同軸コリニアアンテナ製作マニュアルの配布を初めて1年半が経ちました。
mailで完成報告を頂くこともあるのですが・・今回JF2LRR様から運用レポートを写真付きで頂きました。
皆さんの製作、運用の参考になると思いレポートを掲載させて頂きます。
(①~⑤の番号は解説の為に私が付記しました。)
『先日送って頂いた資料を元に山岳移動用に430の6段を作ってみました
同軸ケーブルは軽量化の為3D-2Vを使いました
アンテナ本体は釣り竿の中に入れて自立可能でかつ縮めてリュックサックに入るサイズにしました
①釣り竿の中に入れると若干共振周波数が下がるようです
スタブの調整でSWRはほぼ1に下がりました、共振周波数は433MHzあたりです
②共振周波数を上げようと先端を少しずつカットしてみましたが思ったように上がらず
1cmカットしたところで止めました
③438MHzではSWRが2を超えますが実際にはこの周波数では使用しないので今回はここで妥協しました
④早速山岳移動に実践投入、ハンディのホイップと比較してSが4つ程上がりました時間がとれたら電界強度計を使ってちゃんと測定しようと思っています
今回初めて製作しましたが1点質問があります
⑤同軸ケーブルをはんだで繋ぐときに必ず隙間ができますね
隙間がないと芯線と網線が短絡してしまいます
この隙間は図面の寸法に入っていませんがどうされていますか?』
製作の状況が手に取るように分かります。また実はマニュアルの不備も見えました。
頂いたレポートを番号順に解説します。
①釣り竿の中に入れると若干共振周波数が下がる
私が提供しているマニュアルはグラスポールに貼り付けて使用することを前提に書いてあります。
グラスポールに入れた場合の周波数ズレがどうなるかは検証出来ていませんでした。
きちんと調整した同軸コリニアではあまり影響が無いのかもしれません。
皆様のレポートから更なる理解を深めることが多いです。
②共振周波数を上げようと先端を少しずつカットしてみましたが思ったように上がらず
1cmカットしたところで止めました
きちんとマニュアルに従って調整されている事が分かります。
製作マニュアルの同軸コリニアでは
1/2λエレメント長、上下の位相整合部長、スタブの3つが共振周波数に大きく影響します。
しかし製作後に1/2λエレメント長を調整する(変える)のは、作り直しを意味しますので製作マニュアルでは「上下の位相整合部長、スタブ」での調整を提案しています。
上下の位相整合部調整では上手に調整するとで430MHzでは3MHz(0.7%弱)は動かせます。
スタブでは1MHzくらいの範囲で調整できます。(但し共振を弱くする、強くするの違いですが)
スタブ調整時は共振点に近づくと低い周波数側から高い周波数側へ共振が強くなりつつ移動します。
これが大きく動く時で1.5MHz(0.3%)程度です。(By430MHz帯)
実は位相整合部長を変えたらスタブ調整もセットで行う必要があります。(マニュアルの不備ですね)
③438MHzではSWRが2を超えますが実際にはこの周波数では使用しないので今回はここで妥協しました
製作マニュアルでは430MHz帯の低い周波数で共振するように考えて書いています。
高い周波数で共振すると最悪1/2λエレメントの改修(=作り直し)となるからです。また最近は430MHz帯の下側をカバーすれば良い場合が多いからです。
高い周波数に合わせる場合は233mmで製作して下さい。
④早速山岳移動に実践投入、ハンディのホイップと比較してSが4つ程上がりました
関東平野を見下ろす丹沢山系でホイップとの比較ではSは8以上あがります。これは相手局との距離と場所で変わります。
⑤同軸ケーブルをはんだで繋ぐときに必ず隙間ができますね
隙間がないと芯線と網線が短絡してしまいます
この隙間は図面の寸法に入っていませんがどうされていますか?
この隙間は3mm以内であれば問題はありません。この間隔による周波数ズレよりも位相整合部、スタブ調整での周波数の動きの方が大きいからです。
また、1/2λエレメントを完全に一致させると思っている方もいらっしゃいますが・・±1mm(430MHz)ならば許容範囲です。
マニュアルをご覧になって製作し完成、運用したとのレポートを頂くのは嬉しい限りです。
各地域の山岳移動局に好評です。
また記事への掲載を御快諾頂いたJF2LRR局、大変ありがとうございます。
皆様からの使用・運用レポートをお待ちしています。
【JF2LRR局 6段同軸コリニアでの運用風景、自分の事のように嬉しいです】
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます