眩暈の天井
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この季節になると毎年電飾を飾る青い家があって
三年前に「はしごをサンタが登っていく電飾」がはじめて飾られた。
以来毎年そのサンタは飾られるんだけど
その異常な点滅の早さがいつも気になっていた。
『クライミングサンタ』という名で売られている商品らしい。
はしごの下段、中段、上段のサンタが順々に光り
サンタが梯子を登っているように見えるやつで
電飾デビュー的な家が必ず飾っているので
目にした事のある方も多いと思う。
近所の青い家のクライミングサンタは
物凄い速さで子供部屋のベランダをよじ登る。
ワン(下段光る)ツー(下段消え中段光る)スリー(中段消え上段光る)
で表すとしたら
ワツリーワツリーの速さで光っては消える。
というか、ほとんど三ついっぺんに光っているように見える。
通勤経路にあるため私は毎年この季節に
ワツリーの電飾を目にしては
何だかめまぐるしくてパチンコ屋みたいだなあと思っていた。
今年もこの季節がやってきて
青い家は隣のオレンジ瓦の家と張り合いながら
(張り合い方も見ものなのだ)
電飾を飾り始めた。
ところがサンタの電飾が
ワン・(間)・ツー・(間)・スリー・(間)
になっていたのだ!
「スピードおかしい」と誰かに言われたのか
スピード調整が出来ることに気が付いたのか
めまぐるしさに飽きたのかは分からないが
登場してから三年目、ようやく普通の飾られ方をしたあのサンタ。
三年間ひやひやしながら見守り続けた私も
ようやくほっとした。
大層な事のように書いて〆。