「
【冒頭発言】
国民の皆さん、関係者の皆さんに一点、物資輸送についてのお願いである。
16日、防衛省において地方公共団体及び民間からの救援物資の自衛隊による輸送のシステムを構築をした。このスキームについて、救援物資の輸送の受け付けについては、都道府県が窓口となっている。
地方公共団体や民間からの救援物資の自衛隊による輸送については、都道府県が窓口になっている。このため、救援物資を提供したいと考えの市町村や企業については、まず、各都道府県の窓口に連絡のうえ、調整いただきますようお願いする。
また、生ものや腐りやすいもの、日持ちをしないものはご遠慮いただきたい。直接持ち込みの方がいらっしゃって若干混乱したようだ。柔軟な対応をする一方で、混乱を避けるためにも、ぜひこうした善意による申し出については都道府県の窓口に相談をいただくようお願い申し上げる。
菅総理とオバマ大統領の電話会談について報告する。本日午前10時22分から52分まで、オバマ氏と総理が電話による会談を行った。
オバマ氏から深甚なるお見舞いの表明があった。そのうえで、「当面の対応のみならず、さらなる原子力の専門家の派遣や中長期的な復興も含めて、あらゆる支援を行う用意がある」旨、あらためて総理に伝えてくれた。
総理からは米国の支援に対する感謝の意をあらわした。また、「現在、原発事故に対して警察、自衛隊も含め全組織を動員して全力で対応している」旨を説明した。さらに、「米国から派遣されている原子力専門家と日本側の専門家との間で、引き続き緊密に連携していく」旨、回答した。
福島第一原子力発電所の冷却のための放水については、ほぼ同時刻、放水作業を行った自衛隊、防衛大臣の方から報告していると了解している。この自衛隊の空からの放水と、警察には現地の地上からの高圧放水車による放水と組み合わせることによって、できるだけ早く冷却の実を上げるべく、最善の努力をいたしている。
こうした中、周辺の皆さんには、退避をいただき、20~30キロ圏内の皆さんには屋内待機をお願いしているところだが、これまで退避された地域も含めて、病気や介護の必要な方、妊婦さんなどについては、できるだけ優先して対応してきている。
現在、屋内待機の地域の皆さんに対しても、特に、こうした災害弱者の皆さんに対するフォローを全力で行っている。ぜひ冷静に落ち着いた対応を、特にこうした生活弱者の皆さんを支えていただいている医療関係、介護関係の皆様にはこの場を借りてよろしくお願い申し上げる。以上。
【原発事故をめぐる放水作業】
――放水の効果は出てきているのか。
いま実際に現地で、地上からの放水の準備と合わせて調査をしていただいている。
――昨日、自衛隊が上空からの放水を見送った。昨日の時点では放射線量は高濃度だったということだが、どのくらいの数値があったのか。今朝はどうか。
詳細なデータ、数字についてはそれぞれ担当のところにおたずねをいただければと思う。そうしたデータに基づきながら、参考にしながら、国民の生命を守るという観点から、この事態を抑圧するために自衛隊、警察、現場の東電の皆さんはじめ、最大限の努力をしていただいている。そうしたなかで、今日放水に至ったということで報告を受けている。
【米国の対応】
――米国の原子力規制委員会委員長が議会で、福島第一原発4号機について使用済み燃料プールの水はすべてなくなっている、と証言。日本政府の情報に基づいての証言なのか。
おそらくそのご発言などがあって以降だと思うが、私どもの方から米国の専門家にこちらのより詳細な情報を提供して、すり合わせというか、認識が統一されているのかどうか整理させていただいている。
この間、米国の専門家の皆さんには、できるだけタイムリーにこちらのもっている情報を提供して、分析をいただいて、そうした分析も参考にしながら対応しているところだ。どうしても若干様々なものをお渡しをするなどについての時間的ずれが生じている。
特に4号機に現に水があるのかどうかについての情報については、若干米側に伝達するのに時間的な差があったという報告は受けている。
【米政府の避難勧告】
――在日米大使館は第一原発80キロ圏外への退避勧告を行った。日本政府の勧告とは違うが、勧告は妥当か。日本政府として勧告を変える考えはあるか。
私がもし日本の外で何か退避を要する事象が生じた時、それは原子力問題に限らないが、その場合における退避はまさに自国民保護の観点から、特に自分たちの国が直接コントロールしているわけではないので、より保守的な判断をするのは、日本政府の立場として在外におられる日本人に対してはそうだと思う。
そうした意味でアメリカ政府が自国民保護の観点からより保守的な判断というか、勧告をされることは一定の理解をしている。
一方で、現在の避難の圏内については、昨日からかなり多くの地点でモニタリングをして、特に20キロ~30キロの地点の放射線の量を把握している。
