鹿とネコが出迎える春の
丹沢:塔ノ岳(大倉尾根)
(単独山行)
2007年3月6日(火)
ウイルヘルム山登頂から帰国して,瞬く間に2週間が過ぎようとしている。その間,幕山,三浦アルプスなどの山行に参加したものの,肝心の塔ノ岳には2月21日に登っただけで,暫くの間,ご無沙汰していた。
3月6日,朝から晴れで暖かいようである。例によって,突然,塔ノ岳へ登ろうと思い立った。
5時10分,家を出る。随分と暖かい。それに何となく辺りが薄明るくなっている。小田原に到着する前に朝日が昇ってくる。日が短い頃は,大倉行のバスに乗って,大倉入口を過ぎる頃に,やっと日が射してきた。わずか1~2ヶ月の間に,随分と早く夜が明けるようになったなと実感する。
小田原,渋沢を経て,定刻7時26分に大倉バス停に到着する。何時もは平日でもこのバスには登山者が6~7人乗っているが,今日は何故か3人しかいない。こんなに天気がよいのにどうしてこんなに少ないのだろうか。
軽くストレッチをした後,7時38分に大倉バス停から歩き出す。今日は,登攀速度の上限を650メートル/時程度に押さえて歩いてみたいと思っている。どんな結果になるか大変興味ある。汗をかかないように注意しながら歩き続ける。それでも,観音茶屋を過ぎる辺りで,同じバスに乗り合わせた登山者全員を追い抜く。昨日まで降っていた雨で,足下が濡れている。石を敷き詰めた場所は滑りやすくなっている。私の前後に登山者が誰も居ない登山道をひたすら歩く。
8時10分,見晴茶屋を通過する。ここから長い坂を登り詰めて,8時26分に一本松,そしてなだらかな尾根道を経て,再び坂道を登って,8時46分に駒止茶屋を通過する。
トラバース道で鹿の親子に会う。黒い瞳でこちらをジッと見詰めている。実に可愛い。私からほんの5メートルぐらいしか距離がないが逃げる様子もない。思わず写真を撮る。
<可愛いシカの親子>
やがて登り坂から平坦な尾根道に入る。このコースの中で,この辺りが最も気持ちの良い場所である。登山道の両側には,枯れ木を通して丹沢の山々がとても良く見える。雪で真っ白な富士山がクッキリと見えている。
正面に富士山を見ながら,8時55分,堀山の家を通過する。ここから花立小屋までが,このコース最大の難所である。長い階段が続く。ともすれば登攀速度が700メートル/時を越えそうになる。これではバテてしまうので,600メートル/時程度に押さえる。
9時11分に花立小屋を通過する。広場のベンチに何時も数名の登山客がいるが,今日は誰も居ない。花立小屋の広場から,大きくて真っ白な富士山がクッキリと見えている。花立小屋を通過して,ほんの少しの間,登り坂を進むと,見晴らしの良い尾根道になる。ここが何時も写真を撮るチェックポイントである。残念ながら南アルプスは,もくもくと沸き上がった層雲に視界が遮られて良く見えない。富士山の山麓にも白い雲が湧き始めている。
9時46分に金冷しを通過する。今日はこの辺りから疲労感を感じ始める。山頂直下の登りでは,かなりのペースダウンになる。どうも体力の配分がうまく行っていないようである。
<塔ノ岳山頂からの今日の富士山>
10時02分,塔ノ岳山頂に到着する。山頂には誰も居ない。気温は+5.0℃で暖かい。登攀所要時間は2時間24分。どうも調子が出ない。ただ,山頂には冷たい風が吹いている。寒いのですぐに尊仏山荘に入ることにする。山荘の入口に近付くと,この小屋の愛猫「みー君」が私に近寄ってくる。ミー君は,私が山荘の扉を開けるのを待っている。その仕草がとても可愛い。そして私より先に小屋の中に入る。
<尊仏山荘のミー君>
客は私1人である。1杯400円也の甘酒を注文する。今日の小屋番は「髭さん」である。私が,
「・・・後沢乗越が暫くの間通行止めですね・・・」
と話しかける。
<後沢乗越通行禁止の案内>
実は,今年の3月1日から8月31日まで,後沢乗越周辺の間伐作業で,通行止めになる(4月28日から5月6日を除く)。従って,大倉から鍋割山に登るには,小丸経由でしか行けなくなる。私達湘南カラビナ隊も,ときどき,後沢乗越経由で鍋割山へ登り,鍋焼きうどんを賞味した後,尊仏山荘でコーヒーを賞味してから大倉尾根に降りることがある。今後暫くの間,このコースは歩けないことになる。
「・・・林野庁のやり方は全くお役所的ですよ・・・一番登山者が多いときに,人気のコースが通れなくなるので,山小屋にとっては死活問題になりますよ・・・・せめて繁忙期の5月は外してくれなきゃ・・・・鍋割山荘だけでなく,ここも影響を受けますよ・・・」
「・・・鍋割山荘の草野さんはお1人で,実に良くやっていらっしゃいますよ・・・たまたま鍋割山荘,みやま山荘では,私と同じ50歳代の人間が山小屋で頑張っています。でも,この世代が引退したら,今のままでは後継者がいないので,山小屋は続けられないですよ・・・」
小屋の雑記帳を開いてみる。中には,大倉から1時間30分で登ったというような,もの凄い記事が並んでいる。私ごとき2時間20分も掛かっている人間の出る幕がない。
10時30分に尊仏山荘を出発する。大倉発12時52分のバスに合わせて,ノンビリと下る。12時46分に大倉バス停に到着する。
[ラップタイム]
7:38 大倉歩き出し
↓
7:58 観音茶屋
