが、株式会社では複数の株主を指します。自己とは自分のことではない、という点をおさえておけば複式簿記の概念は理解しやすいのではないでしょうか?

預金の出し入れ
  仕訳帳
  7) 引出し 現金、 500 // 預金口座、 500
  8) 預入れ 預金口座、2000 // 現金、2000

  元帳(現金勘定)
  1) 引出し 現金、 500 // 
  2) 預入れ       // 現金、2000
  *) 差額  費用、1500 // 

  元帳(預金勘定、債権勘定)
  1) 引出し       // 口座、 500
  2) 預入れ 口座、2000 // 
  *) 差額        // 収益、1500

  元帳(損益勘定)
  1) 現金        // 収益、1500
  2) 債務  費用、1500 // 
  *) 差額    0   //  0

 預金の出し入れの場合は、資産が現金から預金へ、またはその逆へと姿を変えるだけで資産額自体は変わりません。それゆえ預金はバランスシートの借方(debt)に記載されます。国債・社債・株券など他の金融資産を購入したり売却したりした場合も同様です。ただし他の金融資産では購入時と売却時で価格が変化していることでしょう。その変化分は次に述べる銀行利子と同様に利益または損失(費用)ということになります。

債務利子
  仕訳帳
  9) 債務利子 費用、50 // A銀行債務、50

  元帳(債務勘定)
  1) 債務利子      // A銀行債務、50
  *) 差額  費用、 50 // 

  元帳(損益勘定)
  2) 債務  費用、 50 // 
  *) 差額        // 損失、 50

 債務利子とはまさに資金調達のためのコスト、いわば調達資金の価格なのです。


預金利子、債権利子
  仕訳帳
  10) 預金利子 預金口座、50 // 

  元帳(預金勘定)
  1) 預金利子 口座、50 // 
  *) 差額        // 収益、 50

  元帳(損益勘定)
  2) 債務        // 収益、 50
  *) 差額  利益、 50 // 

 これはもう利益そのもの、投資の見返りですね。

 以上で主要な勘定項目は尽くしたでしょう。大きな分類は意外と少ないです。これらを理解すれば、国民会計の理解、ひいてはマクロ経済の理解にも役立つと思います。


次回はRef-1,2の比較をしてみます。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« フェリックス・マーティン『... | トップ | 会計の中の二つの顔(5) 二つ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

経済学」カテゴリの最新記事