本日も午前中のデータ、まとまったら文科省から公表されるものと思っているが、そうしたデータを見ながら、国民の皆さんの健康に被害を与えることがないような退避の指示をしてきているつもりだし、もし今後もそうした情報に基づいて適切に対応してまいりたいと思っている。
――同盟国がこうした対応をとると、日本国民と周辺住民の不安をあおることにならないか。
一方で、先ほどオバマ大統領から菅総理にお電話があり、先ほどご説明しましたような両者間でのしっかりとしたコミュニケーションをとらせていただいているところで、ぜひ冷静に受け止めていただければと思っている。
――一部報道でアメリカ国防総省当局者が福島第一原発から半径約90キロ以内への立ち入りを原則禁止していると。把握しているか。
当該報道を含めて私は認識していない。
――今回の事故は国際原子力事象評価尺度でレベル4とされているが、米仏はレベル6と言われている。
これについては、当該機関で専門的な分析に基づいてそのレベルをご判定されるんだろうと思っている。いずれにしろ、日本政府としては国民の生命、健康を守るという観点から最善をつくすということに徹してやってまいりたいと思っている。
【経済への影響】
――円高が進んでいる。対応や為替介入の可能性は。
相場の問題なので、政府の立場としては、その動向をしっかりと注視をしていくというコメントにとどめさせていただきたい。
――何らかの経済に対する手当て、メッセージは。
日本の経済の基本的な実力はこの地震によって揺らぐものではないと思っている。
もちろん、いま現にこの影響によって様々な生産活動への限定的な制約要因がいくつか重なっているが、できるだけ早期にそうした状況から脱して、同時にもちろん日本のかなりの多くの地域が影響を受けているが、影響を受けていない地域においてはしっかりとした生産活動を含めて進められている。
こうした状況と、そしてこの未曽有の状況に対して、しっかりと国民が結束して乗り越えていくんだという姿勢を世界のマーケットに示していくことが何よりも大事なことだと思っている。
【5、6号機の状況】
――5号機、6号機は。
詳細な数字は別途、当該担当責任におたずねいただければと思うが、しっかりと今モニタリングして、その動向を注視しながら対応している状況。
――冷却を始めている状況ではないのか。
その報告は受けていない。ただ、まだ危険の高い状態に至るには若干の時間があるという報告は受けている。
【原発対策と地震対策】
――官邸が原発対応におわれ、被災者支援が手薄になっていると民主党内からも指摘があるが。
震災だけでも大変な事態であって、これに全力で対応する。同時に福島第一原発の事態、これが地震と関係なく起こったとしても、これだけでもそれに匹敵するぐらい大変な事態ということで、両面について菅総理は全力をあげて取り組んでいるところだ。
そして、原発は海江田経産大臣、それ以外の震災対策は松本防災担当大臣を中心にですね、菅総理の下で万全の対応で努力をしてきている。
まだまだ被災地の皆さんに大変なご負担、ご不便をおかけをしているが、最善の努力を進めてきている。若干、どうしても皆さんの注目がどうしても原子力発電所に強く注がれておりますし、また色々なものが変化をしながら事態が動いているということで、どうしてもそちらに対する動きばかりが目に付いてしまっているのかなとは受けとめている。
両者をどちらもまさに全力で、どちらが大事とか、どちらが優先とかいう問題ではないということで、実際の仕事そのものは両輪で動いていることを理解いただければと思う。
【自衛隊の物資輸送】
――冒頭の自衛隊の輸送システム。個人も含めて、政府が直接出す物資以外はすべてこれに一本化するのか、これで解決するか。
詳細については防衛省とそれぞれ都道府県にお尋ね頂ければと思っているが、個々人のこういう時の被災者に対する思いはほとんどの国民の皆さんは強い思いをお持ちだろうと思う。
個人のレベルで個々にそれぞれの物資をお送り頂くというのに、対応を個別にするよりも、いまは市町村単位でまとめて頂く、あるいは企業が大口でやっていただく、こういうことを基本窓口にして、自衛隊に現地に届けて頂くということ。
そうした思いをお持ちの個人の方がいらっしゃいましたら、まずは市町村にお尋ね頂くのがいいんじゃないかというふうに思っている。
それから輸送について、物資の輸送などについてだが、今日の朝の時点でタンクローリーなどの通行というか、従来から通行そのものを規制していたわけではない。
自衛隊員のマネジメントを一昨日ぐらいから行い、相当のタンクローリーが現地に向かう状態で動きだしているということを業界の方から報告を受けている。
【被災地の物資不足】
――被災地ではガソリンなど燃料が不足。避難所で不安を持っている人もたくさんいる、政府として燃料解消の対策や今後の見通しは。
