中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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猛暑の中の塔ノ岳

2007年06月21日 06時46分08秒 | 丹沢の山旅

           猛暑の中の塔ノ岳
        (単独山行:途中からKさん同行)
          2007年6月19日(火)


   
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■梅雨の晴れ間

 梅雨に入ったはずなのに,ほとんど雨が降らない毎日が続く。どうやら四国地方は,大変な水不足になっているようだが,このままでは関東地方も水不足になるのではないかと心配になる。本当に入梅したのだろうかと疑問になるが,それは兎に角,今日は曇りがちながら雨は降らないようである。それならば,もう塔ノ岳へ登るしかない。
 4時頃,自室の東側のカーテンを開けてみる。雲が多いものの東の空が明るく輝いている。どうやら今日の天気もそれ程悪くなさそうである。そそくさと,5時過ぎに家を出る。外は高曇りで,朝の冷気がとても心地よい。
 
何時もの通り東海道本線の電車で大船から小田原へ。小田急電鉄に乗り換えて渋沢駅へ出る。大倉行のバスには,客席がほぼ埋まる程度の登山客が乗っている。乗客の中には,何人かの顔見知りもいる。

■青大将がご挨拶
 同じバスに乗っている登山客を,登山の途中で,むやみに追い越すのは,あまり気分が良くない。そこで,今回はいつもよりも少し早めに大倉を歩き出す(7時29分)。海沿いの鎌倉に比較して,この辺りは内陸のためか,気温も湿度もかなり高いようで,兎に角蒸し暑い。自分が,もう十分に高年齢なことを自覚して,
 「今日は絶対に無理をしないで登ろう・・・」
と自分に言い聞かせる。
 いよいよ,登山道入口から登山道に入る。途端に薄暗い杉木立に囲まれ,ますます蒸し暑くなってくる。体調を考えながら,いつもより少しゆっくりしたペースで歩き始める。登山道に入って直ぐに,いきなり小振りな青大将に出くわす。ヘビは私の足下から草むらに向かって,忙しなく身体をくねくねさせながら逃げていく。ヘビを見た途端に,ヘビ嫌いのビアンコさんやスケルトンさんが一緒にいたら,どうするだろうかと連想して,思わずニヤニヤする。

■花がなくなった!
 8時07分に見晴茶屋を通過する。大倉を歩き出してから,ここまでの今日のラップタイムは38分。いつもより2分ほど長いが,まあ,良いだろう。見晴茶屋を通り過ぎてから,道幅が広くて長いトラバース道に入る。東側の斜面が開けてくると,弱いながらも風が吹き上げてくる。この風のために幾分涼しくなる。一本松手前の急坂で,喘ぐように登っている初老の男性に挨拶して先に行かせて貰う。

            <富士山は見えないが・・・>

 尾根道に出る。東側には三ノ塔が見えるが,西側は肝心の富士山が全く見えない。尾根道の途中で,中年の女性登山客が道端にしゃがみ込んで,頻りに何かを探している。私が,通り過ぎようとすると,待ってましたとばかりに,
 「2週間前にここを通ったときに,△△(花の名前:聞いて直ぐ忘れた)の蕾があったんですよ・・・今日辺りは多分咲いていると思って楽しみにしていたんですが,誰か採ってしまったようです・・・」
と私に話しかけてくる。
 恥ずかしながら,花音痴の私は,この道を何回も往復しているのに,全くそんな花に気付いていない。ただ「そうですか」と言って相槌を打つ位しかできない。少しでも花の知識があれば,山歩きが随分と楽しくなるだろうなと実感する。

■マイペースが掴めない
 見通しが全く利かない尾根道を通過して,堀山ノ家に近付く。小屋の手前でとても格好の良い男性2人に追いつきそうになる。スラッとした長身で,濃紺のタイツを履いている。私は,遅い歩きにジッと堪えてユックリと後を付ける。2人は,
 「ああ,・・・疲れた!」
と言いながら,堀山ノ家のベンチに,ヘタヘタと座り込む。
 私はお二人に軽く会釈をして,堀山ノ家を通過する(8時52分)。いよいよ,大倉尾根核心部の急坂が始まる。これまでユックリとしたペースで登ってきたためか,急坂になっても,意外なことに,スタスタと登れる。全く速度を落とさずに楽に登り続けられるのは驚きである。ペース配分の大切さを,身をもってて実感する。「登山って奥が深いな」と再認識する。こんなことを体験すると,私はまだまだ未熟な登山者だなとつくづく思う。

