<塔ノ岳山頂から南アルプスを望む>
新雪と春の息吹を楽しむ丹沢;塔ノ岳(今年11回目)
(ご常連と付いたり離れたり)
2013年2月16日(土) 晴
■雪を被った表尾根
一昨日,塔ノ岳を往復したばかりだが,このところ土曜日は先約があって塔ノ岳はお留守にしていたので,とにかく塔へ向かうことにする.天気予報では,
「今日は寒いので十分に注意するように・・・」
と盛んに宣伝していたので,気持ちを引き締めて,何時ものように5時10分に家を出る.
今日は土曜日.従って,小田原駅の階段を一段ずつユックリ登っても,楽に小田急電車に乗ることができる.階段を普通に登り下りできるだけでも,朝のプレッシャーは随分と少なくなる.
今日は臨時バスが出たらしくて,大倉行バス乗り場には城弱は誰も居ない.ガラ空きのバスに乗車してから暫くすると,下り電車が到着したらしく,沢山の登山客がドヤドヤと乗ってくる.忽ちの内にバスは満席になる.超韋駄天のS藤さん,韋駄天のTさん,大三郎さん,ゲザンシュタインさん,鵠沼の貴婦人,M田さん,K井さん,ホッシーさんなど多士済々のご常連乗り込む.
バスは7時丁度に大倉に到着する.
バス停から,白い雪を被った表尾根の稜線が見えている.
<雪を被った表尾根の稜線>
■雑木林に射し込む朝日
7時10分,大三郎さん,ゲザンシュタインさん,鵠沼さん,韋駄天にTさん達と一緒に大倉から歩き出す.
例によって,皆さんの歩き出しの速度が速いので,付いていくのに閉口するが,まあ私にも歩ける程度の速度なので,付いて行くことにする.
いくら気温が低くても,春がもうすぐそこまで来ていることが,随所で感じられる.第一に夜明けが随分と早くなったことである.一寸前までは,バスが大倉に到着する頃,ようやく日が昇っていたが,この頃では,私が東海道本線の電車に乗っている間に夜が明けてくるようになった.
それに,登山を開始して直ぐに気がつくのは雑木林に射し込む朝日がとても明るく輝くようになったことである.朝日に輝く早期林を見上げながら,私は.
“ああ…良いな,素晴らしいな・・・”
を心の中で繰り返す.
<雑木林に射し込む朝日>
■堀山の家の“なっちゃん”
たまたま居合わせたご常連と前後しながら,登山道を登り続ける.
そろそろ雑事場ノ平に差し掛かる頃,堀山の家の“なっちゃん”に追い付く.背中には重そうで大きな荷物を背負っている.
“あら,皆さんお揃いで…”
と私達に挨拶する.
私は心の中で,
“たまには下山途中で堀山の家に立ち寄ってみるかな…”
と思いながら歩き続ける.
7時36分,雑事場ノ平を通過する.この辺りから常連の列が少しずつバラケ始める.
<堀山の家の“なっちゃん”と一緒になる>
■見晴階段
やがて見晴階段に差し掛かる.
今日は休日.沢山の登山客が訪れている.坂を見上げると登山客の列が続いている.
大三郎さんとその跡に続く韋駄天のTさんが,常連の列から飛び出す.そして次第に他の常連との間が開き始める.私は先頭のお二人に付いていこうか,それとも後ろの常連の皆さんと一緒に行こうか迷うが,
“まあ,取りあえずは先頭のお二人に付いていこう・・・”
と決める.
見晴階段を過ぎてモミジ坂に差し掛かると,昨日降った雪で木道が白くなっている.後ろの常連の皆様との距離が大分開いてしまったが,そのまま歩き続ける.
<見晴階段>
■沸き上がる雲が流れる表尾根
一本松を過ぎて駒止階段に差し掛かる.
足の遅い一見(いちげん)の登山者数名が列になっていて前がつかえている.
“進路を譲ってくれればいいのに・・・”
と私は内心でブツブツ.
その内に堪えきれなくなって,駒止茶屋の少し手前,階段の幅が広くなったところで,一気に追い抜く.そして,8時18分に,駒止茶屋を通過する.大倉を歩き出してから既に1時間08分経過している.
“前回より4~5分遅いな~ぁ…”
と自己評価.
進行方向右手を見ると,下界から雲が沸き上がって,表尾根の山々に掛かっている.何とも言えない美しい風景である.この風景を眺めながら,今日はラップタイムより美しい風景写真を撮ることを優先して登ることにしようと心に決める.
<千切れ雲が美しい表尾根>
■富士山が何とか写る馬鹿カメラ
堀山の尾根をノンビリ歩く.足許は凍結した泥濘の上に昨日の新雪がうっすらと覆っている.多分,下山するときには,どうにもならないほどの泥んこ道になっているだろうなと想像しながら歩き続ける.
やがて,富士山が良く見える場所に到着する.久々に快晴の空に聳える富士山を拝む.勿論,ここでいろいろ条件を変えて数枚の写真を撮影する.その中の一枚が下の写真である.私の持っている馬鹿カメラにしては,まあ,まあ,良く撮れているなと自分でも思う.
