<花立場からの眺望>
ミツバツツジが見事な丹沢:塔ノ岳(今年28回目)
(単独山行)
2009年6月1日(月)
■1番バスに沢山のご常連が乗っている
この所,梅雨のはしりを思わせるぐずついた日が続いている.やっと,曇りがちながら晴れ間も出るという天気予報に,私は6日ぶりに塔ノ岳を訪れることにした.
例によって,小田原駅でたった3分の接続時間,猛烈な駆けっこをして東海道本線から小田急線に,やっとの思いで乗り換る.渋沢で大倉行1番バスに飛び乗る.私と同じように,雨で家に閉じこめられていた登山客が,平日にもかかわらず,沢山乗り込んでくるバスは立ち席が出るほどの混雑である.
ご常連の方々も沢山乗ってくる.韋駄天グループのT口さん,Kさん,塔ノ岳2000回間登頂近のカリスマ,M馬さん,カメラマンのMさん,ネコのSさん等々多士済々である.お互いに,
「やあ,やあ,・・・」
と挨拶を交わす.
■大倉尾根でヒルに咬まれた
私の直ぐ後の席に,T口さんが座る.私が,T口さんに,
「雨の間,どうされていたんですか・・?」
と伺う.
「雨でも,ほぼ毎日,塔へ来ていましたよ・・・」
「そうでしたか.私は雨の日ばかりだったので,来なかった.今日は6日ぶりです.やっぱり,週に1~2度登っていないと,身体の調子が悪くなりますね・・・」
「そう・・・中1日空いたぐらいなら,まあいいですけど,2日空けると,私も身体が重いですね・・」
「でも,雨の日は,どうも登る気がしなくて・・・」
「実は,この間,雨だけでなく,風が強く吹いた日があったでしょう.あの日に靴ひもを締めようと思って,濡れた枯れ草の上で,靴をいじっていたら,いつの間にか,ヒルが手の平に食いついていたんです・・・」
「でも,血を吸ったら離れたんじゃないですか・・・」
「いえ,・・・ヒルを離そうとしたんですが,食いついていて離れないんです.それで,小石でグイグイと,ヒルを潰して,やっと取ったんです.でも,もう2日も経つのに,こんなに腫れているんですよ・・」
と言いながら,私に手の平を見せる.
なるほど,ヒルに喰われた所が,直径3~4ミリ,高さ3~4ミリに膨れあがっている. 多分,ヒルの歯が残っているのだろう.
登山学校で習ったヒル対策では,
「・・一旦,ヒルに食いつかれてしまったら,ヒルが十分に血を吸うまで,ソッとしていなさい.そうすれば満腹になったヒルは自分で離れていきます・・・後は多少血が出るけれども痛みや痒みは残りません.もし,ヒルを直ぐに取りたいときは,ライターの火をヒルに近づけるんです.するとヒルは直ぐにはなれます.くれぐれも,ヒルを無理に引き離そうとしないでください・・・」
ということであった.
残念ながら,T口さんのヒルへの対応は完全ではなかった.このことを,T口さんにお伝えしようかと迷ったが,あまりに差し出がましいのも考え物なので,ご注進を差し控える.
普段,全くといって良いほど,ヒルには無関係の大倉尾根でも,雨の日のように,湿気の多いときに,枯葉が貯まっているところで立ち止まったりすると,ヒルに襲われることがあるという教訓である.
私の席の斜向かいに,「ネコのMさん」が座っている.Mさんにお目に掛かるのは久々のことである.お互いに,「久しぶりですね」と挨拶をする.
「今日は,Mさんが居られるので,尊仏山荘の営業部長に会えそうですね・・」
「そう,今日の小屋番は,Oさんだから,ネコも出てくるでしょう・・・」
「やっぱり,折角,尊仏山荘に顔を出すんだから,営業部長に会いたいですよね・・」
「そう・・・あいつに会うとホッとしますよ・・」
■湿度が高くて暑い
バスは6時56分に大倉に到着する.帰りに大倉発11時17分のバスに乗るというT口さんとKさんのお二人は,直ぐに登山を開始する.M馬さんも続いて直ぐに歩き出す.私も早く歩き出したいと思っているが,モタモタしていて,ようやく7時04分に歩き出す.
