キツネノマゴは小さな紫の花を密につけるが、目立たないので、足元で踏んづけられそうである。よく見ると可憐な花なのだが、人々の眼にはあまりとまらないようだ。夏の終わりころには珍しかったが、秋になると道端でふつうにみかけるようになった。
(2019-9 川崎市 道端)
キツネノマゴ(Justicia procumbens L.)は、キツネノマゴ科キツネノマゴ属の一年草である。
特徴
道端に生える小柄な雑草である。やや湿ったところを好む。夏に赤紫の小さな花をつける。本州から九州、朝鮮、中国からインドシナ、マレーシア、インドなどに分布する。
茎は根元がやや横に這い、分枝してやや立ち上がる。高さは10-40cm程度、茎は下向きの短い毛が生えている。 茎には節があり、節ごとに葉を対生する。葉は長さが2-4cm短い柄があって卵形で柔らかく、先端は少しとがる。両面に毛が生えている。
花は8-10月ころ。茎の先端から穂状花序を出す。花序には花が密につき、それぞれの花は基部に苞があるので、外見ではその苞が並んだ棒状の姿に見える。萼は深く5裂。花はいわゆる唇花型で、上唇は小さく三角形で、先端は2裂、下唇は丸く広がって反り、先端は3裂、全体は白だが、下唇が広く赤紫なので、赤紫の花との印象が強い。
名前の由来はよく分かっていない。花序が花の咲いたあとに伸びるのがキツネの尾のようだとか、花の形がキツネの顔を思わせるからなどの説も見かけるが、根拠に乏しい。腰痛、風邪ひきに薬効があるともいうが、あまり用いられない。よく見れば可憐な花をつけるが、小さくありふれていることから注目度は低い。