写真をいじくっている間に,先行のお二人より,一旦,私の方が先頭に出ていたが,ここでサッサと追い越される.
後ろから来る常連を待とうかとも思ったが,姿が見えないので,すぐに先行のお二人の後を追う.
<堀山からの富士山>
■青空が目映い萱場平
8時35分,堀山の家を通過する.
小草平のベンチからも富士山が良く見えている.堀山の家を通過すると徐々に残雪が増え始める.登りではアイゼンは不要かとも思ったが,途中でアイゼンを装着する.アイゼン装着の所要時間は高々4~5分程度だったが,その間に前方を行くお二人の姿は全く見えなくなる.そして,この辺りからは私の一人旅になる.
9時丁度に萱場平を通過する.前方には抜けるような青空と雪で覆われた山肌が見えている.
<萱場平>
■雪に覆われた花立山荘
萱場平を過ぎてから,自分の体調がどうも思わしくないなと自覚する.そういえば,今朝方から時々咳が出る.丁度,ピーナッツを細かく砕いて気管支にばらまいたような感じがずっとしている.
“どうやら,珍しく風邪気味だな…”
私は一層無理をしないように体をかばいながら登り続ける.
後7分坂の手前で,下山してくるKシゲさんとすれ違う.
「やあ,やあ,FHさん…」
と言いながら両手を私の方にさしだして,私を引っ張り上げる.有り難い!
後7分坂を8~9分掛けて,やっと登って,9時25分,花立山荘に到着する.大倉からの所要時間は2時間15分と冴えない.それに堀山の家からの所要時間が55分も掛かっている.これは最悪.
山荘前から,少し雲が湧いているが,相変わらず富士山が見えている.
山荘前のベンチでは,数名の登山客が休憩を取っている.
<花立山荘>
■花立山からの眺望
花立山荘から花立山を目指して登りつづける.途中で下山してくる超韋駄天のS藤さんとすれちがう.花立山山頂付近からは富士山と南アルプスの山々がとても良く見えている.
こんな素晴らしい風景の所では,ラップタイムなど気にしていられない.私は花立山から見える風景を一回りデジカメに収める.
<花立山からの眺望>
■今日もチャンピョンが行く
花立山で写真を撮っていると,チャンピョンが降りてくる.
「…ちょうど塔ノ岳登頂4****回目ですよ..これからもう一度登りますよ…」
と意気盛んである.まさに超人である.
<花立山山頂でチャンピョンに会う>
■金冷シから上は深い雪
あちこちで写真を撮りながら,のそのそと登り続ける.
大量の根雪の上に,昨日の新雪が降り積もっている.深雪を踏むとギシギシと音を立てる.階段は殆ど雪の中.私は雪国信州育ちである.雪道を踏むと嬉しくなってくる.
<金冷シから上は深い雪の世界だ>
■抜けるような青空に塔ノ岳山頂
9時58分,ようやく塔ノ岳山頂に到着する.今日の大倉からの所要時間は2時間48分.冴えないが,ピーナッツをまぶしたような咳をしながら登ったんだから,まあ,良しとしよう.
山頂は深雪で真っ白.風がないので,それほど寒いという感じはない.抜けるような青空が素晴らしい.山頂の気温はマイナス5.4℃.
山頂で休憩を取っている登山客も多いようである.
私は四方八方に写真を撮るという儀式を済ませる.そうこうしていると,臨時バスで来られたK大Nさんが山頂に到着する.
<塔ノ岳山頂>
■ご常連で一杯の尊仏山荘
尊仏山荘に入る.ご常連で賑わっている.
今日の小屋番はオーナーのHさんと新人のお二人.例により300円也のお茶を所望する.正に千客万来とはこのような状態のことを言うんだろうなと勝手に想像する.
お互いにネーベンを分かち合いながら,雑談にふける.これこそ塔ノ岳登山の醍醐味である.
10時を大分廻った頃,後の常連グループが到着する.
今日は,華伊達美弥雄さんにはお目に掛かれなかったが,来週水曜日のお楽しみと言うことにしておこう.
<ご常連で賑わう尊仏山荘>
■花立階段のシカ
10時37分,アイゼンを装着して下山開始.
たまたま同じ時刻に家山を開始した三角髭のTさん,F田さん,M田さん,K井と同行する.一時は.アイゼンを装着した私がかなり先行するが,やがて追い付かれる.
11時01分,花立山荘を通過する.
後7分坂で,私がシカの写真を撮っている間に追い抜かれてビリカスになる.
その後も前後しながら下り続けるが,萱場平で私がアイゼンを脱着している間に,皆さんの姿は見えなくなる.ここからは全くの一人旅になる.
<花立階段のシカ>
■堀山の家のコーヒー
全くの一人旅になると,何だかホッとした気分になる.私は実にノンビリとした気分で,自分勝手の速度で下り続ける.
11時37分,堀山の家に到着する.ひょっとしたら先ほどまで一緒だったグループが立ち寄っているかなと思いながら,堀山の家に入る.
