“思いつき”のエネルギー政策では国が壊れる!日本が復活を賭けて目指すべき[ポスト原発」の選択肢 ( ダイヤモンド・オンライン ) - goo ニュース
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菅首相の発言を見ていると、深い考えがなく、そのときの思いつきで言葉を発しているように思えることが多い。なかでも、わが国のエネルギー政策に関する発言は、特にそう感じる。
福島原発事故の後、菅首相は原子力発電中心のエネルギー政策の見直しを宣言した。また、地震などの危険性を理由として、静岡県の浜岡原子力発電所の全面的な停止を中部電力に要請した。
浜岡原発を止めること自体には、住民の安全性を考えると、相応の説得力があるだろう。しかし、原発停止を実施したときに、電力供給の対応策などが明示されることはなかった。
そうした菅政権のエネルギー政策に関して、エネルギー専門家の中には、「菅政権の思いつきのエネルギー政策では、日本という国が壊れてしまう」と厳しく批判する声もある。わが国にとってとても重要なエネルギーの問題を、いとも簡単に結論を発する姿勢に対しては、専門家ならずとも疑問が湧くのは当然だ。
もともと国内に資源の乏しいわが国にとって、エネルギー問題は経済に大きな影響を与えると同時に、国民の生活に直結するファクターだった。それは、1970年代の2回のオイルショックや、2000年代に入っての原油価格高騰などを振り返ると、明らかである。
また、地球温暖化問題の高まりによって、化石燃料に代わる代替エネルギーの開発が注目されたこともあり、わが国にとって、エネルギーは極めて重要な問題だ。国のリーダーたる首相が、中長期的な展望を持つことなく、“思いつき”とも言われるようなエネルギー政策を口にすべきではない。
◆ オイルショック後の効率向上を実現した「原発依存」体質から、逃れられない日本
国内に資源の乏しいわが国は、多くの天然資源を海外からの輸入に依存せざるを得ない。その中でも、エネルギー資源の8割以上は海外に頼っているのが実情だ。それを強烈に再認識させられたのが、1970年代に起きた2度のオイルショックだった。
その後、わが国のエネルギー政策の柱は、必要とする絶対量を確保することが至上命題になった。そのため、中東の産油国との友好関係を維持するなどの方策がとられることになった。
一方、エネルギー資源の消費を抑えるために、民間企業を中心に、エネルギー効率を高める懸命の努力がなされた。その努力はかなりの成果を上げ、世界の主要国の中でもエネルギー効率の高い国と評価されるに至った。
その後、地球温暖化問題が顕在化するに伴って、二酸化炭素の排出量を減らすため、原油などの化石燃料の消費を減少すべきとの議論が盛り上がった。それで注目されたのが、二酸化炭素の排出量の少ない原子力発電だった。
原子力発電は、大規模な発電が可能になるため、化石燃料による火力発電に代わる有効な手段として認識された。
そうした事情を反映して、つい最近までわが国の中長期的なエネルギー政策の中心に据えられていたのが、原子力発電だった。2009年時点で総発電量の約61%を占める化石燃料を、2030年までに20%に引き下げると同時に、29%の原子力発電を同時期までに50%まで引き上げるプランだった。
つまり、わが国のエネルギー政策は「原子力重視型」だったのである。しかも、そのエネルギー政策は、自民党政権だけではなく、民主党に政権が代わってからも明確に認識されてきた。
◆ 震災後のエネルギー政策に必要な2つの視点ロードマップに国民の声を取り入れるべき
国のエネルギー政策を考えるとき、政府が考えなければならない点が2つある。1つは、今自国の企業や国民に、エネルギーに関して不自由させないことだ。企業が経済活動を行なうためには、必ず電力などのエネルギーを必要とする。電力供給に不安があると、自由な経済活動が阻害されることになる。
特に、クリーンルームと呼ばれる特殊な施設が必要な精密機械やIT分野では、
電力の安定供給は必要不可欠な要件になる。そうした分野は、他にも枚挙に暇がない。
また、国民生活にも電力供給は欠かせない。毎日の通勤・通学で電車が動かない状況は考えにくい。また、家電製品の普及を考えると、電気のない生活は1日たりとも考えられないだろう。政策当局は、短期的にもエネルギーが不足する状況をつくり出してはならないのである。
もう1つは、エネルギーに関する中長期的な視点だ。エネルギー供給については、海外からの調達先を含めて、短期間に回答を見つけることが難しい分野だ。しかも、国内で発電施設を建設するとなると、数年、あるいはさらに長い時間を要する。