案の定,足許は濡れている.
今日は,つい先日,100円ショップで購入した温度計を持っている.早速,温度計を覗き込むと+20℃にも達している.それに,辺り全体が“モア~・・”としていて湿度もメチャメチャに高そうである.私は早々に“今日はダメだ”と諦めてしまう.
ジメジメと蒸し暑い中を,半ば惰性で登り続ける.歩いていても,ベタベタとした湿気が,どうしても気になる.私は,無理をしても仕方がないので,かなりスローペースにして,半ば惰性で登り続ける.
7時39分に見晴茶屋を通過する.気温は+16℃.標高が高くなったので,少し気温が下がったようである.見晴茶屋から一本松に掛けての登り坂は,出だしをゆっくり歩いたためか,案外すんなりと登ってしまう.
尾根道に入ると,尾根越えのそよ風が吹いている.幾分涼しく感じるが,肝心の登山道が大分泥んこになっている.そのために,足許が滑りそうで,とても歩きづらい.
■駒止茶屋を3分遅れで通過
8時07分,駒止茶屋を通過する.手前の階段道は,調子よく登ったつもりだったが,大倉を歩き出してから1時間03分を経過している.1時間を3分もオーバーしている.まあ,こんなものかと思いながらも,他方では,やっぱり体力が落ちてきたかなと心配になる.駒止茶屋での気温は+14℃.
堀山の尾根に出る.暑さは大分和らぐ.時折,雲間から太陽が覗くが,すぐにまた霧に覆われる.
前方から,ご常連のY沢さんが2本ストックを上手に使いながら,私の脇を駆け抜けていく.
富士山だけでなく,近場の鍋割山稜も,濃い霧の中である.谷間の方でツツドリが盛んに啼いている.
<今日の富士山は雲の中:堀山の尾根から>
■人影のない萱場平
8時23分,堀山ノ家を通過する.気温14℃.
急坂に差し掛かるが,案外体調は良く,疲労感は全く感じない.このままの調子を維持しながら登り続けようと思う.私の前後に,登山者の姿は全くない.そうなると,私は何となく目標がないような奇妙な気分になる.終始,曇り空なので,ジリジリと照りつける太陽も雲の中である.
8時41分,萱場平(気温16℃)に到着する.例により定点観測の写真を撮る.足許の状態は意外に良い.
<人気のない萱場平>
■ツツジが見頃
再び長い急坂を登り,さらに長い階段を登りきって,9時01分,花立山荘を通過する.山荘前のベンチには誰も居ないので静まりかえっている.山荘を過ぎてから,露岩帯の急坂を登る.そして,9時09分に花立場を通過する.
富士山や南アルプスは全く見えないが,近場の丹沢山稜の稜線は霧が切れる合間に見え隠れしている.登山道の近くに自生しているトウゴクミツバツツジが見事に満開である.私は足を止めて,美しい花の風景写真を沢山撮り続ける.
■同じバスのご常連が下山してくる
9時15分に金冷シを通過する.気温は+13℃まで下がっている.湿度は高いものの暑くなく寒くなく気持がよい.ここまで来れば,急いでもユックリ歩いても所要時間に大差がないし,体力維持にも大差がない.それならば,ユックリ歩こうと決める.
私は霧の中の新緑を味わいながら,ノンビリと歩き続ける.
金冷シから最初の長い上り階段を過ぎて,2番目の階段を半分ほど登ったときに,韋駄天のT口さん,Kさんのお二人とすれ違う.
「・・・山頂の気温は+18℃でしたよ・・・」
とT口さんが教えてくれる.随分,気温が高いなと思う.
さらに登って,山頂直下で,下山してくるM馬さんとすれ違う.“やっぱり,M馬さんは速いな”と改めて思う.
