<尊仏山荘のOさんとミー君>
雨と霧の 丹沢:塔ノ岳(大倉尾根)(今年20回目)
(単独山行)
2010年7月15(木) 曇一時雨後晴
■天気予報は晴れの筈だが
梅雨時にしては珍しく良い天気になるという予報である.
早朝,4時に起床した私は,月額315円の某社の天気予報で,今日の天気を確認する.最新の予報でも,今日は,午前4時頃から夜まで「晴れ」になっている.雨雲の予想を見ても,梅雨前線は北に上っていて,神奈川県辺りは,暑い南の風が吹き込んでいる.これならば,多少暑くても,絶好の登山日和になりそうである.
「しめ,しめ,・・折角の天気.ならば,塔ノ岳を往復してこよう・・」
私は,塔ノ岳を往復することに決める.
5時10分,何時ものように家を出発する.いくら日中は暑くても,朝は冷気が漂っていて,とても気持ちがよい.大船から小田原経由で,渋沢駅から,1番バスに乗り込む.
1番バスは,この時期の平日にしては,結構,沢山の登山客が乗り込んでくる.座席の後ろの方は,韋駄天組のご常連5~6人が乗っている.韋駄天のTさん,三角髭のTさん,カメラマンのMさんなど多士済々.
私は,ご常連より少し遅れて,7時01分に大倉を歩き出す.
■今日は「赤い筋肉」だけ使って登るぞ
たまたま,昨日(7月14日)のNHK番組「ためしてガッテン」で,『疲れない山登り』をテーマに大変興味ある内容が放映されていた.私が某登山学校で習ったことと全く同じ内容だったが,改めて「がんばらない登山」という私の信条が間違っていないことが確認できた.そこで,今日は「力は弱いが持続性のある筋肉」つまり「赤い色の筋肉」だけを使って,「瞬発力はあるが直ぐ疲れる筋肉」つまり「白い於呂の筋肉」は,なるべく使わないようにすることを,最大の目標にして登山しようと決める.それに,今回は肉離れをしてから,リハビリ3回目の登山である.とにも,かくにも,安全第一で登ることにする.
大倉を歩き出すと,すぐに路面がベタベタに濡れていることに気がつく.前方を見ると低い雨雲が垂れ込めていて,近場の山も全く雲の中である,私は,大倉から登山口までのやや急勾配の舗装道路を特にユックリと歩く.前方には,同じバスに乗っていた登山客や,タクシーで乗り付けた登山客が沢山居るが,ご常連の韋駄天組は,もうとっくに見えなくなっている.
■富士山も近場の山も見えない
標高が高くなるにつれて辺り一面の霧がますます深くなる.ときどき霧の中からウグイスやホトトギスの啼き声が聞こえてくる.
とにかく蒸し暑い.熱射病にも気をつけなければならないので,なるべく汗をかかないように,そしてこまめに給水することに留意する.ユックリペースでも,ときどき登山客を追い越させて貰う.手許のSUUNTOの温度計は26℃を指している.全く無風で湿度は100%に近いだろう.とにかく気象条件は余り良くない.それでも,雑事場ノ平の尾根道に出た途端に,海風が吹き抜けている,体中にまとわりついているモヤモヤ湿気を一変に取り除いてくれる.たまたま追い抜きざまの夫婦に,
「涼しい風,気持ちいいですね・・」
と挨拶する.
8時13分,駒止茶屋を通過する.歩き出してから,1時間12分も経過している.それにしても遅い! でも,意図的にユックリ登ってきた結果なので,十分に納得.その代わりに,駒止茶屋手前の長い急階段を何の苦もなく,楽に登れたではないかと自分で納得する.
堀山の尾根に出る.霧はますます濃くなる.先ほどから小雨が降り出している.駒止茶屋でレインジャケットを着用しようかと迷ったが,仮に着ても,汗でジャケットの中が濡れてしまう.それに,着なくても,体温が奪われる心配もないので,もう少しこのまま登ること決める.
