<塔ノ岳山頂から富士山・南アルプスを望む>
真っ白に輝く富士山を眺めながら登る丹沢;塔ノ岳(今年5回目)
(単独山行)
2012年1月18日(水) 晴
■今朝も寒いぞ
毎度のことながら,早朝3時30分頃起床してから,丹沢へ「行く,行かない,・・」を何回か繰り返した後,4時頃,やっと出掛ける気になる.そして,例によって,登山用の戦闘服に着替えると,気持ちがシャンとする.
「今日も,塔ノ岳に登るぞ! エィッ!,エイッ!,オー!・・・」
と心の中で叫んでから,急に馬鹿馬鹿しくなる.
実は,この掛け声は,小田急トラベル主催の街道歩きで,何時も出発時にやらされていた行事である.この掛け声と一緒に右手の握り拳を高く上げるのである.
旅行中,私は,何時も,心の中で,
「馬ッ鹿ジャないの・・・!」
と思いながら,声を出さずに,一寸だけ右手を挙げるふりをしてきた.
ソウ,私は天の邪鬼なのである.
そんなことを思い出して,私は心の中だけでニタニタ,5時10分に家を出る.そして,何時ものように,近くのモノレール駅のホームで初電を待つ.今朝も同じ顔ぶれの通勤客がホームに揃う.毎度,リュック姿の私を見て,顔見知りの通勤客は,私が何処へ通っているのか気になるかもしれない.
そう.私は今年になって,週に2回の頻度で,塔ノ岳へ通勤している.
それにしても,今朝も寒い.
私は駅前のコンビニで握り飯2個と,ペットボトル入りの熱いお茶を購入する.そして,ペットボトルの両側に握り飯をピッタリと密着させて,手拭いでグルグル巻きにして,ビニール袋に収める.その袋をリュックの一番中心に仕舞い込む.こうしておくと,尊仏山荘に到着する頃,この握り飯は,食べるのにほどよい暖かさになっている.とても美味しく食べられる.
「皆さんも,是非,お試しを・・」
と推奨したくなる.
■小田急で人身事故
私が乗車した電車は,6時21分に小田原駅に到着する.
「さあ~てっ・・と!・・・・猛ダッシュするぞ・・」
私は意気込む.これから3分で,小田急電鉄のホームまで猛ダッシュして,6時24分発の新宿行の急行電車に乗らなければならない.
毎度,同じことばかり書いているが,この猛ダッシュのシンドイこと.ひょっとしたら,マイペースで登れる塔ノ岳登頂よりシンドイかも知れない.
ところが,今朝は,辺りの様子が,どうも何時もと違う.
小田急電鉄の乗り場から,何十人ものサラリーマンが,JRの乗り場の方にダッシュしてくる.
「何だか,おかしいな・・・」
と思いながらも,とにかく,追い立てられた羊の群れのようなサラリーマン諸氏を除けながら,ダッシュを続けて,小田急のホームに到着する.
ところが,何時ものホームに電車が居ない.どうやら,向ヶ丘遊園付近の駅で人身事故があったらしくて,ダイヤが乱れている.やがてホームに回送電車が到着する.この電車,海老名行急行電車だという.
6時28分,電車は小田原駅を出発する.渋沢では6時48分大倉行の1番バスに何とか間に合う.
■見晴階段
バスの乗客は,ほんの数名.ご常連は,U村さんと,ホッシーさんだけ.何時も下り電車で来られる大半のご常連は,どうやらこのバスに間に合わないようである.
バスが大倉に到着する.
私としては,珍しく歩き出し前の行事をすべて省略して,7時01分にU村さんと一緒に大倉から歩き出す.
このところ,東京では連続34日間にも渡って,乾燥注意報が出たままになっている.そのためか,大倉付近の路面はすっかり乾燥していて歩きやすい.
U村さんが私の歩行速度に合わせて頂いたのか,何とか見晴山荘まではご一緒させていただくが,見晴らし階段から先は,私ごときは,到底,U村さんには付いて行けない.
「ここからは,ユックリ参りますので,どうぞお先に・・・」
「では,・・・」
でお別れしする.
途端に,U村さんのスピードが上がる.瞬く間に,私との間が広がっていく.
見晴階段を見上げると,結構沢山の登山客の後ろ姿が見える.平素,塔ノ岳にはあまり来られていない方々が殆どらしく,汗ビッショリになって力んで登っておられる.
申し訳ないが,殆どの方々を追い越させて貰う.
<見晴階段を登る>
■残雪の堀山の尾根と真っ白な富士山
駒止茶屋手前の階段で,若い男性2人に追い越される.
「若い人には,敵わないな~ぁ・・」
と心の中で思いながら,お二人に道を譲る.
8時06分に駒止茶屋を通過する.大倉を歩き出してから1時間05分掛かっている.
「この調子だと,今日も(塔ノ岳山頂まで)2時間30分ちょいというところかな・・・」
と到着時間を予測する.予測が当たるか外れるかに,結構興味がある.
今日の堀山の尾根からの富士山は最高である.山裾までタップリ雪に覆われている.空の高いところに雲が湧いている.この雲が富士山を一層引き立たせている.
堀山の家付近から,昨日降ったらしい雪が残っている.残雪の路面はカリカリに凍結している.
8時14分,堀山を通過する.何時もならば,ここから始まる緩やかな下りを,思いっきり飛ばすが,今日は残雪があるので,充分注意しながら慎重に歩き続ける.万一,転倒して怪我でもしたら大変.慎重には慎重を重ねた方が身のためである.
8時24分,ようやく堀山の家を通過する.小草平からは相変わらず富士山が良く見えている.
<堀山付近から残雪が見え出す>
<堀山尾根道からの富士山>
■萱場平
戸沢分岐の手前で,また先ほどの2人に追い抜かれる.
「・・あれ,また会いましたね・・・どこかで休憩していたんですか?」
「ええ,休憩しないと,とても歩けないんで・・」
「そうでしたか・・・私は,途中で休憩を取らない代わりに,ユックリ登っていますよ・・」
で,また同じ2人に道を譲る.
8時43分 萱場平に到着する.前回より多めの残雪である.前方には先ほど私を追い越した2人の後姿が見えている.
萱場平を過ぎると,雪が一段と多くなり,辺りはすっかり冬景色に変わる.
毎度,同じことを書いているが,私は大倉尾根の中では,堀山の家から花立山荘の間が大好きである.この区間には,一番登山をしているような雰囲気があるからである.
色々なことを考えたり連想したりしながら,一歩一歩登っていく.こればまた楽しい.
8時58分,後7分坂に到着する.ここで振り返って下界を眺める.柔らかい日射しを一杯に浴びる相模湾が一面に広がっている.実に素晴らしい風景である.ここで2~3枚の写真を撮ってから,いよいよ後7分坂を登り始める.
何時の間にか,先ほど私を追い越していった2人に追い付いている.
そのとき,韋駄天のY沢さんが,ダダダダッともの凄い勢いで階段を駆け下りてくる.瞬く間にずっと下の方へすっ飛んでいく.両手に持ったストックを飛行機の羽根のように広げて持っている.まるで飛行機が滑空しているように見える.
<萱場平>
■花立山からの富士山と南アルプス
9時04分,花立山荘に到着する.先ほどの2人が,庭先のベンチにへたり込んでいる.
「・・ユックリ先へ行っていますから,また追い越して下さい・・」
と挨拶して,私は,そのまま花立山荘を通過する.
花立山の階段を登っていると,ご常連のKシゲさんが下山してくる.一言二言挨拶する.
「やあ・・今日は暖かで登りやすいですね.山頂にはほとんど雪はなくて,アイゼンなんか要らないですよ・・」
と山頂の様子を教えてくれる.
「ところで,今年何回登ったの・・」
私は,
「私,今日で,やっと5回目です・・」
と答える.
「じゃあ,・・オレより多いよ・・・じゃあ,またネ」
でお別れする.
今のところ,全く疲労感がないので,花立山荘から花立山まで7分程度で登っている.何時もより2分ほど速いペースである.
花立山山頂の木道に到着すると,心身共にホッとする.ここまで来れば塔ノ岳山頂に到着したのと,もう同じである.