この問題については、早い段階から燃料は重要であると、特に寒い地域での冬の被災であるということで、特に重視して取り組んできた。一昨日くらいから、さらにしっかりと政治がイニシアチブをとって、マネジメントをしないといけないということで、そこから主に二つの大きなことを行う。
一つは、異例中の異例だが、自衛隊の皆さんが、特に被災地の幹線道路などから遠いところに一番アクセスできるのは自衛隊。この自衛隊の持っている自らの燃料を直接提供すると、これは異例中の異例のことだが、こうしたことは決定、昨日だったか、一昨日の夜だったかに決定頂いている。
もう一つは、現地に、被災地に燃料がなかなか届いていないということは、昨日もこの場で幾つか説明したが、合成の誤謬的なことが生じていて、どこか1カ所何とかすれば解決するということではなくて、石油を送り出す方、それからガソリンスタンドがちゃんと開いて頂くこと、そこで交通、流通、物流が確保されること、そしてそうしたことが外でどういうふうに燃料を確保されているのかを追尾することなど、トータルのマネジメントが必要だ。
そのことについては一昨日の午後くらいからもういちど組み立てをしてまして、そしてそれに基づいて今日からタンクローリーが相当動いているということを業界のほうから報告をいただいた。
避難所などの皆さんのご苦労はあまりあるものがある。全力をあげているので、もうちょっとの間、待って頂ければと思う。
――陸路が厳しいところに物資が届いていない。ヘリを使う手段などはどの程度取られているのか。
具体的に何便飛ばしているとかということについては、まさに自衛隊におたずねいただきたい。この間、自衛隊による空路、それからここ数日は、被害を受けた港なども特に燃料については海路も含めて陸路の厳しいところについては必要に応じて物資を届けるというオペレーションは震災の翌日ぐらいから動き出している。
ただ、実際には現地に届いていないということについては、どこにそのニーズがあるのかということの把握、掌握、それから例えば一つの地域において、分散して避難所があるということの中で、その地域の中で物資を分けていただくということについて、それぞれの地域にお願いをしなければならない。
こうしたこととの全体の中でなかなか現地に届いていない、あるいは不足をしているという部分があるのは認識している。従ってとにかくそういった地域の送る量を多くするということについて全力をあげて取り組んでいるところだ。
――市町村レベルで労力が足りないところは。
そういう市町村があることは当初から当然認識、想定している。そうしたことについては市町村に直接かかることなく、一義的には制度上、県だが、県のほうに国のほう、総務省からバックアップし、その結果として県のほうは当該地域をバックアップする。
なおかつ、行政そのものがダイレクトではなくても、そうした地域については物資をおろすなどについては進めるように指示してきている。
【原発事故、通常電源の効果】
――通常電源の確保で、冷却のための注水にどの程度効果があるのか。
第一原発に外からの普通の電源をということに向けて、努力を進めているという報告は受けている。どの時点でそれがうまくいくのかということについては、まだ確定的なことを申しあげる段階ではないと思う。
――通常電源の回復の実現の見通しと回復した場合の効果は。
現時点ではそれに向けて全力をあげているというのは私のところにあがってきている報告だ。当然、ぜひとも急いでほしいという指示を出している。これについての効果については一定の効果があることは間違いないが、それだけですべてが解決するわけではないということも同時に認識している。
【原発4号機の火災】
――4号機の使用済み燃料プール。米側との情報にズレがあったというが、米側の専門家の見解を否定する情報を持っているのか。
私が情報についての評価ができる立場ではないが、日本側が評価、判断した情報と米側に同じ情報をもっていただいて、ちゃんとご相談をしなければならないと。
そこに若干、当然、日本側が収集している、日本の主権の中での情報でありますので、できるだけタイムリーにお出しをする努力をしていますけれども、特に4号機の状況については、届くのに時間的な差があった、という事実関係をご報告した。
――その4号機の状態はどうなっているのか。
今の4号機の状況については、使用済み核燃料のプールの状態について大変、注視をしている状態だ。
この状態が正確にどうなっているか、ということについては断定的な評価はしてない、というふうに聞いている。3号機のプールの状態のほうがより優先的に冷却をしなければならない状態であって、そのように空からの放水も3号機からまず行った、という報告を受けている。
【買いだめ防止策】
――被災を受けた方に何かしなければとの機運がネットでも。一歩踏みこんだ買いだめ防止策は。
