中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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たかが10分,されど10分:丹沢塔ノ岳

2007年02月23日 15時26分17秒 | 丹沢の山旅

                     たかが10分,されど10分
                    丹沢:大倉尾根を塔ノ岳へ
                        (単独山行)
                  2007年2月21日(水)


 2007年2月17日(土)にパプアニューギニアのウイルヘルム山登頂から帰国した私は,その翌日の日曜日は,折から天候が悪く,寒かったので,自分で納得して,終日家に篭もりユックリと休養していた。しかし,翌,月曜日になると,そろそろ山へ行きたくなってくる。ところが,天候が一向にハッキリしない。漸く,2月21日になって,天候が回復して,朝から晴天になるようである。
 私は,居ても立っても居られなくなり,2月21日の早朝,4時に起床する。そして,自分のブログにウイルヘルム山登頂記を更新してから,5時10分過ぎに家を出発して,丹沢へ向かった。
 7時28分,大倉尾根の登山口,バス停「大倉」(標高300m)に到着した。久々の晴なので,沢山登山客が居るものと思ったが,同じバスに乗り合わせた登山客は5~6人しか居なかった。
 装備,服装を整え,ストレッチをしてから,7時48分に歩き出す。
 今日は季節外れの暖かさである。私は自分の年齢を考えて,今日は無理をせずに登ろうと心に決める。まず,絶対に息切れしたり,大汗をかくようなことをしたりしないで,ユックリとした速度で登る。具体的には,登攀速度の上限を650~700m/hとして,どんなときでもこの上限を超えないようにする(実際には,短時間だが750m/hを超えてしまったところもある)。
 ユックリと登り続けて,登山口(335m),克童窯(365m),丹沢ベース(415m),観音茶屋と進む。この辺りまでで,何時ものラップタイムより,2~3分遅くなる。昨日までの雨で,路面が濡れていて,とても滑りやすい。それでも,同じバスに乗り合わせた登山客全員を,この辺りで追い抜いた。逆に,どこからともなく現れた若い登山客に追い抜かれる。
 9時02分,堀山(955m)を通過する。ここには「塔ノ岳1時間30分,大倉55分」と書いた案内板が建っている。一旦,下り坂になり,やがて平坦な尾根道になる。そして,杉林の中の上りトラバース道を通過して,9時11分に堀山の家に達する。小屋の前から真っ白な富士山が良く見える。何時,富士山が見えなくなるか分からないので,保険のつもりで富士山の写真を撮る。ここからが,いよいよ本格的な登り坂になる。何時もついつい登攀速度を上げてしまうが,今日はSUUNTOの高度計を睨みながら,登攀速度を調節する。

      <「堀山の家」から見た富士山>
 長い階段が連続する。ユックリ,ユックリと登り続ける。登攀速度を抑えているので,実に楽に登れる。9時26分に戸沢分岐を通過する。一寸上の広場は,何時も大変な泥んこで悩まされるが,昨夜雨が降った割には,今日の広場は幾分乾いていて歩きやすい。そして,今日は何の苦労もなく,9時48分に花立山荘に到着する。ユックリ歩いているのに,意外に好タイムである。
 花立山荘から少しばかり階段が続く。そして露岩帯に出る。ここから見る富士山の眺望はとても素晴らしいので,何時もここで写真を撮る。今日は気温が高いためか,山麓から雲が湧いてきている。もう春の陽気である。こんなときは富士山が沸き上がる雲に被われて見えなくなることが多いので,塔ノ岳山頂から富士山が見えるかどうか心配になる。
 途中で,常連の登山客が降りてくるのに出会う。
 「やあ,今日は・・・暫くぶりです」
と挨拶を交わす。
 「山頂付近の樹氷が綺麗でしたよ・・」
とご常連が教えてくれる。
 トラバース道に入る。この辺りから踏み固められた残雪が残っていて,とても滑りやすくなる。特に金冷し手前の下り坂は,4本アイゼンがあったら良いなと思うほどツルツルしている。10時03分,金冷しを通過する。ここらあたりから,残雪が多くなり,あまり快調に飛ばすわけには行かなくなる。
 今朝冷え込みが強かったのか,沢山の樹氷が残っている。足下には風で落下した霧氷が一面に散らばっている。この霧氷の散乱がとても美しい。私は足を止めて,樹氷の写真を何枚も撮り続ける。