今日は空気が澄んでいて,富士山だけでなく南アルプスの山々もクッキリと見えている.私は,少々,時間を取って,花立山からの眺望を,何枚もデジカメに収める.
<花立山からの眺望>
■塔ノ岳山頂
9時18分,やっと金冷シを通過する.大倉を歩き出してから,2時間17分経過している.遅い!
でも,遅くても,これが今の私,仕方がないな.
後は惰性で登り続ける.ここまで登ると一段と雪が多くなる.辺り一面が雪で真っ白である.
”そろそろ,次のバスで来た韋駄天のTさんに追い付かれる頃だな・・・”と思う.私の心中は,半分は韋駄天さんの姿が見えるのを期待しながら,後の半分は,山頂まで追い付かれたくないと思っている.
9時32分,やっと塔ノ岳山頂に到着する.大倉からの所要時間は2時間31分.やっぱり2時間半の壁は破れなかった.ガックリ.ここ2~3年の間に,平均で5分程度,余計に時間が掛かるようになっている.マズイナ.ただ,幸いなことに,疲労感は全くない.
まずは,山頂の儀式として,ここから見える風景をグルリ一周撮影する.
つい先日訪れた大山も,ここから良く見えている.ご常連の情報によると,ゲザンシュタインさんは,今日,大山に登っておられるとのこと.
ここから富士山を見ると,山頂に傘雲が掛かっている.そして上空には飛行雲のような筋雲が何本も掛かっている.今日の富士山の情景は,なかなか見応えがある.
山頂の気温はマイナス2.8℃.案外暖かい.
<塔ノ岳山頂直下の雪道>
<塔ノ岳山頂>
<塔ノ岳山頂から大山を望む>
■尊仏山荘
山頂での儀式を終えて尊仏山荘に入る.
先客は見晴山荘までご一緒したU村さん他2人.
U村さんは,私より30分も早く到着していたようである.私が山荘に到着したときは,私と入れ替わりに下山しようとしている.
今日の小屋番はオーナーのH立さん.私は,ネコのミー君とのご対面を即座に諦める.
300円也のお茶を所望する.
お茶を飲みながら,あれこれと雑談が始まる.
9時45分頃,小田急電車事故で2番バスになってしまった韋駄天のTさんが到着する.
Tさんと前後して,先ほど私を2回追い越した男性2人が,やっと到着する.どうやら途中で失速したらしい.どうやら,2人ははじめて塔ノ岳に来られたようである.小屋番のH立さんに,
「ここに住んで居られるんですか・・?」
と意表を突く質問をする.
「そうですよ・・ここに住んでいますよ」
「へぇ~ッ・・!」
と2人は驚く.
「・・時々は下へ降りますよ・・」
とH立さんが,面倒くさそうに追加して返事をする.
暫くして,2人は山荘を出発.そのまま大倉尾根を下るという.
<今日の尊仏山荘>
■山頂付近でご常連とバッタリ
10時01分,私も下山しようかと思う.偶然,韋駄天のTさんも一緒の時間に下山を開始する.
山荘を出ると,入れ替わりに1番バスに乗っていたホッシーさんが山荘に入っていく.
山頂で,余儀なく2番バスで来られたM田女史とバッタリ.
「あなたのブログの写真,綺麗ですね・・」
と誉められる.お世辞でも嬉しい.
私は,ついでに,
「あちこちに散逸している古い登山記録を整理して,ブログに載せたいと思っています.参考にして頂ければ嬉しいです・・」
と付け加える.
その後,韋駄天のTさんの後に付いて下山し続ける.
馬の背から花立山付近で,遅いバスで来られたご常連とすれ違う.山荘に立ち寄らずに下山中の三角髭のTさんともバッタリ.
成り行きで,暫くの間,三角髭のTさん,韋駄天のTさんと3人で下山し続ける.
特に下り階段で足の遅い私は,後7分坂で,先頭になる.私1人のときはあちこちキョロキョロしながら,遊び半分でノンビリと下るが,今日はお二人と一緒なので,キョロキョロせずに,真面目に下山し続ける.
