・発酵食品の分類Fermentation food classification はっこうしょくひんのぶんるい
発酵Fermentationとは、ラテン語fermentare(沸騰する)を語源とし、俗に湧くという現象に付けられたことばで、糖液を自然に放置しておくと、やがて液から盛んに泡が生じ表面全体を覆(おお)うようになります。この現象のことを発酵というのです。
このことによって一般には炭酸ガス(二酸化炭素)を発生させることをいいますが、さらに酢酸菌によるアルコールの酸化のように炭酸ガスを発酵させない場合も発酵と呼んでいます。
定義として微生物の作用及びその分泌する酵素の作用により、有機化合物が酸化、還元または分解、合成されて別の有機化合物になる化学変化のこととしています。
一般に最終生成物の名称を付けてアルコール発酵、乳酸発酵、酢酸発酵、アミノ酸発酵などと呼ばれています。また原料の名前をとってセルロース発酵、ペクチン発酵などということもあります。さらにその機構から酸化発酵、嫌気発酵という場合もあります。
発酵と腐敗について特に定義として一定しておらず有用でなければ腐敗になります。腐敗はおもに、たんぱく質の分解に由来する不快な悪臭を放つ物質を生成する場合としています。
たんぱく質、脂肪の代謝における現象では、腐敗とするものが、数多いですが、炭水化物の代謝では発酵としているものが多くを占めています。
人に対して有益な変化をもたらす変化であれば発酵として、不利益な変化を起こすときには腐敗となります。
発酵も腐敗も微生物からすると、いずれも物質の代謝現象であり、同じ作用として捉えられます。
発酵食品は、食品に天然に存在する微生物〔細菌〕が付着発育し、その分解、合成作用によって新たな味覚、香りを作り出していることを積極的に利用することに始まり、有用菌の選択と有害菌の繁殖を阻止する技術によって発展してきました。
このことから細菌の発育する環境を人為的に制御する醸造技術の進歩によって、有用菌の純粋培養による種麹(たねこうじ)、酵母類を用いて、例えば日本酒では「もと」(酒母)をつくることを発見し安全な食品工業として、化学的な合成方法によっては不可能な微妙な味、香りを引き出す特長があります。
発酵に使われる酵母、菌、カビから作られる食品とその原料の一覧を示すと
◇<酵母> パン(小麦粉:パン酵母)、ビール(大麦ビール:酵母)、ワイン(ぶどう:ブドウ酵母)、果実酒(果物)、蒸留酒(穀物、果物)
◇<かび(糸状菌)> 鰹節(かつお:麹カビ)、テンペ(大豆:クモノスカビ)、オンチョーム(らっかせい)
◇<細菌> ヨーグルト(牛乳:乳酸菌)、発酵バター(牛乳:乳酸菌)、納豆(大豆:納豆菌)、プーアル茶(茶葉:黒麹菌)
◇<酵母、カビ> 清酒(米:清酒酵母・こうじかび)、焼酎(穀類・イモ類:焼酎酵母・麹カビ)、泡盛(砕け米:泡盛酵母・麹カビ)
◇<酵母、細菌> 漬物(野菜:酵母・乳酸菌)、ケファイア、クミス(やぎ乳、牛乳:トルラ酵母・乳酸菌)
◇<細菌、カビ> チーズ(牛乳:乳酸菌、かび)
◇<酵母、細菌、カビ> 醤油(大豆、小麦)、味噌(大豆、米、大麦〔裸麦〕)、食酢(米、麦、果実:酵母、カビ、酢酸菌)
◇紅茶(発酵茶)は、微生物〔細菌〕ではなく、茶葉に含まりる酸化酵素により酸素(空気)にふれることによって発酵がおこなわれています。
微生物の働きによってある程度消化がなされています。
乳酸菌をはじめ、腐敗物質の増加を抑制する善玉菌が豊富に含まれています。糠漬けでは、糠からの成分をも取り込みます。
麹菌は、必須アミノ酸とビタミンB群を豊富に含み、血行促進や代謝アップが期待できます。特に麹菌の吸収率が高い食品は、「飲む点滴」とも呼ばれる甘酒です。
アオカビはチーズを発酵・熟成させるとともに、独特の風味・香りをチーズに与えています。
酢酸菌Acetobacter が乳酸の分解(疲労回復)、カルシュウム、ビタミンの吸収をよくし肥満予防免疫力の強化、脱臭、防腐、殺菌作用があります。
酵母菌は、それぞれ食品ごとに適した菌が使われ、ビール、ワイン、日本酒、味噌、しょう油、パンなどの発酵食品が作られます。近年,酵母菌に関する研究が進み酵母には、糖の分解作用による善玉菌の活動を活発し腸内環境を整え、βグルカン(食物繊維)の作用によって免疫力を高めます。
発酵食品の多くの食品は、単に、酵母菌、黴(かび)、細菌だけの発酵によるものではなく、多くが、これらの発酵の多くの過程を得て、味覚の決め手となる働きとなる微生物をあらわしています。
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