ママコノシリヌグイとは、なんともひどい名前をつけたものである。茎に棘があるので、継子の赤子をこの花で拭いたら、痛がって泣くだろうというのだ。韓国では「嫁の尻ぬぐい」というそうだ。赤ん坊とは違って、姑がこの花で嫁のお尻をぬぐうのは、なかなか考えにくいが、どちらの名前も民衆的な想像力の豊かな働きをうかがわせる。中国名はとげのあるタデというあっさりとした即物的な命名だが。名前はともかく、よく見ると白の花弁に紅をさしたような「おしろい花」とでも呼べるような優雅な花だ。
(2019-08 東京都 高尾山 )
ママコノシリヌグイ(継子の尻拭い、学名: Persicaria senticosa)は、タデ科イヌタデ属(またはタデ属)の1年草。トゲソバ(棘蕎麦)の別名がある。
和名は、この草の棘だらけの茎や葉から、憎い継子の尻をこの草で拭くという想像から来ている。韓国では「嫁の尻拭き草」と呼ばれる。漢名は刺蓼(シリョウ)。
特徴
他の草木などに寄りかかりながら蔓性の枝を伸ばし、よく分岐して、しばしば藪状になる。蔓の長さは1-2m。茎は赤みを帯びた部分が多く、四稜があり、稜に沿って逆向きの鋭い棘が並んでいる。
柄のある三角形の葉が互生し、さらに茎を托葉が囲む。葉柄と葉の裏にも棘がある。
5-10月ごろ、枝先に10個ほどの花が集まって咲く。花弁に見えるのは萼片で深く5裂し、花被の基部が白色で、先端が桃色。花後には黒色の痩果がつく。