9時29分,塔ノ岳山頂に到着する.今日の大倉からの所要時間は2時間25分.もう少し,シッカリあるけないかなと自戒する.
山頂からの視界は全くないが,念のため,バカだなと思いながら,霧だけしか写らない写真を数枚撮る.
<霧の塔ノ岳山頂>
■ノンビリ番台の尊仏山荘営業部長
尊仏山荘に入る.小屋番はOさん.山荘の温度計を覗き込むと+13.5℃.T口山は“3”を“8”と読み間違えたらしい.
Oさんが私に,
「・・2番バスですか・・?」
と聞く.私は,
「いえ,これでも1番バスなんです・・・」
と答える.宜なるかな.私より10分近く早く歩き出しただけでなく,2時間ソコソコで山頂まで登ってしまうT口さん達と,私の到着時間との間には30分ほどの時間差がある.私が2番バスできたと間違えられるのも無理もないなと納得する.でも,情けない.
私が300円也のお茶を飲み終えた頃,カメラマンのMさんが,山荘に到着する.
私がOさんに質問する.
「今日は,“ネコのSさん”が来られますよ・・・で,今日は,営業部長,お出かけですか・・?」
「さあ・・・何処に居るんだろう・・?」
と言いながら,Oさんが,ポリフクロを揉んでガシャガシャという音を出す.そして,
「ミィーや,・・・ミィーや,出てお出で・・」
1オクターブ上げて呼ぶ.すると,2回から営業部長がコトコトと階段を降りてくる.これがまた,何とも可愛い.
営業部長とは暫く振りのご対面である.私は営業部長とOさんのツーショットをカメラに収める.営業部長の仕草を見ていると,心が和む.
<番台を守る営業部長>
<Oさんと迷惑そうな営業部長>
■のんびりと下山
ネコのSさんが,山荘に現れるまで待とうかと思っていたが,一向に現れない.私は,大倉発12時22分のバスに乗りたいと思っている.9時59分,私は下山を開始する.
相変わらずの霧の中である.
金冷シ手前の長い下り坂で,2番バスで登ってきたローギャー氏とすれ違う.“ネコのSさん”ともすれ違う.私は,“営業部長に会えましたよ”と報告する.
花立場付近で,また花の写真を撮りながら,ノンビリ,ユックリと下山し続ける.モタモタと下り続ける内に,駒止茶屋付近でローギャー氏に追いつかれてしまう.その後は,ローギャー氏と前後しながら下る.
丹沢ベースを過ぎた頃,ポツン,ポツンと雨が降り出す.今日は晴の筈である.天気予報が全く外れている.12時06分,大倉に到着する.大倉12時22分発のバスに乗る頃には,雨が本降りになった.あんまりノンビリせずに,下ってきて良かったなと,胸をなで下ろす.
<下界は晴れている:花立山荘より>
[ラップタイム]
7:04 大倉あるきだし
7:23 観音茶屋
7:39 見晴茶屋
8:07 駒止茶屋
8:23 堀山ノ家
9:01 花立山荘
9:15 金冷シ
9:29 塔ノ岳山頂 着
==============================================
9:59 塔ノ岳山頂 発(+13.5℃)
10:08 金冷シ
10:22 花立山荘
10:57 堀山ノ家
11:13 駒止茶屋
11:36 見晴山荘
11:48 観音茶屋
12:06 大倉 着
[山行記録]
■水平歩行距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1201m
■登攀所要時間
大倉 発 7:04
塔ノ岳山頂 着 9:29
(所要時間) 2時間25分(2.42h)
登攀速度 1201m/2.42=496.3m/h
■下降所要時間
塔ノ岳山頂 発 9:59
大倉 着 12:06
(所要時間) 2時間07分(2.12h)
下降速度 1201m/2.12h=566.6m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/accd39f43ae04eefa01cc8d4e0d1511e
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/f926a9e6b6a147a5146a4d01ddb2a8f4
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