被災地以外のところでも、モノがなくなっている、店頭にはいくつかの商品で見られている。現時点であるものが国内的に、全国ベースで不足して、守るためには買いだめをしなければいけないという状況になっているものがあるとは認識をしていない。
全国の皆さんがそうした状況を踏まえて、冷静に対応して頂ければ、若干ご不便はかけることがあっても、その分を東北地方にお送りするということのなかで、被災者の皆さんの今の苦しい状況をサポートし、それぞれの個々の生活に大きな支障なくやっていける。ぜひとも買いだめ等に走らないでいただきたいと重ねてお願いを申し上げる。
政府としては万全を期すためにあらゆることを想定した準備はしている。阪神淡路大震災のときに見られた日本国民の英知、今回の地震でも多くの皆さんから寄せられている声を考えるなら、わたしどものこうした呼びかけに国民の皆さんが応じていただいて、一種、法的、強制的な対応は検討はしているが、そこに至ることなく冷静な対応をして頂けるものと信じている。
――買いだめの防止策について、強制的な対応とは例えば、どんなことか。
まさに今、検討しているので、検討している段階で軽々にお話申し上げるべきではない。また、その手段は使わないでいいように、私は日本人の多くのみなさんは良識的、冷静な行動をしていただけると信じている。
【災害弱者対策】
――災害弱者のフォローの話。どんどん高齢者が倒れている。もうちょっと早く災害弱者の命を助けることができないのか。
今、まさにそれこそ陸路が届かないところについては自衛隊、空路を含めて。それから国として、全国の自治体含めて医療関係者の派遣できるチームは現地にお送りして、しかも、できるだけ被害の大きいところにそうした皆さんに行って頂く努力はもう震災当日から進めてきている。
また、同時にそうした弱者のみなさんを受け入れていただける自治体、受け入れる病院は、施設がないと。こうしたことについても、むしろ国が直接の部分は数に限りがあるので、各都道府県、市町村にもお願いをしている。そうした中で、全力を尽くしている。
現実問題として、寒い避難所でたいへん厳しい思いをしていらっしゃる高齢者の方、多々いらっしゃることを大変厳しく受け止めている。全力を挙げて、一刻もそうしたみなさんの状況を改善するため、さらに努力してまいりたい、と思っている。
――関連して、避難・退避を含め、妊婦さん、乳幼児が一番影響を受けやすいと思うが、対策は。
現在、測定されている。昨日の時点で測定さている、専門家のみなさんに分析いただいている数値では、そうしたみなさんも考慮した上で、今の指示の内容で適切であると認識をしている。
しかし、そうした中でも、妊婦さんなどには、しっかりとしたフォローをしていかなければならないという認識はしている。特に医療関係や介護関係のみなさんに対してのお願いというのは現地で非常に頑張っていただいていると思うが、特にこうした原子力のほうについても、退避地域の介護関係、医療関係のみなさんには、繰り返しになりますが、繰り返し申し上げていますが、一日中24時間、外でいても健康に害を与える数値ではないということの中で、念のため屋内にいてください、少ないですからという指示なので、今の指示がある限りは、患者さん、介護を要するみなさんのフォローにしっかりと対応していただきたい。
できるだけそうしたみなさんについては事前、あらかじめの相当の準備を組み立てるべく検討している。ぜひしっかりとしたフォローをお願いしたいと思う。
【首相発言】
――確認したい。昨日総理が笹森内閣特別顧問と会った際に、東日本がつぶれるんじゃないかという発言をしたというが、事実関係の確認と、政府として最悪の場合、そういう事態を想定しているのか。
笹森顧問がどういった発言をされたのか、直接承っていない。また、総理がどういうふうにおっしゃったのかも直接、承っていないが、私が総理などと話をさせていただいている中では、まさにたいへん大きな既に影響も、これは地震のことだけでもそうですが、それに加えて原子力だけでも、東北、あるいは東日本のさまざまな分野に影響を与えている状況であるので、これはこうした事態をさらに広げることがあってはいけないと。今の状況から何とか抑えてそれを沈静化させる方向に最大限努力しなければいけないと、そういったニュアンスのことは、総理はおっしゃっておられる。そうした趣旨のことだと私は思っている。
【日米首脳電話協議】
――総理とオバマ大統領の電話会談で、米側があらゆる支援をしたいと言ったそうだが、冷却活動に米軍の直接の関与を打診する考えは日本政府にあるのかないのか。物資が不足している点について、米軍に要請する考えはあるのかないのか。
これは昨日以来から繰り返し申し上げているが、すでに自衛隊の幕僚部と、米軍の司令部で実務的直接的にご相談をしていただいている。
そうした中で可能なところから実施をしていただく、という段階に入っている。
」
2011年3月17日16時27分