そのため、政府は中長期的な需要・供給の予測や、代替エネルギー資源の開発など、長い目で見たプランづくりが必要不可欠になる。具体的には、現在利用可能な化石燃料などを効率良く利用しながら、太陽光や風力、地熱といった天然エネルギーなど、代替資源の開発を目指すことになる。
問題は、それぞれのプランの実現可能性や効率性などを考慮して優先順位を付け、実現に向けて推進することが必要なのである。政府は国民の声を聞きながら、しっかりしたロードマップをつくらなければならない。
◆ 資源に恵まれない国でも過度な悲観は不要エネルギー問題は逆にわが国復活のチャンス
ただし、資源に恵まれないわが国は、エネルギー問題について過度に悲観的になる必要はない。何故なら、今後の代替エネルギー開発について、わが国の高い技術力を生かすことができれば、わが国経済にとって大きなビジネスチャンスになる可能性があるからだ。
太陽光発電や燃料電池などでは、わが国企業が高いノウハウや技術力を持っている分野が少なくないと言われている。特に、太陽光パネルの生産については、わが国は有力な生産国の1つであり、スペインなど海外の大規模なプロジェクトでも受注実績がある。
太陽光発電は、今のところコストが高いため、一般家庭などでの普及が、期待されたほど進展していないという指摘はある。とはいえ、今後一段の技術開発や量産効果によって、コストを軽減することができれば、状況は大きく変化することも考えられる。
また、電池の精度向上などによって、発電した電気を大容量で貯めておくことも可能になるはずだ。それが現実のものになると、エネルギーを巡る景色は変わる可能性が高い。リチウムイオン電池などを実用化した実績があるわが国の企業とっては、蓄積してきた技術力を発揮する大きなチャンスになるはずだ。
単体の企業でそのチャンスを生かすことが難しいのであれば、政府が音頭を取って、複数の企業が技術や知恵を持ち合ってコンソーシアムを作り、それを使って世界市場で高いシェアの獲得を目指せばよい。わが国の企業再編のよい“きっかけ”になるはずだ。
今まで、資源の乏しいわが国は、蓄積してきた技術力や知恵、ノウハウを使って、世界有数の経済国の地位を勝ち取ってきた。エネルギー問題は、政府や企業の対処の仕方によっては、わが国が世界に対して強さを発揮する好機になるかもしれない。ぜひ、それを期待したい。
」
国に任せてても仕方ない.....ってのが、一番『こわい』考え方かも.....。
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2011年6月14日(火)08:40
◆ 浜岡原発停止も電力供給策は見えず思いつきのエネルギー政策に募る不安菅首相の発言を見ていると、深い考えがなく、そのときの思いつきで言葉を発しているように思えることが多い。なかでも、わが国のエネルギー政策に関する発言は、特にそう感じる。
福島原発事故の後、菅首相は原子力発電中心のエネルギー政策の見直しを宣言した。また、地震などの危険性を理由として、静岡県の浜岡原子力発電所の全面的な停止を中部電力に要請した。
浜岡原発を止めること自体には、住民の安全性を考えると、相応の説得力があるだろう。しかし、原発停止を実施したときに、電力供給の対応策などが明示されることはなかった。
そうした菅政権のエネルギー政策に関して、エネルギー専門家の中には、「菅政権の思いつきのエネルギー政策では、日本という国が壊れてしまう」と厳しく批判する声もある。わが国にとってとても重要なエネルギーの問題を、いとも簡単に結論を発する姿勢に対しては、専門家ならずとも疑問が湧くのは当然だ。
もともと国内に資源の乏しいわが国にとって、エネルギー問題は経済に大きな影響を与えると同時に、国民の生活に直結するファクターだった。それは、1970年代の2回のオイルショックや、2000年代に入っての原油価格高騰などを振り返ると、明らかである。
また、地球温暖化問題の高まりによって、化石燃料に代わる代替エネルギーの開発が注目されたこともあり、わが国にとって、エネルギーは極めて重要な問題だ。国のリーダーたる首相が、中長期的な展望を持つことなく、“思いつき”とも言われるようなエネルギー政策を口にすべきではない。
◆ オイルショック後の効率向上を実現した「原発依存」体質から、逃れられない日本
国内に資源の乏しいわが国は、多くの天然資源を海外からの輸入に依存せざるを得ない。その中でも、エネルギー資源の8割以上は海外に頼っているのが実情だ。それを強烈に再認識させられたのが、1970年代に起きた2度のオイルショックだった。
その後、わが国のエネルギー政策の柱は、必要とする絶対量を確保することが至上命題になった。そのため、中東の産油国との友好関係を維持するなどの方策がとられることになった。