■Kさんにバッタリ会う
 9時08分に戸沢分岐を通過する。そして,分岐上の広場に出る。広場のベンチで,顔なじみのKさんがバナナを食べながら座っている。何時もの私は山頂まで1ピッチで登っているが,Kさんにつられて,ベンチに腰を下ろす。Kさんが,
 「・・昨日一日,立ち仕事をしていたので,今日はちょっと調子が出ないです・・」
と話し出す。
 私は「このまま登り続ければ2時間10分台で山頂まで行けるな」と胸算用をしていたので,このままKさんと別れて,先へ行こうかと迷った。でも,登攀時間ばかり気にしていては折角の登山が味気なくなるし,今日は特別に暑い日なので,こんな日に頑張ることもなかろう・・・今日はKさんにトコトンお付き合いしようと心に決める。
 10分ほど休憩を取った後,10時18分に再び歩き出す。ここからは,Kさんのペースで登り続ける。長い階段をユックリと登って,9時41分に花立山荘を通過する。通過すると直ぐに段差が大きい階段道になる。
 「右足で昇ると,ずっと右足ばかりで昇るようになっちゃう・・・歩きにくい階段ですね」
とKさんが言う。私も全く同感。
 
階段を登り詰めて露岩帯に出る。ここまで来れば,後の行程は楽である。晴れていれば,この辺りからの富士山や南アルプスの眺望は素晴らしいが,今日は雲に覆われていて,殆ど眺望がない。

■塔ノ岳山頂に到着
 11時16分に金冷しを通過する。短い階段を登ると,ほんの暫く平坦な道が続いて,再び急な階段になる。ここで,鼻の下に立派な三角髭を生やしたTさんとすれ違う。お互いに,
 「やあ,今日は・・・今日は暑いですね」
と挨拶を交わす。
 Tさんは毎日のように塔ノ岳を登っている方である。とても健脚で,大倉尾根を2時間程度で軽々と登ってしまうから恐れ入る。
 やがて頂上直下の急な階段に差し掛かる。
 「もう足が上がらないよ・・・」
とKさんがぼやく。でも,ぼやいている割には随分と速い速度で登り続ける。そして,10時15分に無事塔ノ岳山頂に到着する。
 山頂は閑散としている。夫婦連れの登山客1組が居るだけである。尊仏山荘の入口近くでは,大きなシカが腰を下ろしてノンビリと草を反芻している。

           <尊仏山荘前に大きなシカがいる>

 10時現在の山頂の気温は+18.0℃である。標高差1000メートル当り6℃の温度差があるとすれば,大倉の気温は27~28℃程だったことになる。蒸し暑いはずである。

■尊仏山荘にて
 尊仏山荘に入る。
 先客は居ない。私達が山荘に入ると,奥から小屋番のOさんが,
 「いらっしゃい・・・」
と言いながら奥の部屋から出てくる。
 私の顔を見ると,注文する前に,急須と湯飲み茶碗を用意してお茶を入れる。私が何時もワンパターンでお茶ばかり注文するから,「私=お茶」という方程式ができているようである。私にとっては,いちいち注文しなくても済むから便利である。
 昼食を食べながら,雑談を続ける。私が,Oさんに,
 「・・・ところで,小草平って,どの辺りにあるんですか?」
と質問する。実は,Oさんは昭文社のエリアマップ『丹沢』の執筆者である。
 「『堀山ノ家』があるところですよ・・・」
という答が返ってくる。
 「実は,先日,ご常連の女性から『小草平は戸沢分岐の上の平』ですよと問いつめられたんです・・・それにミロクのホームページを見ると,戸沢分岐の上に小草平があるような記事が載ってるんで,どちらが本当の小草平か,どうも気になっているんです・・」
と私が愚痴る。