残念ながら,本来ならば富士山が良く見える場所に来ても,富士山はおろか,近場の山すら濃い雨雲に覆われている.
<霧の堀山の尾根>
■萱場平
8時31分に堀山の家を通過する.小草平のベンチは雨でビショビショに濡れている.小屋には人気がなくて静まりかえっている.急坂に差し掛かる.私の前後には誰も居ない.累々とゴロゴロ石が重なるように続く霧の登り坂を一人黙々と登る.石が雨で濡れていて,滑りやすくなっている.
登りながら,色色なことが脳裏をかすめる.
「きのうの『ためしてガッテン』は良かったなあ・・」
歩きながら,登山靴のことが気になり始める.登山学校や複数のガイドから,「底の固い靴を選びなさい」と口酸っぱく言われてきたが,これって本当だろうか? 昨日のテレビでは,山歩きの名人が地下足袋を履いていた.ウエストンの『日本アルプス』を見ると,日本人のガイドが履いている「わらじ」の方が,ウエストンが履いている鉄鋲を打った革靴より滑らなくて安定して歩けるという話が出てくる.
実は,私も歩き馴れた大倉尾根は,ハイカットながらごく普通の運動靴で登ることが多い.これまで,重登山靴,軽登山靴,長靴など,大倉尾根でいろいろと試してみたが,どれもこれも一長一短がある.現在履いているハイカットの運動靴は,当然,底は柔らかい.従って,足の下の石ころの状況が良く分かるという長所はあるが,馴れないと足の裏が痛くなる.石ころの状態が足の裏から直接伝わってくると,下り坂で,無茶歩はしなくなる.従って,ある意味ではきわめて安全に下山できるという長所がある.
こんなことを書くと,決まって「そんなことをしてはいけない」と,「上から目線」で決めつけるエセベテランが出てくる.曰く,
「靴は登山で最も大切なものだから金を掛けて最高のものを選べ・・」
「運動靴で塔ノ岳へ登るなんて,とんでもない.山を甘く見てはいけない・・」
ところが,2000回も塔ノ岳へ登ったMさんも,韋駄天のTさんも,その他かなりのご常連,それに山岳マラソンをしている若手の方々も,ごく普通のスニーカーで登っている.これらの方々がスニーカーが原因で事故を起こしたなどという話は聞いたことがない.
でも,まあ,この話は,あくまでも私見.これでオシマイ.
・・・まあ,こんなことを考えながら一人悦に入ったり,怒ったりしながら,8時51分に萱場平を通過する.相変わらず深い霧が辺りを覆っている.
<今日の萱場平>
■濃い霧の塔ノ岳山頂
ユックリ登ってきたので,全く疲労感がない.「あと7分坂」も苦労せずに6分ほどで登り切って,9時13分に花立山荘を通過する.霧の花立山荘も不気味なほどに静まりかえっている.そして,濃い霧の中,花立山を目指す.
すると,霧の中から人の声が聞こえている.同じバスに乗り合わせていた韋駄天組の2人である.早手とすれ違う.もうこんな所ですれ違うとは驚きである.私と所要時間で30分以上の差があることになる.
9時28分,金冷シを通過.ここで韋駄天のTさんとすれ違う.そして,金冷シから最初の長い階段を登っているときに,三角髭のTさんと,「やあご苦労さん」ですれ違う. その後も,実に気楽に全く疲労なしのまま,9時43分,ようやく塔ノ岳山頂に到着する.
今日の登攀所要時間は,2時間42分.まだまだ私の登山力回復は本調子ではないが,リハビリ3回目としてはこんなものかなと自己評価する.早く体力を回復して,2時間20分台で,楽に登れるようになりたいなと思う.
山頂には誰も居ない.濃い霧が掛かっていて眺望は全くない.近くにある尊仏山荘も霧に隠れている.
■尊仏山荘
霧の山頂の写真を撮ってから,尊仏山荘に入る.今日の小屋番はOさん.山頂の気温は+17.5℃.やっぱり気温は高い.