枝野幸男官房長官の17日午前11時半の記者会見の内容は次の通り。【冒頭発言】
国民の皆さん、関係者の皆さんに一点、物資輸送についてのお願いである。
16日、防衛省において地方公共団体及び民間からの救援物資の自衛隊による輸送のシステムを構築をした。このスキームについて、救援物資の輸送の受け付けについては、都道府県が窓口となっている。
地方公共団体や民間からの救援物資の自衛隊による輸送については、都道府県が窓口になっている。このため、救援物資を提供したいと考えの市町村や企業については、まず、各都道府県の窓口に連絡のうえ、調整いただきますようお願いする。
また、生ものや腐りやすいもの、日持ちをしないものはご遠慮いただきたい。直接持ち込みの方がいらっしゃって若干混乱したようだ。柔軟な対応をする一方で、混乱を避けるためにも、ぜひこうした善意による申し出については都道府県の窓口に相談をいただくようお願い申し上げる。
菅総理とオバマ大統領の電話会談について報告する。本日午前10時22分から52分まで、オバマ氏と総理が電話による会談を行った。
オバマ氏から深甚なるお見舞いの表明があった。そのうえで、「当面の対応のみならず、さらなる原子力の専門家の派遣や中長期的な復興も含めて、あらゆる支援を行う用意がある」旨、あらためて総理に伝えてくれた。
総理からは米国の支援に対する感謝の意をあらわした。また、「現在、原発事故に対して警察、自衛隊も含め全組織を動員して全力で対応している」旨を説明した。さらに、「米国から派遣されている原子力専門家と日本側の専門家との間で、引き続き緊密に連携していく」旨、回答した。
福島第一原子力発電所の冷却のための放水については、ほぼ同時刻、放水作業を行った自衛隊、防衛大臣の方から報告していると了解している。この自衛隊の空からの放水と、警察には現地の地上からの高圧放水車による放水と組み合わせることによって、できるだけ早く冷却の実を上げるべく、最善の努力をいたしている。
こうした中、周辺の皆さんには、退避をいただき、20~30キロ圏内の皆さんには屋内待機をお願いしているところだが、これまで退避された地域も含めて、病気や介護の必要な方、妊婦さんなどについては、できるだけ優先して対応してきている。
現在、屋内待機の地域の皆さんに対しても、特に、こうした災害弱者の皆さんに対するフォローを全力で行っている。ぜひ冷静に落ち着いた対応を、特にこうした生活弱者の皆さんを支えていただいている医療関係、介護関係の皆様にはこの場を借りてよろしくお願い申し上げる。以上。
【原発事故をめぐる放水作業】
――放水の効果は出てきているのか。
いま実際に現地で、地上からの放水の準備と合わせて調査をしていただいている。
――昨日、自衛隊が上空からの放水を見送った。昨日の時点では放射線量は高濃度だったということだが、どのくらいの数値があったのか。今朝はどうか。
詳細なデータ、数字についてはそれぞれ担当のところにおたずねをいただければと思う。そうしたデータに基づきながら、参考にしながら、国民の生命を守るという観点から、この事態を抑圧するために自衛隊、警察、現場の東電の皆さんはじめ、最大限の努力をしていただいている。そうしたなかで、今日放水に至ったということで報告を受けている。
【米国の対応】
――米国の原子力規制委員会委員長が議会で、福島第一原発4号機について使用済み燃料プールの水はすべてなくなっている、と証言。日本政府の情報に基づいての証言なのか。
おそらくそのご発言などがあって以降だと思うが、私どもの方から米国の専門家にこちらのより詳細な情報を提供して、すり合わせというか、認識が統一されているのかどうか整理させていただいている。
この間、米国の専門家の皆さんには、できるだけタイムリーにこちらのもっている情報を提供して、分析をいただいて、そうした分析も参考にしながら対応しているところだ。どうしても若干様々なものをお渡しをするなどについての時間的ずれが生じている。
特に4号機に現に水があるのかどうかについての情報については、若干米側に伝達するのに時間的な差があったという報告は受けている。
【米政府の避難勧告】
――在日米大使館は第一原発80キロ圏外への退避勧告を行った。日本政府の勧告とは違うが、勧告は妥当か。日本政府として勧告を変える考えはあるか。
私がもし日本の外で何か退避を要する事象が生じた時、それは原子力問題に限らないが、その場合における退避はまさに自国民保護の観点から、特に自分たちの国が直接コントロールしているわけではないので、より保守的な判断をするのは、日本政府の立場として在外におられる日本人に対してはそうだと思う。
そうした意味でアメリカ政府が自国民保護の観点からより保守的な判断というか、勧告をされることは一定の理解をしている。
一方で、現在の避難の圏内については、昨日からかなり多くの地点でモニタリングをして、特に20キロ~30キロの地点の放射線の量を把握している。