 「まあ,そういう意見の人もいますが,小草平はやっぱり堀山ノ家の所ですよ・・」
 引き続きOさんのエリアマップ作成にまつわる苦労話をする。
 「この先に「末次」というところがあるでしょう。地元の人は「ひめつぎ」って言ってるんで,エリアマップで「ひめつぎ」とルビを振りました・・・所が「ひめつぐ」ではないかという苦情が沢山来たんですよ・・・だから新しい版では「ひめつぎ(ひめつぐ)」と表記することにしました・・・」
 こんな事例は,彼方此方に沢山あるような気がする。私は信州佐久の出身である。地元では,私が子供の頃は,軽井沢のことを「カルイサワ」と,「ザ」を濁らずに発音していたような気がする。また「鬼押し出し」は「オニオッタシ」だったと記憶している。

■床屋さんお二人
 どこからともなくネコの「ミー君」が現れる。気儘にその辺りを歩き回る。この気儘さが,ネコらしくて良い。可愛いのでまた写真を撮る。

            <マイペースのミー君>

 山荘から窓外を見ると,いつの間にか登山客がかなり増えている。1番バスの乗客が山頂に到着し始めたようである。先ほど堀山ノ家で追い抜いた格好の良い男性2人も,酒盛りを始めている。この2人も,今朝1番のバスで,Kさんと一緒だったという。2人は床屋さんなので,休日の月曜日か火曜日に登ってくるそうである。
 Kさんが,
 「前回は,あの方々と一緒に酒盛りをしちゃいました・・」
という。そこで私は,
 「私はそろそろ下山しますが,Kさん,どうぞお二人とご一緒に酒盛りしてください」
とお勧めする。

 「いえ,今日は飲まずに帰ります・・・」

■いよいよ下山
 11時01分,下山を開始する。Kさんが先頭になる。
 「下りは結構速いんです・・・」
と言いながら,ドンドンと下り始める。
 それでも,途中で綺麗な花が咲いていると,つい立ち止まって,花の写真を撮るのに夢中になる。





            <路傍で見掛けた花々>

 11時28分に花立山荘,11時50分に堀山ノ家,12時05分に駒止茶屋を通過する。
 「12時52分のバスには間に合いそうもないですね・・・ユックリ歩きましょう」
とどちらともなく言い出す。「それならば」ということで,下山ペースを遅くする。途中のトラバース道の遙か下で,沢山の鹿が動いているのが見える。
 12時58分,大倉に到着する。
 こうして,今年24回目の塔ノ岳登頂は終わった。いつもながら,下り終えたときの爽やか感は,何ともいえないほど心地よい。

[ラップタイム]
 7:29  バス停大倉歩き出し
 7:35  登山口
 7:38  克童窯
 7:43  丹沢ベース
 7:51  観音茶屋
 7:55  高原の家分岐
 8:05  雑事場ノ平
 8:07  見晴茶屋
 8:22  一本松
 8:36  駒止茶屋
 8:45  堀山
 8:52  堀山ノ家
 9:08  戸沢分岐着
 9:18    〃 発
  (これ以降Kさんに同行)
 9:41  花立山荘
 9:57  金冷し
10:15  塔ノ岳山頂着
--------------------------------------------------
11:01  塔ノ岳山頂発
11:10  金冷し
11:28  花立山荘
11:42  戸沢分岐
11:50  堀山ノ家(給水のため2分休憩)
11:59  堀山
12:05  駒止茶屋
12:15  一本松
12:23  見晴茶屋
12:25  雑事場ノ平
12:33  高原の家分岐
12:37  観音茶屋
12:45  丹沢ベース
12:49  克童窯
12:52  登山口
14:58  バス停大倉着

■登攀・下降高度
  塔ノ岳山頂  1,491(m)
  大倉       290
    (高度差 1,201)
■登攀所要時間(休憩時間込み)
  大倉発      7:29
  塔ノ岳山頂着  10:15
   (所要時間 2時間44分(2.73h))
■平均登攀速度  1,201m/2.44h=492.2m/h
■下降所要時間
  塔ノ岳山頂発  11:01
  大倉着     12:58
   (所要時間 1時間57分(1.95h))
■下降速度  1,201m/1.95h=615.9m/h
                          (おわり)



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