先客は2人.私は知らない方だが,どうやらご常連のようである.お二人ともビールを飲んでいる.お一人がビールを追加注文.そして,
「よく冷えているなぁ~・・・」
と感心する.するとOさんが,
「この時期,山頂でビールの飲む人なんて,殆ど居ないんです.オレがたまたま飲むぐらいですよ」
と苦笑する.
「泊まり客は居ないの・・」
「この暑い時期は,皆,高いところへ行っちゃいますよ・・泊まり客はとても少ないですよ・・」
私は例によって,300円也のお茶を所望する.
Oさんが,後ろの部屋からネコのミー君を連れてくる.居眠りをしていたミー君は,いきなり連れ出されたので眠そうである.目をシバシバさせながら,尻尾をユックリとクネクネする.
ミー君に会うのは久々.
「おい,お前さん.元気だったかね・・・」
と言いながら,ネコの背中を撫でる.途端に,沢山の抜け毛が落ちてくる.抜け毛が散らかると営業妨害になる.撫でるのは適当なところで止める.ご常連の一人が,
「ほう・・・こいつ幾つになるの・・」
とOさんに質問する.
「11歳ですよ・・・」
「ほう,人間なら70歳ぐらいかな・・・」
なるほど,言われてみると,この頃,ミー君も大分老けてきたようにも見える.相変わらずオットリとしたところが可愛い.
■下山途中,次々にご常連と会う
10時04分に尊仏山荘から下山を開始する.山荘から外へ出る.雨は止んだものの,まだ霧は深い.そして,かなり強い風が吹いている.山頂で休憩を取っている人も殆ど居ない.
濡れた登山道を下り続ける.山頂直下の急階段を降りているときに,同じバスに乗り合わせていたカメラマンのMさんとすれ違う.Mさんの直ぐ後ろに,多分,2番バスで来られたと思われるH谷さんがいる.
「一足先に下りています・・」
とH谷さんに挨拶して下り続ける.
さらに花立山付近で,ローギヤー氏とすれ違う.花立山荘近くの下り坂で,山旅スクール6期のNさんがホッペを真っ赤にしながら登ってくる.私が,
「おや,暫く振りですね・・・相変わらず登っておられますか」
と挨拶する.
「なかなか天気の日がなくて・・・やっと,今日登ってきました・・」
とNさんが言う.そういえば,この頃,山旅スクールの方々とお会いすることが少なくなったような気がする.
標高が下がるにつれて,空気が次第に「むっ」としてくる.蒸し暑く感じる.同時に,霧が次第に薄くなり,登山口まで下山した頃には,青空が見え始める.
下界は,天気予報通りに晴だったようである.
2時過ぎに帰宅する.隣の屋根三毛は不在.冷房の入った室内で寝ているんだろう.今日は尊仏山荘のミー君に会えたので,お前の姿が見えなくても,どうということはないぞ・・と,妙に意気込む.
<山麓の大倉は晴れ>
[ラップタイム]
7:01 大倉 発
7:23 観音茶屋
7:41 見晴茶屋
8:13 駒止茶屋
8:31 堀山の家
9:13 花立山荘
9:28 金冷シ
9:43 塔ノ岳山頂 着
=========================================
10:04 塔ノ岳山頂 発(+17.5℃)
10:16 金冷シ
10:28 花立山荘
11:05 堀山の家
11:23 駒止茶屋
11:49 見晴茶屋
11:58 分岐
12:02 観音茶屋
12:18 大倉 着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間
大倉 発 7:01
塔ノ岳 着 9:43
(所要時間) 2時間42 分(2.70h)
登攀速度 1269m/2.70h=470.0m/h
■下降所要時間
塔ノ岳 発 10:04
大倉 着 12:18
(所要時間) 2時間14分(2.23h)
下降速度 1269m/2.23h=569.1m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/09cc017e7d3504f10fdfe9447995b9c6
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/0220d16eed6f1a85b4d32627d61853d5
雨と霧の 丹沢:塔ノ岳(大倉尾根)(今年20回目)
(単独山行)
2010年7月15(木) 曇一時雨後晴
■天気予報は晴れの筈だが
梅雨時にしては珍しく良い天気になるという予報である.
