・CA貯蔵Controlled Atmosphere storage しーえーちょぞう
日本では、近年によく食べられている果物として1位バナナ、2位リンゴ、3位ミカン、4位イチゴ、5位キウイの順です。毎年8月から11月にかけりんごを収穫し、11月、12月に流通量がピークとなりますが、翌年の8月まで販売しています。前年の秋に収穫したりんごを一年中食べることができるのは、CA貯蔵によって長期保存が可能であることによります。
CA貯蔵技術そのものは1920年代にイギリスで開発がすすみ1929年に実用化、1940年代に米国で商業化したものです。日本では1964年に国の補助事業で始まっています。10年後にはCA貯蔵が盛んに行われるようになりました。リンゴは本来貯蔵性の高い果物なのですが特に青森県は貯蔵性の利用で今日の世界的に有数の産地として知られるようになりました。
品種が多様にあり貯蔵性があります。品種の主体は「ふ じ(国光×デリシャス」と「ゴールデンデリシャス系」で全国的 にこの二品種で約70%を占めているようです。
ふ じが2月CA貯蔵の解放で2~4月出荷、ゴールデンデ リシャス系つがる・陸奥 ・ジョナゴールド・王林の順で3月CA解放4~7月に出荷しています。
普通冷蔵庫では収穫してから、温度:0℃、湿度:90%前後で貯蔵します。
4月頃から販売の、りんごを貯蔵。収穫直後から3月末まで密閉貯蔵することで普通冷蔵庫の約二倍の長期保存ができるのです。
りんごは収穫後でもエチレンガス(比重0.98)を発生させて呼吸をすることにより、エネルギーを消費し、味や鮮度が失われてしまいます。
空気は、主に窒素N2(4/5:78.10%)と酸素O2(1/5:20.93%)より構成していますが、その他の微量に容積比でAr(アルゴン)0.9325%、CO2(二酸化炭素):0.03%、Ne(ネオン)0.0018%、He(ヘリウム)0.0005%、CH4(メタン)0.00018%、Kr(クリプトン)0.0001%、SO2(二酸化硫黄)0.0001>、H2(水素)0.00005、N2O(一酸化ニ窒素)0.00003%、Xe(キセノン)0.000009%、O3(オゾン)0.00007%程度、他にも二酸化窒素、ヨウ素など微量に含んでいます。
そこで「CA貯蔵」です。酸素・二酸化炭素・窒素・温度・湿度を調整し、鮮度よく長期の貯蔵を可能とする方法です。
O2(酸素: 比重1.105[空気の1に対し])濃度は、低濃度ほど硬度、酸度が高くなります。CO(二酸化酸素: 空気より重く、比重は1.5)21.5~2.5%でO2を1~5%で組み合せた結果、酸素1~2%ないし1.5~2.5%での硬度が高く肉質 も良い傾向です。
CA貯蔵(Controlled Atmosphere:空気調整)は、酸素(空気の1/10)・二酸化炭素・温度・湿度を調整し、鮮度よく長期の貯蔵を可能とする方法です。りんごの呼吸を最低限まで抑えます。
🍎リンゴのCA貯蔵の条件例としてはCO2:3%、 O2:3%、 温度0度、 湿度:90~95%、 貯蔵期間:6~7カ月ぐらいです。
他の収穫後の園芸生産物(果実・野菜)のCA条件が下記のページのの中程より下になります。
01seminer_1-2.pdf (maff.go.jp)
https://www.maff.go.jp/kinki/syouhi/seikatu/syokuiku/attach/pdf/01seminer_1-2.pdf
さらに果実の素質で蜜の多く入っている果実は、蜜はソルビ トールの蓄積であり浸透圧現象により細胞間隙に水の集積した状態と考えられ貯蔵中に減少しますがCA貯蔵に特に高CO2濃度で遅くまで蜜が残り褐変する場合が多く品質が低下します。蜜蜜入り果の選別は比重、透過光線などによる方法があるのですが蜜入りは殆んどがエチレンを多く発生させているのでエチレン濃度測定によっても選別が可能のようです。 CA貯蔵に適する選果法の問題が残されています。
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