遠藤雷太のうろうろブログ

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溝口健二監督『近松物語』(1954年)

2021-01-18 12:55:00 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2021/1/15

・大経師以春の妻おさんが結果的に手代の茂兵衛と駆け落ちする話。

・溝口健二監督作品も初めて。見てない巨匠多すぎる。

・茂兵衛は長谷川一夫、おさんは香川京子。

wikiによると、元々は近松門左衛門の書いた『大教師昔暦』を題材にして川口松太郎が書いた戯曲『おさん茂兵衛』の映画化。ややこしい。

・話自体はわかりやすくて、ややこしいことはない。

・溝口監督は女性映画の巨匠と呼ばれているそう。

・フェミニズムでいうと、個人的には「女性が男性の分野と思われがちな環境で男性に負けない活躍をする」みたいな話をイメージをしてしまうけど、本作は女性の立場の弱さをありのまま描いている。

・なので封建社会である江戸時代との相性がいい。なんなら自然すぎて、その違和感をスルーしてしまいそうになる。

・ただ、テレビ時代劇のような甘さはない。

・「当時の状況なら、奉公人の女性が主人の夜の相手するのは当然だったでしょ?」という感覚を、甘くもなく、とりたてて過剰にすることもなく、淡々と描いている。

・たまに江戸時代の社会を過剰に持ち上げてる人を見かけるけど、ホントにこんな世の中がいいのかなと疑問に思える。

・その上で、駆け落ちの話なのでエンタメ的な面白さもある。

・二人が後先考えない愚かな人に見えないように、ちゃんとお膳立てされているところがポイント。

・今の人が見ても、当時の人と同じところでハラハラするだろうし、腹も立つはず。

・公開1954年で、白黒で、演技も割と様式的だけど、ここまで忖度なしに楽しめるのがすごい。日本映画の黄金期と言われているのも納得。

・屋内のシーン。柱やら梯子やら格子戸やら、生活の中にあるものが幾何学的な模様に見える。かっこいい。

・役者さんの動きがみんなきれい。自然というより、ちゃんと訓練されている動き。

・以春が茂兵衛を責め立てる所作。演者は進藤英太郎。歌舞伎の動きだと思うんだけど、歌舞伎役者というわけではなさそう。

・全く勧善懲悪じゃなくても、やっぱり差別は合理的ではないという話になっていると思う。

・明るい顔、晴れ晴れした顔というセリフ出てくるんだけど、言うほどそんな風に見えず。普段はもっと暗い顔してたってことなんだろうけど。

(Netflix)

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2 コメント

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Unknown (talk_to_keijiro)
2021-01-19 00:18:39
凄く作品を解説されてて、
とても参考になりました😄

溝口監督は、
女性を描く手腕は一流ですけど、
邦画では、
様式史的手腕(ドラマで時代を復元)の第一人者でもあろうかと思われます。
平安、戦国、江戸から大正、昭和までの、
時代に蠢き翻弄される女性を描かせたらピカイチでしょう。
溝口の「山椒太夫」のラストシーンを、
ゴダールの「気狂いピエロ」がそのままパクりましたね。

本当に、
邦画の三大巨匠の一人だと、
つくづく思わされます😊
返信する
Unknown (endowriter)
2021-01-22 01:50:53
@talk_to_keijiro 解説なんて畏れ多いです…。
ゴダールも気狂いピエロも知ってますが、作品は見てません。
ただ、溝口監督の作品は追ってみたくなりました。
ありがとうございます。
返信する

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