早朝,4時に起床した私は,月額315円の某社の天気予報で,今日の天気を確認する.最新の予報でも,今日は,午前4時頃から夜まで「晴れ」になっている.雨雲の予想を見ても,梅雨前線は北に上っていて,神奈川県辺りは,暑い南の風が吹き込んでいる.これならば,多少暑くても,絶好の登山日和になりそうである.
「しめ,しめ,・・折角の天気.ならば,塔ノ岳を往復してこよう・・」
私は,塔ノ岳を往復することに決める.
5時10分,何時ものように家を出発する.いくら日中は暑くても,朝は冷気が漂っていて,とても気持ちがよい.大船から小田原経由で,渋沢駅から,1番バスに乗り込む.
1番バスは,この時期の平日にしては,結構,沢山の登山客が乗り込んでくる.座席の後ろの方は,韋駄天組のご常連5~6人が乗っている.韋駄天のTさん,三角髭のTさん,カメラマンのMさんなど多士済々.
私は,ご常連より少し遅れて,7時01分に大倉を歩き出す.
■今日は「赤い筋肉」だけ使って登るぞ
たまたま,昨日(7月14日)のNHK番組「ためしてガッテン」で,『疲れない山登り』をテーマに大変興味ある内容が放映されていた.私が某登山学校で習ったことと全く同じ内容だったが,改めて「がんばらない登山」という私の信条が間違っていないことが確認できた.そこで,今日は「力は弱いが持続性のある筋肉」つまり「赤い色の筋肉」だけを使って,「瞬発力はあるが直ぐ疲れる筋肉」つまり「白い於呂の筋肉」は,なるべく使わないようにすることを,最大の目標にして登山しようと決める.それに,今回は肉離れをしてから,リハビリ3回目の登山である.とにも,かくにも,安全第一で登ることにする.
大倉を歩き出すと,すぐに路面がベタベタに濡れていることに気がつく.前方を見ると低い雨雲が垂れ込めていて,近場の山も全く雲の中である,私は,大倉から登山口までのやや急勾配の舗装道路を特にユックリと歩く.前方には,同じバスに乗っていた登山客や,タクシーで乗り付けた登山客が沢山居るが,ご常連の韋駄天組は,もうとっくに見えなくなっている.
■富士山も近場の山も見えない
標高が高くなるにつれて辺り一面の霧がますます深くなる.ときどき霧の中からウグイスやホトトギスの啼き声が聞こえてくる.
とにかく蒸し暑い.熱射病にも気をつけなければならないので,なるべく汗をかかないように,そしてこまめに給水することに留意する.ユックリペースでも,ときどき登山客を追い越させて貰う.手許のSUUNTOの温度計は26℃を指している.全く無風で湿度は100%に近いだろう.とにかく気象条件は余り良くない.それでも,雑事場ノ平の尾根道に出た途端に,海風が吹き抜けている,体中にまとわりついているモヤモヤ湿気を一変に取り除いてくれる.たまたま追い抜きざまの夫婦に,
「涼しい風,気持ちいいですね・・」
と挨拶する.
8時13分,駒止茶屋を通過する.歩き出してから,1時間12分も経過している.それにしても遅い! でも,意図的にユックリ登ってきた結果なので,十分に納得.その代わりに,駒止茶屋手前の長い急階段を何の苦もなく,楽に登れたではないかと自分で納得する.
堀山の尾根に出る.霧はますます濃くなる.先ほどから小雨が降り出している.駒止茶屋でレインジャケットを着用しようかと迷ったが,仮に着ても,汗でジャケットの中が濡れてしまう.それに,着なくても,体温が奪われる心配もないので,もう少しこのまま登ること決める.