一方、エネルギー資源の消費を抑えるために、民間企業を中心に、エネルギー効率を高める懸命の努力がなされた。その努力はかなりの成果を上げ、世界の主要国の中でもエネルギー効率の高い国と評価されるに至った。
その後、地球温暖化問題が顕在化するに伴って、二酸化炭素の排出量を減らすため、原油などの化石燃料の消費を減少すべきとの議論が盛り上がった。それで注目されたのが、二酸化炭素の排出量の少ない原子力発電だった。
原子力発電は、大規模な発電が可能になるため、化石燃料による火力発電に代わる有効な手段として認識された。
そうした事情を反映して、つい最近までわが国の中長期的なエネルギー政策の中心に据えられていたのが、原子力発電だった。2009年時点で総発電量の約61%を占める化石燃料を、2030年までに20%に引き下げると同時に、29%の原子力発電を同時期までに50%まで引き上げるプランだった。
つまり、わが国のエネルギー政策は「原子力重視型」だったのである。しかも、そのエネルギー政策は、自民党政権だけではなく、民主党に政権が代わってからも明確に認識されてきた。
◆ 震災後のエネルギー政策に必要な2つの視点ロードマップに国民の声を取り入れるべき
国のエネルギー政策を考えるとき、政府が考えなければならない点が2つある。1つは、今自国の企業や国民に、エネルギーに関して不自由させないことだ。企業が経済活動を行なうためには、必ず電力などのエネルギーを必要とする。電力供給に不安があると、自由な経済活動が阻害されることになる。
特に、クリーンルームと呼ばれる特殊な施設が必要な精密機械やIT分野では、
電力の安定供給は必要不可欠な要件になる。そうした分野は、他にも枚挙に暇がない。
また、国民生活にも電力供給は欠かせない。毎日の通勤・通学で電車が動かない状況は考えにくい。また、家電製品の普及を考えると、電気のない生活は1日たりとも考えられないだろう。政策当局は、短期的にもエネルギーが不足する状況をつくり出してはならないのである。
もう1つは、エネルギーに関する中長期的な視点だ。エネルギー供給については、海外からの調達先を含めて、短期間に回答を見つけることが難しい分野だ。しかも、国内で発電施設を建設するとなると、数年、あるいはさらに長い時間を要する。
そのため、政府は中長期的な需要・供給の予測や、代替エネルギー資源の開発など、長い目で見たプランづくりが必要不可欠になる。具体的には、現在利用可能な化石燃料などを効率良く利用しながら、太陽光や風力、地熱といった天然エネルギーなど、代替資源の開発を目指すことになる。
問題は、それぞれのプランの実現可能性や効率性などを考慮して優先順位を付け、実現に向けて推進することが必要なのである。政府は国民の声を聞きながら、しっかりしたロードマップをつくらなければならない。
◆ 資源に恵まれない国でも過度な悲観は不要エネルギー問題は逆にわが国復活のチャンス
ただし、資源に恵まれないわが国は、エネルギー問題について過度に悲観的になる必要はない。何故なら、今後の代替エネルギー開発について、わが国の高い技術力を生かすことができれば、わが国経済にとって大きなビジネスチャンスになる可能性があるからだ。
太陽光発電や燃料電池などでは、わが国企業が高いノウハウや技術力を持っている分野が少なくないと言われている。特に、太陽光パネルの生産については、わが国は有力な生産国の1つであり、スペインなど海外の大規模なプロジェクトでも受注実績がある。
太陽光発電は、今のところコストが高いため、一般家庭などでの普及が、期待されたほど進展していないという指摘はある。とはいえ、今後一段の技術開発や量産効果によって、コストを軽減することができれば、状況は大きく変化することも考えられる。
また、電池の精度向上などによって、発電した電気を大容量で貯めておくことも可能になるはずだ。それが現実のものになると、エネルギーを巡る景色は変わる可能性が高い。リチウムイオン電池などを実用化した実績があるわが国の企業とっては、蓄積してきた技術力を発揮する大きなチャンスになるはずだ。
単体の企業でそのチャンスを生かすことが難しいのであれば、政府が音頭を取って、複数の企業が技術や知恵を持ち合ってコンソーシアムを作り、それを使って世界市場で高いシェアの獲得を目指せばよい。わが国の企業再編のよい“きっかけ”になるはずだ。
今まで、資源の乏しいわが国は、蓄積してきた技術力や知恵、ノウハウを使って、世界有数の経済国の地位を勝ち取ってきた。エネルギー問題は、政府や企業の対処の仕方によっては、わが国が世界に対して強さを発揮する好機になるかもしれない。ぜひ、それを期待したい。
」
国に任せてても仕方ない.....ってのが、一番『こわい』考え方かも.....。