その内に,何時の間にか,私1人になっているのに気がつく.お二人はどこかに立ち寄っているんだろうか.
露岩帯を降りていると,私達より大分早く下山しはじめた例の2人の男性に追い付く.2人は四苦八苦しながら露岩帯を下っている.
「下り,結構大変ですね・・」
と私に話しかける.山をはじめた頃の私もあんな歩き方だったなと,昔のことを懐かしく思い出す.
■一本前のバスに間に合いそうだ
何時の間にか,韋駄天のTさんや三角髭のTさんと別れ別れになってしまった.こうなったら,勝手に下山するまでだ.
11時04分,駒止茶屋を通過する.
「あれ・・一寸急げば11時52分のバスに間に合いそうだな・・」
と気がつく.
私は,道草を一切せずに下り続ける.もちろん,安全には十分に配慮しながらである.
11時24分,見晴山荘を通過.このまま急げば,11時52分のバスに確実の間に合う筈である.幸いなことにここから先の登山道には危険なところもない.
私は歩行ピッチを上げる.一人歩きなので誰にも気兼ねすることはない,途中,数名に登山客を追い抜いて,11時48分,無事にバス停大倉に到着する.
下山所要時間は,最後急いだこともあって,1時間46分.途中で道草しなければ,100分程度で下山できるなと確信する.
11時52分のバスに乗る.
乗客は疎ら.先客の中にN村(弟)さんが居られる.N村さんも,今朝の小田急事故で1番バスには間に合わなかったとのこと.
「途中でお会いしなかったですね・・」
とN村さんが不思議がる.多分,私が尊仏山荘でお茶を飲んでいるときに,N村さんは山頂で折り返したのだろう.
バスの中で,N村さんから,ランナー用の腕時計を魅せて頂く.データーロガーが搭載されている,いちいちノートに手書きしなくても時間が記録できるらしい.なかなか便利そうである.ちなみに,私は気圧計,高度計.温度計,方位磁石付の登山専用の時計を使っている.登山用時計にデーターロガー機能が付いている時計があったら良いなと思う.
■熱い風呂と昼寝は極楽だ
12時06分,バスは渋沢駅に到着する.私は小田原経由東海道本線で.14時前に自宅に帰えりつく.
すぐに風呂を沸かして,ユックリと入浴する.気分最高.
とはいえ,こんな風呂の入り方は,注意しないと血圧が大きく変動して,極めて危険.そんなに長風呂はしないことにしている.
入浴で火照った身体のまま,お昼寝.実に良い気分である.本当はやらなければならない用事が沢山あるのに・・・・
グウタラ人生万歳!
<ラップタイム>
7:01 大倉歩きだし
7:21 観音茶屋
7:36 見晴茶屋
8:06 駒止茶屋
8:24 堀山の家
9:04 花立山荘
9:18 金冷シ
9:32 塔ノ岳山頂着(-2.8℃)
10:01 〃 発
10:15 金冷シ
10:24 花立山荘
10:41 堀山の家
11:04 駒止茶屋
11:24 見晴茶屋
11:34 観音茶屋
11:48 大倉 着
[山行記録]
■水平歩行距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登り所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:01
塔ノ岳山頂着 9:32
(所要時間) 2時間31分(2.52h)
水平歩行速度 7.0km/2.52h=2.78km/h
登攀速度 1269m/2.52h=503.6m/h
■下り所要時間(雑談時間を含む)
塔ノ岳山頂発 10:03
大倉 着 11:49
(所要時間) 1時間46分(1.77h)
水平歩行速度 7.0km/1.77h=3.95km/h
下降速度 1259m/1.77h=716.9m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/2586f90dba9e9f2a4dbc1f12e02d9330
「塔ノ岳」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/c43f2e35a17c2e5c0abe157d13ce774c
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/ecec91418482dc5093197aade1312190
「塔ノ岳」の次回の記事
(なし)
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雪はうっすらですネ
土曜日に満を持して行きたいと思っています
最近、やたらと人身事故が多いです
車も、高速で追突事故が多くて
山の中は、いつもどおりのメンバーが沢山歩いていて微笑ましいです
私の方は、なかなか仲間が増えて行きません