2019/2/4
・本作を観るのは2017年以来二回目。
・徳川家の統治が現代まで続いているというネオ江戸時代、白浪五人男と呼ばれる盗賊たちが、ビット小判のデータを盗み出そうとする話。
・元の話は白浪五人男と三人吉三。
・題材だけでなく、演技や演出も歌舞伎風。
・前回に比べると、歌舞伎由来の仕草や台詞まわしから試行錯誤感が薄れて、様式が馴染んできた感じ。
・首をグルンと回しギロリと正面を切って拍子木の音。
・ここまでやってもらえれば、自分のような歌舞伎に馴染みのない客でも拍手くらいはできる。
・前説で観方のレクチャーしているのも地味に大事。
・今後、再演や似た様式の作品をやるのかどうかはわからないけど、他の見得のやり方も色々あるので、演者だけでなく客としても少しずつ馴染んでいきたい。
・いい感じの掛け声を飛ばせるお客さんが育ってくると楽しいはず。
・今回も空間を贅沢に使い切った装置に見とれてしまう。
・大きなひな壇を右往左往する登場人物たちが、レトロな二次元ゲームみたいでかわいい。
・赤ん坊のアルトくんの左右に振れながら段差をあがっていく動きがシュール。
・重堂くんの二刀流が怖い。喰われそう。
・袈裟切りにした刀が、照明を反射して赤く染まっているところが色っぽい。
・お嬢キティの握力のなさがもはやネタになっている。
・終盤の駆け足シーンは音楽とあいまってカッコいい。
・櫻井君の声色が表情あってよかったんだけど、喉にずいぶん負担がかかってそうに聞こえる。
・あいかわらず、利平さん一家が混沌としている。
・素直に作れば、かつての仲間を取るか、家族の平穏を取るかの選択を迫られるはずなんだけど、子供たちのアクが強すぎてなんだかそういう感じでもなくなっている。あの子ら自活できそう。
・利平さんの場合、日常のしんどさからの逃避として、過去の栄光である白浪五人男を夢に見てしまうようなジメっとした感触もある。
・奥さんが夜伽だった自身の過去に引け目を感じている一方で、利平さんが元盗賊だったことを隠しているのもずるい。そりゃ怒られるわ。