中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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梅雨の晴れ間に塔ノ岳(1)

2007年06月18日 07時38分44秒 | 丹沢の山旅

                     梅雨の晴れ間に塔ノ岳(1) 
               (単独山行:途中からスケルトンさん同行)
                   2007年6月16日(土)


     
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梅雨時の晴れ間

 数日前から関東地方も梅雨に入った。しかし,梅雨に入ってからの方が,毎日晴天である。数日前の天気予報では,今日は雨後曇だったが,だんだんと予報が好転して,今朝は朝からピカピカの晴天である。しかも北からの高気圧に覆われて,湿度も低く清々しい。こうなると,もう,塔ノ岳へ登るしかない。
 東海道本線で小田原まで行き,小田急に乗り換える。車窓から,残雪が眩しい富士山が良く見える。今日は素晴らしい眺望が期待できそうである。車内には登山姿の乗客が,何時もの土曜日より,随分と沢山乗っているようである。多分,大半が塔ノ岳を目指すのだろう。渋沢で登山客がドッと下りる。大倉行のバスは登山客で超満員である。席に座れないだけならまだ良いが,押し合いへし合いの状態で,登山開始前からかなり疲れてしまう。どうやら,ミロクの関係者も沢山乗って居られるようである。

■今日のテーマ
 ストレッチを終えて,7時38分に大倉バス停(標高300m)から歩き出す。途端に後から太陽が照りつけて首筋がヒリヒリしだす。歩き出してみると,やっぱり蒸し暑い。今日は今年になってから23回目の塔ノ岳山行である。
 塔ノ岳に登るときは,何時も特別なテーマを設定している。自分の登攀所要時間を更新することを目的にすることもあるし,風景写真を撮ることを優先することもある。昨年一年間は,1ピッチで山頂まで行くにはどのように歩いたら一番楽かを主なテーマにしていた。今回は「丁寧に歩く」をテーマにしようと思う。そのためには,一歩一歩に注意しながら,山頂まで自分の速度で歩いてみようと思う。

■駒止茶屋
 今日は,土曜日とあって,若い方々も随分と沢山登っている。昨日も晴天だったが,石を敷き詰めた登山道は,まだ濡れていて滑りやすい。私は,今日のテーマ通りに,一歩一歩,気を抜かずに,丁寧に歩き続ける。登山道の道幅が広がったところでは,前を歩く登山客に「すみません」と声をかけて,先に行かせて貰う。
 7時38分に観音茶屋(475m)を通過する。特段に急いでいるわけではないが,この辺りまでで,同じバスに乗り合わせた登山客の大半を追い抜く。比較的ゆっくりしたペースで,8時11分に雑事場ノ平(600m)に到着する。ベンチに数名の初老の男性が座っている。もう早々と食事を摂っている。私が通り過ぎようとすると,お一人が,
 「2番目のバスですか?・・・私達,1番目のバス。でも疲れちゃったんで,この辺りで登るの止めようかって思ってるんです・・・」
という。
 8時13分に見晴茶屋(610m)を通過する。いよいよ一本松までの急坂である。前方を見ると沢山の登山客が数珠繋ぎになって,喘ぎながら登っている。辺りにはホトトギスの甲高い啼き声が響き渡る。8時26分に一本松(765m)を通過する。木道を過ぎると,なだらかな尾根道になる。尾根道になると東側から涼風が吹き抜けている。火照った肌に気持がよい。もうすっかり繁茂した緑陰を通して,雪を抱いた富士山がちらほらと透けて見えている。早く花立山荘まで登って富士山を拝みたいという衝動に駆られる。
 杉木立の中の急坂を登る。その途中で,ユックリペースで登っている中年女性の集団に道を譲られる。そして,8時35分に駒止茶屋(875m)を通過する。

■堀山ノ家
 駒止茶屋から,少しの間,急坂を登ると,素晴らしい尾根道になる。毎度,この尾根道を通過するのが楽しみである。今日は快晴。進行方向左手には富士山がクッキリと見えている。そして,右側に表尾根の三ノ塔,大山が連なって見える。どこからともなくツツドリの啼き声が聞こえてくる。私は歩く速度を落として,周りの景色をデジカメに収める。
 8時43分に堀山(930m)を通過する。
「今日の登頂所要時間は2時間25分位だな・・・」
と予想する。
 8時55分に堀山ノ家に到着する。大きな木立の間に,富士山が大きく見えている。

             <堀山ノ家からの富士山>

 ベンチで,数名の登山客が休憩をとっている。その中に,名前は分からないが,ご常連の白髪の紳士が居る。私は,この紳士に,
 「すみません・・・先に行かせて貰います」
と挨拶をして,そのまま登り続ける。
 急坂の途中で,若い2人連れの登山客に追い抜かれる。私は自分のペースを頑なに守ながら登り続ける。そうこうしている内に,また別の若い2人連れに追い抜かれる。後から追い抜かれた2人連れには,その後合わなかったので,かなりの速度で登りきったものと思われる。