残念ながら,本来ならば富士山が良く見える場所に来ても,富士山はおろか,近場の山すら濃い雨雲に覆われている.
<霧の堀山の尾根>
■萱場平
8時31分に堀山の家を通過する.小草平のベンチは雨でビショビショに濡れている.小屋には人気がなくて静まりかえっている.急坂に差し掛かる.私の前後には誰も居ない.累々とゴロゴロ石が重なるように続く霧の登り坂を一人黙々と登る.石が雨で濡れていて,滑りやすくなっている.
登りながら,色色なことが脳裏をかすめる.
「きのうの『ためしてガッテン』は良かったなあ・・」
歩きながら,登山靴のことが気になり始める.登山学校や複数のガイドから,「底の固い靴を選びなさい」と口酸っぱく言われてきたが,これって本当だろうか? 昨日のテレビでは,山歩きの名人が地下足袋を履いていた.ウエストンの『日本アルプス』を見ると,日本人のガイドが履いている「わらじ」の方が,ウエストンが履いている鉄鋲を打った革靴より滑らなくて安定して歩けるという話が出てくる.
実は,私も歩き馴れた大倉尾根は,ハイカットながらごく普通の運動靴で登ることが多い.これまで,重登山靴,軽登山靴,長靴など,大倉尾根でいろいろと試してみたが,どれもこれも一長一短がある.現在履いているハイカットの運動靴は,当然,底は柔らかい.従って,足の下の石ころの状況が良く分かるという長所はあるが,馴れないと足の裏が痛くなる.石ころの状態が足の裏から直接伝わってくると,下り坂で,無茶歩はしなくなる.従って,ある意味ではきわめて安全に下山できるという長所がある.
こんなことを書くと,決まって「そんなことをしてはいけない」と,「上から目線」で決めつけるエセベテランが出てくる.曰く,
「靴は登山で最も大切なものだから金を掛けて最高のものを選べ・・」
「運動靴で塔ノ岳へ登るなんて,とんでもない.山を甘く見てはいけない・・」
ところが,2000回も塔ノ岳へ登ったMさんも,韋駄天のTさんも,その他かなりのご常連,それに山岳マラソンをしている若手の方々も,ごく普通のスニーカーで登っている.これらの方々がスニーカーが原因で事故を起こしたなどという話は聞いたことがない.
でも,まあ,この話は,あくまでも私見.これでオシマイ.
・・・まあ,こんなことを考えながら一人悦に入ったり,怒ったりしながら,8時51分に萱場平を通過する.相変わらず深い霧が辺りを覆っている.
<今日の萱場平>
■濃い霧の塔ノ岳山頂
ユックリ登ってきたので,全く疲労感がない.「あと7分坂」も苦労せずに6分ほどで登り切って,9時13分に花立山荘を通過する.霧の花立山荘も不気味なほどに静まりかえっている.そして,濃い霧の中,花立山を目指す.
すると,霧の中から人の声が聞こえている.同じバスに乗り合わせていた韋駄天組の2人である.早手とすれ違う.もうこんな所ですれ違うとは驚きである.私と所要時間で30分以上の差があることになる.
9時28分,金冷シを通過.ここで韋駄天のTさんとすれ違う.そして,金冷シから最初の長い階段を登っているときに,三角髭のTさんと,「やあご苦労さん」ですれ違う. その後も,実に気楽に全く疲労なしのまま,9時43分,ようやく塔ノ岳山頂に到着する.
今日の登攀所要時間は,2時間42分.まだまだ私の登山力回復は本調子ではないが,リハビリ3回目としてはこんなものかなと自己評価する.早く体力を回復して,2時間20分台で,楽に登れるようになりたいなと思う.
山頂には誰も居ない.濃い霧が掛かっていて眺望は全くない.近くにある尊仏山荘も霧に隠れている.
■尊仏山荘
霧の山頂の写真を撮ってから,尊仏山荘に入る.今日の小屋番はOさん.山頂の気温は+17.5℃.やっぱり気温は高い.
