野の花 庭の花

野の花や山の花は心を慰めてくれます。庭園に咲き誇る花は心をはなやかにしてくれます。

髭もじゃの黄色い彼岸花ショウキズイセン(園芸種シリーズ20)

2019年10月12日 10時21分12秒 | 

黄色の彼岸花、名前はショウキズイセン。鍾馗さまは髭もじゃなので、雄しべを髭に見立てた命名だろう。英語名の黄金色の蜘蛛百合もなかなかうがった命名かも。それでも赤い彼岸花が有名な日本では、どうしても黄色のヒガンバナとしかみえない。花の咲き方も百合風というよりも彼岸花風だし。

(2019-9 川崎市 道端) 

 ショウキズイセン  鍾馗水仙
[別名] ショウキラン(鍾馗蘭)
[中国名] 忽地笑 hu di xiao
[英名] golden spider lily , yellow spider lily
[学名] Lycoris aurea (L'Her.) Herb.
Lycoris traubii W.Hayw.
ヒガンバナ科 Amaryllidaceae  ヒガンバナ属

 日本、台湾のショウキズイセンをLycoris traubiiに分ける説もある。ショウキランともいわれるが、ショウキランはラン科のYoania japonica Maximの和名である。
 鱗茎は卵形、直径約5㎝。葉は秋に生じ、剣形(広線形)、約長さ60㎝×幅1.7~2.5㎝、中脈は淡色、基部と先は次第に幅が狭くなる。花茎は長さ(30~60)約60㎝。総苞は2個、披針形、約長さ3.5㎝×幅0.8㎝。花被は黄色、筒部は長さ1.2~1.5㎝。裂片は強く、反り返り、外面には淡緑色の中脈があり、倒披針形、約長さ6㎝×幅0.4~1㎝、縁は強く、波打つ。雄しべはわずかに又は長く突き出し、長さ7~12㎝。花糸は黄色。花柱は先がローズレッド色。蒴果は3角(かど)があり、胞背裂開。種子は少数、黒色、類球形、直径約7㎜。花期は(8~)9~10(~11)月。2n=12~16(FOC)。2n=12,13,14(日本)
品種) 'Golden Giant' , 'Guizhou' , 'Yananone Gold'
[花期] (8~)9~10(~11)月
[草丈] 30~60㎝
[生活型] 多年草
[生育場所] 草地、林縁、栽培種
[分布] 在来種 日本(九州~南西諸島)、中国、台湾、インド、パキスタン、インドネシア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム原産


白い花はよい香りを放つクサギ

2019年10月12日 08時23分38秒 | 

道端に咲いていたクサギ。これまで気づかなかった花だ。受粉のための戦略がいろいろと考えてあって、その工夫に驚く。葉が匂うためにクサギと呼ばれるらしいが、花そのものはよい香りを放つ。蕾もピンクでかわいい。果実は草木染などにも活用されているらしい。もっと身近に増えてもいい植物かも。

(2019-9 川崎市 道端) 

 

 

 

クサギ(臭木、Clerodendrum trichotomum)は日当たりのよい原野などによく見られるシソ科の落葉小高木。葉に悪臭がある事からこの名がある。日本全国のほか朝鮮、中国に分布する。従来はクマツヅラ科に入れられてきたが、現在はシソ科に移されている。

種小名は、「三分岐」の意味で、花序の枝を指す。

特徴
葉は大きく、長い葉柄を含めて30cmにもなり、柔らかくて薄く、柔らかな毛を密生する。葉を触ると、一種異様な臭いがするのがこの名の由来である。

花は8月頃咲く。花びらは萼から長く突き出してその先で開く。雄しべ、雌しべはその中からさらに突き出す。花弁は白、がくははじめ緑色でしだいに赤くなり、甘い香りがある。 昼間はアゲハチョウ科の大型のチョウが、日が暮れるとスズメガ科の大形のガがよく訪花し、受粉に与る。果実は紺色の液果で秋に熟し、赤いがくが開いて残るためよく目立つ。この果実は鳥に摂食されて種子分散が起きると考えられている。

道ばたなどでよく見かけ、遷移においては、藪の状態の所に侵入する最初の樹木として先駆植物(パイオニア)の典型である。

花粉媒介に関して
クサギの花では明確な雄性先熟が見られる。野外観察によると、クサギの花の開花は午前中から午後の初めまでが多く、開花すると花冠は2日から3日にわたり開きっぱなしとなる。開花初日から雄蕊も雌蘂も花冠より長く抜き出して展開しているのであるが、開花初日では雄蘂は完全に展開するのに対し、雌蘂の展開は不完全であった。2日目になると雄蕊はしおれ、雌蘂では柱頭が2つに裂開して受粉可能な状態になった。外見的には開花当初は雄蕊も雌蘂も花冠から抜き出て前に伸び、先端は共にやや上を向く。雄蕊では雄蕊の展開中に葯が開き、雄蕊が伸びきった段階では葯の表面に花粉が完全に露出した。2日目になると雄蘂は下向きにしおれ、雌蘂は上向きになって柱頭が裂開する。3日目になると花冠と雄蕊は脱落し、雌蘂だけが残る。