本日も午前中のデータ、まとまったら文科省から公表されるものと思っているが、そうしたデータを見ながら、国民の皆さんの健康に被害を与えることがないような退避の指示をしてきているつもりだし、もし今後もそうした情報に基づいて適切に対応してまいりたいと思っている。
――同盟国がこうした対応をとると、日本国民と周辺住民の不安をあおることにならないか。
一方で、先ほどオバマ大統領から菅総理にお電話があり、先ほどご説明しましたような両者間でのしっかりとしたコミュニケーションをとらせていただいているところで、ぜひ冷静に受け止めていただければと思っている。
――一部報道でアメリカ国防総省当局者が福島第一原発から半径約90キロ以内への立ち入りを原則禁止していると。把握しているか。
当該報道を含めて私は認識していない。
――今回の事故は国際原子力事象評価尺度でレベル4とされているが、米仏はレベル6と言われている。
これについては、当該機関で専門的な分析に基づいてそのレベルをご判定されるんだろうと思っている。いずれにしろ、日本政府としては国民の生命、健康を守るという観点から最善をつくすということに徹してやってまいりたいと思っている。
【経済への影響】
――円高が進んでいる。対応や為替介入の可能性は。
相場の問題なので、政府の立場としては、その動向をしっかりと注視をしていくというコメントにとどめさせていただきたい。
――何らかの経済に対する手当て、メッセージは。
日本の経済の基本的な実力はこの地震によって揺らぐものではないと思っている。
もちろん、いま現にこの影響によって様々な生産活動への限定的な制約要因がいくつか重なっているが、できるだけ早期にそうした状況から脱して、同時にもちろん日本のかなりの多くの地域が影響を受けているが、影響を受けていない地域においてはしっかりとした生産活動を含めて進められている。
こうした状況と、そしてこの未曽有の状況に対して、しっかりと国民が結束して乗り越えていくんだという姿勢を世界のマーケットに示していくことが何よりも大事なことだと思っている。
【5、6号機の状況】
――5号機、6号機は。
詳細な数字は別途、当該担当責任におたずねいただければと思うが、しっかりと今モニタリングして、その動向を注視しながら対応している状況。
――冷却を始めている状況ではないのか。
その報告は受けていない。ただ、まだ危険の高い状態に至るには若干の時間があるという報告は受けている。
【原発対策と地震対策】
――官邸が原発対応におわれ、被災者支援が手薄になっていると民主党内からも指摘があるが。
震災だけでも大変な事態であって、これに全力で対応する。同時に福島第一原発の事態、これが地震と関係なく起こったとしても、これだけでもそれに匹敵するぐらい大変な事態ということで、両面について菅総理は全力をあげて取り組んでいるところだ。
そして、原発は海江田経産大臣、それ以外の震災対策は松本防災担当大臣を中心にですね、菅総理の下で万全の対応で努力をしてきている。
まだまだ被災地の皆さんに大変なご負担、ご不便をおかけをしているが、最善の努力を進めてきている。若干、どうしても皆さんの注目がどうしても原子力発電所に強く注がれておりますし、また色々なものが変化をしながら事態が動いているということで、どうしてもそちらに対する動きばかりが目に付いてしまっているのかなとは受けとめている。
両者をどちらもまさに全力で、どちらが大事とか、どちらが優先とかいう問題ではないということで、実際の仕事そのものは両輪で動いていることを理解いただければと思う。
【自衛隊の物資輸送】
――冒頭の自衛隊の輸送システム。個人も含めて、政府が直接出す物資以外はすべてこれに一本化するのか、これで解決するか。
詳細については防衛省とそれぞれ都道府県にお尋ね頂ければと思っているが、個々人のこういう時の被災者に対する思いはほとんどの国民の皆さんは強い思いをお持ちだろうと思う。
個人のレベルで個々にそれぞれの物資をお送り頂くというのに、対応を個別にするよりも、いまは市町村単位でまとめて頂く、あるいは企業が大口でやっていただく、こういうことを基本窓口にして、自衛隊に現地に届けて頂くということ。
そうした思いをお持ちの個人の方がいらっしゃいましたら、まずは市町村にお尋ね頂くのがいいんじゃないかというふうに思っている。
それから輸送について、物資の輸送などについてだが、今日の朝の時点でタンクローリーなどの通行というか、従来から通行そのものを規制していたわけではない。
自衛隊員のマネジメントを一昨日ぐらいから行い、相当のタンクローリーが現地に向かう状態で動きだしているということを業界の方から報告を受けている。
【被災地の物資不足】
――被災地ではガソリンなど燃料が不足。避難所で不安を持っている人もたくさんいる、政府として燃料解消の対策や今後の見通しは。