先客は2人.私は知らない方だが,どうやらご常連のようである.お二人ともビールを飲んでいる.お一人がビールを追加注文.そして,
「よく冷えているなぁ~・・・」
と感心する.するとOさんが,
「この時期,山頂でビールの飲む人なんて,殆ど居ないんです.オレがたまたま飲むぐらいですよ」
と苦笑する.
「泊まり客は居ないの・・」
「この暑い時期は,皆,高いところへ行っちゃいますよ・・泊まり客はとても少ないですよ・・」
私は例によって,300円也のお茶を所望する.
Oさんが,後ろの部屋からネコのミー君を連れてくる.居眠りをしていたミー君は,いきなり連れ出されたので眠そうである.目をシバシバさせながら,尻尾をユックリとクネクネする.
ミー君に会うのは久々.
「おい,お前さん.元気だったかね・・・」
と言いながら,ネコの背中を撫でる.途端に,沢山の抜け毛が落ちてくる.抜け毛が散らかると営業妨害になる.撫でるのは適当なところで止める.ご常連の一人が,
「ほう・・・こいつ幾つになるの・・」
とOさんに質問する.
「11歳ですよ・・・」
「ほう,人間なら70歳ぐらいかな・・・」
なるほど,言われてみると,この頃,ミー君も大分老けてきたようにも見える.相変わらずオットリとしたところが可愛い.
■下山途中,次々にご常連と会う
10時04分に尊仏山荘から下山を開始する.山荘から外へ出る.雨は止んだものの,まだ霧は深い.そして,かなり強い風が吹いている.山頂で休憩を取っている人も殆ど居ない.
濡れた登山道を下り続ける.山頂直下の急階段を降りているときに,同じバスに乗り合わせていたカメラマンのMさんとすれ違う.Mさんの直ぐ後ろに,多分,2番バスで来られたと思われるH谷さんがいる.
「一足先に下りています・・」
とH谷さんに挨拶して下り続ける.
さらに花立山付近で,ローギヤー氏とすれ違う.花立山荘近くの下り坂で,山旅スクール6期のNさんがホッペを真っ赤にしながら登ってくる.私が,
「おや,暫く振りですね・・・相変わらず登っておられますか」
と挨拶する.
「なかなか天気の日がなくて・・・やっと,今日登ってきました・・」
とNさんが言う.そういえば,この頃,山旅スクールの方々とお会いすることが少なくなったような気がする.
標高が下がるにつれて,空気が次第に「むっ」としてくる.蒸し暑く感じる.同時に,霧が次第に薄くなり,登山口まで下山した頃には,青空が見え始める.
下界は,天気予報通りに晴だったようである.
2時過ぎに帰宅する.隣の屋根三毛は不在.冷房の入った室内で寝ているんだろう.今日は尊仏山荘のミー君に会えたので,お前の姿が見えなくても,どうということはないぞ・・と,妙に意気込む.
<山麓の大倉は晴れ>
[ラップタイム]
7:01 大倉 発
7:23 観音茶屋
7:41 見晴茶屋
8:13 駒止茶屋
8:31 堀山の家
9:13 花立山荘
9:28 金冷シ
9:43 塔ノ岳山頂 着
=========================================
10:04 塔ノ岳山頂 発(+17.5℃)
10:16 金冷シ
10:28 花立山荘
11:05 堀山の家
11:23 駒止茶屋
11:49 見晴茶屋
11:58 分岐
12:02 観音茶屋
12:18 大倉 着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間
大倉 発 7:01
塔ノ岳 着 9:43
(所要時間) 2時間42 分(2.70h)
登攀速度 1269m/2.70h=470.0m/h
■下降所要時間
塔ノ岳 発 10:04
大倉 着 12:18
(所要時間) 2時間14分(2.23h)
下降速度 1269m/2.23h=569.1m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/09cc017e7d3504f10fdfe9447995b9c6
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/0220d16eed6f1a85b4d32627d61853d5