    <足下に風で落ちた樹氷が散らばっている>

       <花のように綺麗な樹氷>
 10時20分,塔ノ岳山頂に到着する。山頂の気温は+1.0℃。暖かい。山頂は残雪で真っ白である。富士山は沸き上がる白雲が山麓を被っているが,真っ青な空に真っ白な姿をクッキリと表している。遠くには南アルプスの山々が真っ白に輝いている。2名の登山客が山頂のベンチに座って食事をしている。私は久々に尊仏山荘にお邪魔する。
 「・・・やあ,いらっしゃい・・!」
と髭の小屋番が挨拶をする。先客はカメラマン1人である。
 「・・・2番目のバスでしょう・・・登山客何人ぐらいいましたか?」
と私に聞く。
 何時ものとおりに,300円也のお茶を注文する。お茶を飲みながら,暫くの間,ノンビリと休憩を取る。私は,
 「随分と暖かいですね・・」
と話しかける。
 「今年の冬はダメですね・・こうなったらいっそのこと,早く春になった方が良いですよ」
 ところで,明後日,2月23日は,塔ノ岳からダイアモンド富士が見える日である。この日,富士山の真上で日が沈む。例年,沢山の登山客が尊仏山荘を訪れる日である。だが,今のところ,どうも23日は天気が悪そうである。

 今日の登攀所要時間は2時間32分。かなり遅い。しかし,途中で樹氷の写真を撮るのに要した時間を差し引くと,実際は2時間25分程度である。好条件のときに急いで登っても,私の場合は,2時間10分を切ることは容易でない。まあ,良くて2時間15分台である。そうなると,急いで登っても,ユックリ登っても,時間の差はせいぜい10分程度だということになる。
 10分遅く歩くようにすれば,こんなにも楽に登れるのかと,あらためて認識する。「たかが10分,されど10分」である。逆に10分早めることが如何に大変かということになる。登山では「早立ちして早く目的地に着く」のが鉄則である。その理由の一つに,山行速度を速めるのが如何に大変かは自明である。逆に一寸した事故で,10分,20分,予定が遅れてしまうことが,しばしばあるのも,心得ていなければならない。
 今日は尊仏山荘のネコちゃん,「ミー君」には会えなかった。
 10時40分に山頂から下り始める。その頃になると,富士山はすっかり雲の中に隠れてしまった。
 私は大倉発12時52分のバスに乗ろうと思う。まだ時間がタップリあるので,ノンビリ,ダラダラと下り始める。11時07分に花立山荘を通過する。山荘手前の長い階段の途中で,同じバスに乗り合わせた登山客2人とすれ違う。
 「おや,もう山頂まで行って来られたんですか・・・随分と早いですね・・」
と挨拶される。私は早いとは思っていなかったので,ドギマギする。普段殆ど山に登っていない方と比較すれば,平素から山登りをしている私の登攀速度は確かに速いかもしれないが,尊仏山荘のご常連には2時間を切る速度で登る人達がゴロゴロしている。私ごときは,とても,とても,相手にされていない。
 12時34分に観音茶屋を通過する。
 「ありゃ~・・・12時52分のバスに間に合わないぞ・・・」
 私は,ここから歩く速度を猛烈に速めた。でも,決して走らない。そして,12時51分,バス停「大倉」に辿り着いた。私がバスに乗車すると,すぐにバスは発車した。

[ラップタイム]
 7:48  大倉歩き出し
  ↓
 8:09  観音茶屋
  ↓
 8:24  見晴茶屋
  ↓
 8:53  駒止茶屋
  ↓
 9:11  堀山の家
  ↓
 9:48  花立山荘
  ↓
10:20  塔ノ岳山頂着
10:40   〃   発
  ↓
12:51  大倉着

■登攀高度    1201m
■登攀所要時間  2時間32分(2.53h)
 登攀速度    1201m/2.53h=474.7m/h
■下降所要時間  2時間11分(2.18h)
 下降速度    1201m/2.18h=550.9m/h
                          (おわり)



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