この問題については、早い段階から燃料は重要であると、特に寒い地域での冬の被災であるということで、特に重視して取り組んできた。一昨日くらいから、さらにしっかりと政治がイニシアチブをとって、マネジメントをしないといけないということで、そこから主に二つの大きなことを行う。
一つは、異例中の異例だが、自衛隊の皆さんが、特に被災地の幹線道路などから遠いところに一番アクセスできるのは自衛隊。この自衛隊の持っている自らの燃料を直接提供すると、これは異例中の異例のことだが、こうしたことは決定、昨日だったか、一昨日の夜だったかに決定頂いている。
もう一つは、現地に、被災地に燃料がなかなか届いていないということは、昨日もこの場で幾つか説明したが、合成の誤謬的なことが生じていて、どこか1カ所何とかすれば解決するということではなくて、石油を送り出す方、それからガソリンスタンドがちゃんと開いて頂くこと、そこで交通、流通、物流が確保されること、そしてそうしたことが外でどういうふうに燃料を確保されているのかを追尾することなど、トータルのマネジメントが必要だ。
そのことについては一昨日の午後くらいからもういちど組み立てをしてまして、そしてそれに基づいて今日からタンクローリーが相当動いているということを業界のほうから報告をいただいた。
避難所などの皆さんのご苦労はあまりあるものがある。全力をあげているので、もうちょっとの間、待って頂ければと思う。
――陸路が厳しいところに物資が届いていない。ヘリを使う手段などはどの程度取られているのか。
具体的に何便飛ばしているとかということについては、まさに自衛隊におたずねいただきたい。この間、自衛隊による空路、それからここ数日は、被害を受けた港なども特に燃料については海路も含めて陸路の厳しいところについては必要に応じて物資を届けるというオペレーションは震災の翌日ぐらいから動き出している。
ただ、実際には現地に届いていないということについては、どこにそのニーズがあるのかということの把握、掌握、それから例えば一つの地域において、分散して避難所があるということの中で、その地域の中で物資を分けていただくということについて、それぞれの地域にお願いをしなければならない。
こうしたこととの全体の中でなかなか現地に届いていない、あるいは不足をしているという部分があるのは認識している。従ってとにかくそういった地域の送る量を多くするということについて全力をあげて取り組んでいるところだ。
――市町村レベルで労力が足りないところは。
そういう市町村があることは当初から当然認識、想定している。そうしたことについては市町村に直接かかることなく、一義的には制度上、県だが、県のほうに国のほう、総務省からバックアップし、その結果として県のほうは当該地域をバックアップする。
なおかつ、行政そのものがダイレクトではなくても、そうした地域については物資をおろすなどについては進めるように指示してきている。
【原発事故、通常電源の効果】
――通常電源の確保で、冷却のための注水にどの程度効果があるのか。
第一原発に外からの普通の電源をということに向けて、努力を進めているという報告は受けている。どの時点でそれがうまくいくのかということについては、まだ確定的なことを申しあげる段階ではないと思う。
――通常電源の回復の実現の見通しと回復した場合の効果は。
現時点ではそれに向けて全力をあげているというのは私のところにあがってきている報告だ。当然、ぜひとも急いでほしいという指示を出している。これについての効果については一定の効果があることは間違いないが、それだけですべてが解決するわけではないということも同時に認識している。
【原発4号機の火災】
――4号機の使用済み燃料プール。米側との情報にズレがあったというが、米側の専門家の見解を否定する情報を持っているのか。
私が情報についての評価ができる立場ではないが、日本側が評価、判断した情報と米側に同じ情報をもっていただいて、ちゃんとご相談をしなければならないと。
そこに若干、当然、日本側が収集している、日本の主権の中での情報でありますので、できるだけタイムリーにお出しをする努力をしていますけれども、特に4号機の状況については、届くのに時間的な差があった、という事実関係をご報告した。
――その4号機の状態はどうなっているのか。
今の4号機の状況については、使用済み核燃料のプールの状態について大変、注視をしている状態だ。
この状態が正確にどうなっているか、ということについては断定的な評価はしてない、というふうに聞いている。3号機のプールの状態のほうがより優先的に冷却をしなければならない状態であって、そのように空からの放水も3号機からまず行った、という報告を受けている。
【買いだめ防止策】
――被災を受けた方に何かしなければとの機運がネットでも。一歩踏みこんだ買いだめ防止策は。