つまり本種では1つの花において雄蕊と雌蘂の伸張と成熟に明瞭な差があり、まず1日目に花粉の散布が行われ、この間は雌蘂は受粉可能になっていない。2日目には雄蕊がしおれて下を向き、その段階で雌蘂が受粉可能となる。

分布と変異
日本では北海道から九州、琉球列島まで分布し、国外では台湾、中国まで分布がある。四国以南には、葉が長くなり、花序がよりまとまって生じる変種ショウロウクサギ (C. trichotomum var. esculentum) があり、沖縄ではほとんどがこれである。ほかに、葉にほとんど毛がないアマクサギ (C. trichotomum var. yakusimensis) がある。

利用
葉には名の通り特異なにおいがあるが、茶の他に、ゆでれば食べることができ若葉は山菜として利用される。収穫時には、臭いが鼻につくが、しばらくすると不思議なくらいに臭いを感じなくなる。果実は草木染に使うと媒染剤なしで絹糸を鮮やかな空色に染めることができ、赤いがくからは鉄媒染で渋い灰色の染め上がりを得ることができる。実の青色色素は名古屋大学の佐々木教祐らにより構造が付きとめられ、種小名にちなんでトリコトミン (Trichotomine) と命名されている。

また、英語名をharlequin glory bowerなどといい、欧米では観賞用に栽培される。

日本でクサギそのものが栽培されることは少ないが、栽培は容易。繁殖は挿し木、株分け、根伏せなど。種子以外に根からの不定芽でよく増える。 同属のヒギリ(C. japonicum 、東南アジア原産の常緑低木)、ゲンペイクサギ(C. thomsoniae 、アフリカ 原産の常緑つる性木本)、ボタンクサギ(C. bungei 、中国原産の落葉低木)などは観賞用に栽培される。ボタンクサギは時に野外に逸出して野生状態で生育している。


蝶たちにも好まれるフジバカマ(入笠山シリーズ01)

2019年10月12日 07時26分48秒 | 

秋の七草の一つのフジバカマ。今では絶滅危惧種だというから寂しい。それでも高原にでかけるとまだ多くみかける。入笠山では山の斜面の草原にたくさん咲いていた。蝶たちも好む花である。咲いた後よりも咲きかけて小豆色にみえるころがすてきだ。別名アララギは短歌結社の名前としても有名だ。

(2019-09 長野県 入笠山) 

 

フジバカマの基本情報
学名:Eupatorium japonicum(Eupatorium fortunei)
和名:フジバカマ(藤袴)  その他の名前:アララギ、香草(こうそう)、蘭草(らんそう)

科名 / 属名:キク科 / ヒヨドリバナ属

特徴
フジバカマは「秋の七草」の一つで、万葉の時代から人々に親しまれてきた植物です。夏の終わりから秋の初め、茎の先端に直径5mmほどの小さな花を、長さ10cm前後の房状に多数咲かせます。川沿いの湿った草原やまばらな林に見られ、まっすぐに伸びる茎に、3裂する葉が対になってつきます。地下茎が大量に伸びて猛烈な勢いで広がるため、自生地では密生した群落になるのが普通ですが、現在の日本には自生に適した環境が少なくなったため激減し、絶滅危惧種となっています。フジバカマの名で市販されているものの多くは、サワフジバカマ(フジバカマとサワヒヨドリの雑種)です。
生乾きの茎葉にクマリンの香り(桜餅の葉の香り)があり、中国では古く芳香剤として利用されました。また、『論語』にある「蘭」はフジバカマを指します。しかし後世、蘭がシナシュンランなど花に香りのある温帯性シンビジウム属の種を指すようになったため、現在の中国では、フジバカマは「蘭草」とされています。

基本データ

園芸分類 草花,山野草

形態 多年草 原産地 東アジア(中国~朝鮮半島、関東地方以西の本州、四国、九州)

草丈/樹高 60~120cm 開花期 8月から9月(残り花は10月ごろまである)

花色 白

耐寒性 強い 耐暑性 強い

特性・用途 落葉性,香りがある,盆栽向き,初心者でも育てやすい