野の花 庭の花

野の花や山の花は心を慰めてくれます。庭園に咲き誇る花は心をはなやかにしてくれます。

小さな紫の花を密につけるキツネノマゴ

2019年10月14日 10時02分57秒 | 

キツネノマゴは小さな紫の花を密につけるが、目立たないので、足元で踏んづけられそうである。よく見ると可憐な花なのだが、人々の眼にはあまりとまらないようだ。夏の終わりころには珍しかったが、秋になると道端でふつうにみかけるようになった。

(2019-9 川崎市 道端) 

キツネノマゴ(Justicia procumbens L.)は、キツネノマゴ科キツネノマゴ属の一年草である。

特徴
道端に生える小柄な雑草である。やや湿ったところを好む。夏に赤紫の小さな花をつける。本州から九州、朝鮮、中国からインドシナ、マレーシア、インドなどに分布する。

茎は根元がやや横に這い、分枝してやや立ち上がる。高さは10-40cm程度、茎は下向きの短い毛が生えている。 茎には節があり、節ごとに葉を対生する。葉は長さが2-4cm短い柄があって卵形で柔らかく、先端は少しとがる。両面に毛が生えている。

花は8-10月ころ。茎の先端から穂状花序を出す。花序には花が密につき、それぞれの花は基部に苞があるので、外見ではその苞が並んだ棒状の姿に見える。萼は深く5裂。花はいわゆる唇花型で、上唇は小さく三角形で、先端は2裂、下唇は丸く広がって反り、先端は3裂、全体は白だが、下唇が広く赤紫なので、赤紫の花との印象が強い。

名前の由来はよく分かっていない。花序が花の咲いたあとに伸びるのがキツネの尾のようだとか、花の形がキツネの顔を思わせるからなどの説も見かけるが、根拠に乏しい。腰痛、風邪ひきに薬効があるともいうが、あまり用いられない。よく見れば可憐な花をつけるが、小さくありふれていることから注目度は低い。


クリスマスの飾りつけのようなクサボタンの花(入笠山シリーズ03)

2019年10月14日 09時09分38秒 | 

薄紫の花をつけるクサボタンも、あまり目立たない植物だが、鐘の形をした花がたわわについているのをみると、感動する。ともかく豪奢な花なのだ。なんだか一人でクリスマスの飾りつけをしているような植物だ。

(2019-09 長野県 入笠山) 

クサボタン(草牡丹、学名:Clematis stans )は、キンポウゲ科センニンソウ属の半低木。有毒植物。

特徴
つる性が多いセンニンソウ属の仲間であるが、茎は直立し、高さは1mになる。冬には大部分が枯れるが、茎の基部が木質化するため、茎の下部は残る。葉は1回3出複葉で、長い葉柄をもち茎に対生する。小葉は長さ4-13cmの卵形で3浅裂し、先端は鋭くとがり、縁は不ぞろいなあらい鋸歯がつく。

花期は8-9月。茎の先端や葉腋から集散状の花序を出し、淡紫色の花を多数つけ、しばしば円錐状になる。細い鐘状になる4枚の花弁に見えるのは萼片で、花弁はない。萼片は長さ1.2-2cmで、基部は筒状になり、先端は反り返る。萼片の外面は白い短毛が密生する。花には雄蕊、雌蕊ともにあるが、その両方に機能があるとは限らず、雄花と雌花に分化している。果実は倒卵形の痩果で、花後、花柱が長さ15-20mmに伸び、羽毛状になる。

和名は、葉がボタン(牡丹)に似ることからついた。


ここよりは山坂けはし駒つなぎ

2019年10月14日 07時27分56秒 | 

マメ科のコマツナギは、赤い蝶型の花をつける同じ仲間の植物のうちでも、すっくと立ち上がるので見分けやすい。これは分類では草ではなく木であり、茎は馬をつなげるほど強いというが、あまりそんな感じはしない。それでもアレチヌスビトハギなどと比べると、小さな木としての貫禄があるようだ。名前に面白みのある花なので、俳句の世界でもそれなりに歌われている。「ここよりは山坂けはし駒つなぎ 増田宇一」。

(2019-9 川崎市 道端) 

コナツナギ(学名 : Indigofera pseudotinctoria)は、マメ科の被子植物である。日本の本州から九州、朝鮮半島、中国に分布する。

概要
コマツナギは、日当たりの良い、原野、道端などに生える草本状の小型の低木である。根は、硬くて丈夫である。幹は高さ60 - 90cmで、径1.5cmぐらいになる。枝は細長く緑色であり、多数分岐する。葉は互生で、短い葉柄を持った奇数羽状複葉である。小葉は、4 - 5対につき、長楕円形あるいは、倒卵形である。先は円形で細い微凸起があり、基部も円形でごく短い柄がある。長さ10 - 15mm、幅5 - 12mmで、全縁である。葉の両面には、柔らかい伏毛が多い。夏から秋にかけて葉腋から花柄を出し、長さ3cmばかりの総状花序をつけ、紅紫色の美しいチョウ状の花を開く。花は長さ5mm、小花柄は萼よりも短い。萼は筒状で、5裂し、有毛である。開花後、長さ3cmばかりの円柱形の豆果を生じ、中に3 - 8個の種子を含む。和名は「駒繋ぎ」という意味で、茎が丈夫で、馬をつなぎとめることができることから名付けられた。

インディゴに使われるのはこの品種ではなく、タイワンコマツナギ、ナンバンコマツナギ等である。

駒繋

ここよりは山坂けはし駒つなぎ 増田宇一
女人の香満たして香舗駒つなぎ 田中水桜
片陰や壁に錆びゆく駒つなぎ 嶋田麻紀
登り来て帽子掛けゐる駒繋 小野元夫(あざみ)
葉に垂るる短き莢や駒繋 丹羽玄子
踏んでゐしやさしき花が駒繋 中村若沙
金剛の駒繋草よぢのぼる 本田一杉「逞n!」
駒つなぎ咲きゐて鮠も釣れゐたり 川島彷徨子
駒つなぎ机の上に別れ惜し 土田初枝
駒繋咲いてゐるなり*かがいの地 町田しげき
夏らしき日のまれなりし駒つなぎ 右城暮石 散歩圏
安曇野は川音さやぎ駒繋 飴山實 句集外
日高く吉野に入るや駒繋 森澄雄
校倉のかげに少年駒つなぎ 岡井省二 有時
駒繋咲いて青松白砂あり 後藤比奈夫