被災地以外のところでも、モノがなくなっている、店頭にはいくつかの商品で見られている。現時点であるものが国内的に、全国ベースで不足して、守るためには買いだめをしなければいけないという状況になっているものがあるとは認識をしていない。
全国の皆さんがそうした状況を踏まえて、冷静に対応して頂ければ、若干ご不便はかけることがあっても、その分を東北地方にお送りするということのなかで、被災者の皆さんの今の苦しい状況をサポートし、それぞれの個々の生活に大きな支障なくやっていける。ぜひとも買いだめ等に走らないでいただきたいと重ねてお願いを申し上げる。
政府としては万全を期すためにあらゆることを想定した準備はしている。阪神淡路大震災のときに見られた日本国民の英知、今回の地震でも多くの皆さんから寄せられている声を考えるなら、わたしどものこうした呼びかけに国民の皆さんが応じていただいて、一種、法的、強制的な対応は検討はしているが、そこに至ることなく冷静な対応をして頂けるものと信じている。
――買いだめの防止策について、強制的な対応とは例えば、どんなことか。
まさに今、検討しているので、検討している段階で軽々にお話申し上げるべきではない。また、その手段は使わないでいいように、私は日本人の多くのみなさんは良識的、冷静な行動をしていただけると信じている。
【災害弱者対策】
――災害弱者のフォローの話。どんどん高齢者が倒れている。もうちょっと早く災害弱者の命を助けることができないのか。
今、まさにそれこそ陸路が届かないところについては自衛隊、空路を含めて。それから国として、全国の自治体含めて医療関係者の派遣できるチームは現地にお送りして、しかも、できるだけ被害の大きいところにそうした皆さんに行って頂く努力はもう震災当日から進めてきている。
また、同時にそうした弱者のみなさんを受け入れていただける自治体、受け入れる病院は、施設がないと。こうしたことについても、むしろ国が直接の部分は数に限りがあるので、各都道府県、市町村にもお願いをしている。そうした中で、全力を尽くしている。
現実問題として、寒い避難所でたいへん厳しい思いをしていらっしゃる高齢者の方、多々いらっしゃることを大変厳しく受け止めている。全力を挙げて、一刻もそうしたみなさんの状況を改善するため、さらに努力してまいりたい、と思っている。
――関連して、避難・退避を含め、妊婦さん、乳幼児が一番影響を受けやすいと思うが、対策は。
現在、測定されている。昨日の時点で測定さている、専門家のみなさんに分析いただいている数値では、そうしたみなさんも考慮した上で、今の指示の内容で適切であると認識をしている。
しかし、そうした中でも、妊婦さんなどには、しっかりとしたフォローをしていかなければならないという認識はしている。特に医療関係や介護関係のみなさんに対してのお願いというのは現地で非常に頑張っていただいていると思うが、特にこうした原子力のほうについても、退避地域の介護関係、医療関係のみなさんには、繰り返しになりますが、繰り返し申し上げていますが、一日中24時間、外でいても健康に害を与える数値ではないということの中で、念のため屋内にいてください、少ないですからという指示なので、今の指示がある限りは、患者さん、介護を要するみなさんのフォローにしっかりと対応していただきたい。
できるだけそうしたみなさんについては事前、あらかじめの相当の準備を組み立てるべく検討している。ぜひしっかりとしたフォローをお願いしたいと思う。
【首相発言】
――確認したい。昨日総理が笹森内閣特別顧問と会った際に、東日本がつぶれるんじゃないかという発言をしたというが、事実関係の確認と、政府として最悪の場合、そういう事態を想定しているのか。
笹森顧問がどういった発言をされたのか、直接承っていない。また、総理がどういうふうにおっしゃったのかも直接、承っていないが、私が総理などと話をさせていただいている中では、まさにたいへん大きな既に影響も、これは地震のことだけでもそうですが、それに加えて原子力だけでも、東北、あるいは東日本のさまざまな分野に影響を与えている状況であるので、これはこうした事態をさらに広げることがあってはいけないと。今の状況から何とか抑えてそれを沈静化させる方向に最大限努力しなければいけないと、そういったニュアンスのことは、総理はおっしゃっておられる。そうした趣旨のことだと私は思っている。
【日米首脳電話協議】
――総理とオバマ大統領の電話会談で、米側があらゆる支援をしたいと言ったそうだが、冷却活動に米軍の直接の関与を打診する考えは日本政府にあるのかないのか。物資が不足している点について、米軍に要請する考えはあるのかないのか。
これは昨日以来から繰り返し申し上げているが、すでに自衛隊の幕僚部と、米軍の司令部で実務的直接的にご相談をしていただいている。
そうした中で可能なところから実施をしていただく、という段階に入っている。
」