「皆さん,立ち寄らずに下山しましたよ・・・」
とのこと.
何となく疲労感のある私は,ここでコーヒーブレーク.一寸したお菓子が付いて300円也のコーヒーはなかなかお値打ちである.
「これも,どうぞ・・・」
ということで,小さな菓子包(写真の左)を頂戴する.
なっちゃんのお話しによると,Y内さんが,5~6分前まで,堀山の家に居られたとのこと.
雑談の序でに,私が会員になっている神奈川美術協会の公募展開催案内を“なっちゃん”に差し上げる.
「丁度良い・・・(小屋の)表に掲示板を作りましたので,貼っておきましょう・・・」
とのこと.実に有り難い.
雑談をしていると,K大Nさんが,小屋の前を通過していくのが見える.
「あの方,いつも靴をとても綺麗にしてらっしゃいますね…」
と女性らしい観察眼を披露する.
“そういえば,K大Nさんと大三郎さんの靴は何時も綺麗だな”
と私は心の中で再認識する.
<堀山の家のお値打ちコーヒー>
■K大Nさんと一緒に下山
12時03分,堀山の家を出発する.
一人旅の気楽さから,あちらこちらの写真を撮りながら,マイペースで下山し続ける.
堀山の尾根は,登りで建てた予想に違わず,大変な泥濘である.これも春の風物詩と言ってしまえばそれまでだが,なんとも閉口する.
12時22分,駒止茶屋を通過する.
駒止階段を下りきるところで,K大Nさんに追い付く.袖ふれあうも何とやらで,ここから大倉まで,あれこれと雑談しながらご一緒する.
毎回,塔ノ岳に出掛けるときには,出掛けるのを躊躇するとお話しすると,K大Nさんも同じだという.
「その点,毎日登られる韋駄天のTさんは大したものだと感心しますよ…」
これには私も全く同感.
モミジ坂で,20人ほどの団体とすれ違う.
「ミロクの方ですか・・?」
「いえ,塔ノ岳へ行きます・・」
と話がかみ合わない.伺うとわざわざ新潟から来られたとのこと.
「塔ノ岳山頂は新雪で綺麗でしたよ・・・」
と言ってから,
“雪国の新潟の人に’雪が綺麗ですよ’なんて言っても,何にもならないな”
と気がつく.
その他,安倍首相のこと,某暴走老人のことなど,話題は多岐に亘ったが,政治向きことはこのブログに相応しくないので触れない.
その内に,
「13時38分のバスに乗りましょう・・・少し急ぎましょう」
とK大Nさんにせかされる.異論はないので,少し歩行ピッチを上げて,13時22分に大倉に到着する.
■何だか手足が冷える
その後,渋沢駅では小田原までノンストップの電車に,小田原からは快速アクティに上手く接続する.大船でもコーヒーを飲みたいとも思わずに,15時過ぎに帰宅する.
帰宅後,例によって登山着の洗濯を済ませ,熱めの風呂に入る.
そこまでは良かったが,風呂に入っても,どうも暖かくなったという気がしない.さらには何時もの塔ノ岳詣でに比較すると,随分と疲れた感じがする.
”ム,ム,・・・風邪を引いたかな?”
私は夕食を済ませてから,直ぐに床に入ってしまう.でも,足先が冷える感じが中々抜けない.マイッタナ!
そして,17日の朝を迎える.
多少,咳は残っているものの,どうやら体調は回復しているようである.
“大事に至らなくて良かった…でも,これからは,一層,体調には気を配らなければ…”
<ラップタイム>
7:10 歩き出し
7:34 観音茶屋
7:50 見晴山荘
8:18 駒止茶屋
8:58 堀山の家
9:00 萱場平(※途中でアイゼン装着)
9:25 花立山荘
9:40 金冷シ
9:58 塔ノ岳山頂着(-5.4℃)
10:37 〃 発
10:50 金冷シ
11:01 花立山荘
11:15 萱場平(11:21までアイゼン脱着)
11:37 堀山の家(12:03までコーヒーブレーク)
12:22 駒止茶屋
12:43 見晴山荘
13:04 観音茶屋
13:22 大倉 着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:10
塔ノ岳 着 9:58
(所要時間) 2時間48分(2.80h)
水平歩行速度 7.0km/2.80=2.50km/h
登攀速度 1269m/2.80h=453.2m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 10:37
大倉 着 13:22
(所要時間) 2時間45分(2.75h)
水平歩行速度 7.0km/2.75h=2.55km/h
下降速度 1269m/2.75h=461.5m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/813e40bd6fbcf6cb18168d9c924563a0
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/2b10baa992e7cc4e8185dd245e316b45
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外が相当な強風だったのでヤバイと思い退散して休養してました
土曜日は冷たい風と寒気と新雪で底冷えして身体を冷やされたのだと思います
木曜日から中一日で行く、常連の皆さんには煽られますよネ(私のことです)
早く、体力を回復させて、水曜日の塔ノ岳詣でを楽しみにしています!!
早くの回復を祈ります