ある日、トラは、湖のほとりで金の腕輪を見つけました。
昔々、森の中に一匹のトラが暮らしていました。年を取り、もう自分で獲物を捕ることもできませんでした。ある日、トラは、湖のほとりで金の腕輪を見つけました。
「この腕輪を使えば獲物が捕れるかもしれない…」と思い巡らしていると、ちょうど一人の旅人が湖の反対側から歩いて来ました。「うまそうな奴がやって来たぞ!」とトラはその旅人を仕留めようと思いました。そして金の腕輪を旅人に見せながら言いました。「おーい、旅のお方。この腕輪が欲しくないかい。こっちに来んかね? さっき拾ったんじゃが、わしが持っていても宝の持ち腐れじゃろう」
旅人は腕輪が欲しいと思いましたが、トラに近づくのをためらいました。そこで用心してトラにたずねました。「うまいことを言っているが、私をつかまえて食べてしまうつもりだろう?」
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