■花立山荘
 岩稜地帯に続いて,急な階段を登り,9時09分に戸沢分岐(1100m)を通過する。この分岐の直ぐ上の広場では,沢山の登山客が休憩を取っている。その中に,先ほど私を追い越した若い2人連れが居る。
 「やあ,また一緒になりましたね・・・先に歩いていますよ」
と挨拶をして,そのまま通り過ぎる。
 やがて花立山荘手前の長い階段に差し掛かる。気温が高いために無理はできない。途中に今にも止まりそうな足取りで苦戦している方々も沢山居る。私は650メートル/時程度の定速で登り続ける。するとまた例の2人組に追い越される。
 9時33分に花立山荘に到着する。今日は富士山が殊更に良く見える。山荘前の広場から富士山に写真を撮る。すると傍らのベンチで,私を追い越した2人組が休憩している。そのまま休まずに登り続ける。
 「おや・・・また会いましたね・・」
と挨拶して,私はそのまま登り続ける。結局,この2人より,私の方が,先に山頂へ到着した。

■富士山から南アルプスまで
 花立山荘から急坂の露岩帯を登り詰めると見晴らしの良い尾根に出る。この時期には珍しく青空が広がっている。富士山だけでなく,遠く南アルプスの白い山々までクッキリと見えている。素晴らしい光景である。私は半ば興奮しながら,この美しい風景をデジカメに収める。
  以前から満開になっている稜線のミツバツツジが,まだ咲いている。
 花立山荘辺りから上に来ると,蝉の鳴き声が聞こえてくる。この前,6月12日に登ったときから,蝉の鳴き声が聞こえるようになっている。季節の移り変わりを,とても良く表しているように思える。

■塔ノ岳山頂に到着
 9時47分,金冷しを通過する。そして,10時01分に塔ノ岳山頂に到着する。登攀所要時間は,2時間23分。不満足だが,自分の体力は,夏のこの時期を考慮して,まあこんな所かなと,自分に言い聞かせる。本音はもっと脚力を強くしたい・・・が,年齢を考慮すれば,今の体力を維持するのが精一杯というのが現実だろう。
 山頂では,50人ほどの登山客が休憩を取っている。いつもの山頂に比較すれば,大変な人出である。山頂からの見晴らしが良い上に,風もなく,爽やかである。ここでノンビリと時間つぶしをするのも確かに悪くはない。私も,とりあえずは,周囲の美しい風景をデジカメに収める。そして,山頂で数分休息を取った後,尊仏山荘へお邪魔する。

              <塔ノ岳からの富士山>
               ※東山魁夷の絵を彷彿させる風景である。


            <塔ノ岳から南アルプスが見える>

 10時現在の山頂の気温は+17.0℃である。
 山荘に入る。先客は誰も居ない。今日の山荘の小屋番は,髭のHさん。私は,
 「この間は,ゴミを忘れてしまい済みませんでした」
と謝る。
 「どういたしまして・・・パンは食べちゃいましたよ」
とHさんはニッコリする。
 実は,6月12日に,尊仏山荘を訪れたときに,ゴミとパンを入れた袋を置き忘れて下山してしまった。後でゴミを捨てようとして,リュックの中を探したが出てこない。考えあぐねた末,尊仏山荘に置き忘れたことを思い出した。そして,その翌日,たまたま12日に山荘でお会いしたご常連のKさんが,私がゴミを忘れたことをメールで報せてくれた。この場を借りて,Kさんにもお礼を申し上げたい。
 私は,例によって300円也のお茶を所望する。お茶を飲みながら,早い昼食を摂る。今度はゴミを忘れないように,食料の入ったポリ袋を,リュックの中に入れたまま,食料を取り出して食べる。
 しばらくすると,堀山ノ家でお会いした白髪の紳士が到着する。
 「私,1番のバスで来たんですが・・・貴方は2番のバスですか」
と私に聞く。私は,
 「そうです・・・8時ちょっと前頃,歩き出しました」
と答える。
 「・・ということは,出発するときに30分の差があるのに,途中で追い越されたんですね・・」
としんみりとした調子で言う。確かにその通りだが,私としては,せめて2時間15分程度の時間で歩きたかったので,2時間23分の所要時間は,そう言われても,幾分の不満が残っている。
 そんな話をしている内に,もう1人のご常連が山荘に入ってくる。この方と,Hさんも加わって,年金問題で花が咲く。
 「民間だったら,あんな体たらく,考えられないよ・・」
私も全く同感。
 「大体,しっかりした会社なら,部門を統括する本部長がシッカリ管理しているよ・・・それに較べれば大臣なんて,しょっちゅう変わってしまうんで,何も分からず現場任せになっちゃうんだよ・・・」
私も全く同感。

 すると,どこからともなく,ネコの「ミー君」が現れる。
 何を恐れたのか,椅子の下で,中腰の姿勢のままジッとして動かない。この姿が可愛いので,写真に収める。その内に,ミー君は,部屋の片隅にバケツに顔を突っ込んで水を飲み始める。

             <尊仏山荘の「ミー君」>
                             (つづく)



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