↓
8:13 見晴茶屋
↓
8:40 駒止茶屋
↓
8:55 堀山の家
↓
9:32 花立小屋
↓
10:02 塔ノ岳山頂着
10:30 〃 発
↓
12:45 大倉着
■登攀・下山高度 1200m
■登攀所要時間 2:24 (2.40h)
登攀速度 1200m/2.40h=500.7m/h
■下山所要時間 2:16 (2.27h)
下山速度 1200m/2.27h=529.1m/h
(おわり)
丹沢:塔ノ岳(大倉尾根)
(単独山行)
2007年3月6日(火)
ウイルヘルム山登頂から帰国して,瞬く間に2週間が過ぎようとしている。その間,幕山,三浦アルプスなどの山行に参加したものの,肝心の塔ノ岳には2月21日に登っただけで,暫くの間,ご無沙汰していた。
3月6日,朝から晴れで暖かいようである。例によって,突然,塔ノ岳へ登ろうと思い立った。
5時10分,家を出る。随分と暖かい。それに何となく辺りが薄明るくなっている。小田原に到着する前に朝日が昇ってくる。日が短い頃は,大倉行のバスに乗って,大倉入口を過ぎる頃に,やっと日が射してきた。わずか1~2ヶ月の間に,随分と早く夜が明けるようになったなと実感する。
小田原,渋沢を経て,定刻7時26分に大倉バス停に到着する。何時もは平日でもこのバスには登山者が6~7人乗っているが,今日は何故か3人しかいない。こんなに天気がよいのにどうしてこんなに少ないのだろうか。
軽くストレッチをした後,7時38分に大倉バス停から歩き出す。今日は,登攀速度の上限を650メートル/時程度に押さえて歩いてみたいと思っている。どんな結果になるか大変興味ある。汗をかかないように注意しながら歩き続ける。それでも,観音茶屋を過ぎる辺りで,同じバスに乗り合わせた登山者全員を追い抜く。昨日まで降っていた雨で,足下が濡れている。石を敷き詰めた場所は滑りやすくなっている。私の前後に登山者が誰も居ない登山道をひたすら歩く。
8時10分,見晴茶屋を通過する。ここから長い坂を登り詰めて,8時26分に一本松,そしてなだらかな尾根道を経て,再び坂道を登って,8時46分に駒止茶屋を通過する。
トラバース道で鹿の親子に会う。黒い瞳でこちらをジッと見詰めている。実に可愛い。私からほんの5メートルぐらいしか距離がないが逃げる様子もない。思わず写真を撮る。
<可愛いシカの親子>
やがて登り坂から平坦な尾根道に入る。このコースの中で,この辺りが最も気持ちの良い場所である。登山道の両側には,枯れ木を通して丹沢の山々がとても良く見える。雪で真っ白な富士山がクッキリと見えている。
正面に富士山を見ながら,8時55分,堀山の家を通過する。ここから花立小屋までが,このコース最大の難所である。長い階段が続く。ともすれば登攀速度が700メートル/時を越えそうになる。これではバテてしまうので,600メートル/時程度に押さえる。
9時11分に花立小屋を通過する。広場のベンチに何時も数名の登山客がいるが,今日は誰も居ない。花立小屋の広場から,大きくて真っ白な富士山がクッキリと見えている。花立小屋を通過して,ほんの少しの間,登り坂を進むと,見晴らしの良い尾根道になる。ここが何時も写真を撮るチェックポイントである。残念ながら南アルプスは,もくもくと沸き上がった層雲に視界が遮られて良く見えない。富士山の山麓にも白い雲が湧き始めている。
9時46分に金冷しを通過する。今日はこの辺りから疲労感を感じ始める。山頂直下の登りでは,かなりのペースダウンになる。どうも体力の配分がうまく行っていないようである。
<塔ノ岳山頂からの今日の富士山>
10時02分,塔ノ岳山頂に到着する。山頂には誰も居ない。気温は+5.0℃で暖かい。登攀所要時間は2時間24分。どうも調子が出ない。ただ,山頂には冷たい風が吹いている。寒いのですぐに尊仏山荘に入ることにする。山荘の入口に近付くと,この小屋の愛猫「みー君」が私に近寄ってくる。ミー君は,私が山荘の扉を開けるのを待っている。その仕草がとても可愛い。そして私より先に小屋の中に入る。
<尊仏山荘のミー君>
客は私1人である。1杯400円也の甘酒を注文する。今日の小屋番は「髭さん」である。私が,
「・・・後沢乗越が暫くの間通行止めですね・・・」
と話しかける。
<後沢乗越通行禁止の案内>
実は,今年の3月1日から8月31日まで,後沢乗越周辺の間伐作業で,通行止めになる(4月28日から5月6日を除く)。従って,大倉から鍋割山に登るには,小丸経由でしか行けなくなる。私達湘南カラビナ隊も,ときどき,後沢乗越経由で鍋割山へ登り,鍋焼きうどんを賞味した後,尊仏山荘でコーヒーを賞味してから大倉尾根に降りることがある。今後暫くの間,このコースは歩けないことになる。
「・・・林野庁のやり方は全くお役所的ですよ・・・一番登山者が多いときに,人気のコースが通れなくなるので,山小屋にとっては死活問題になりますよ・・・・せめて繁忙期の5月は外してくれなきゃ・・・・鍋割山荘だけでなく,ここも影響を受けますよ・・・」
「・・・鍋割山荘の草野さんはお1人で,実に良くやっていらっしゃいますよ・・・たまたま鍋割山荘,みやま山荘では,私と同じ50歳代の人間が山小屋で頑張っています。でも,この世代が引退したら,今のままでは後継者がいないので,山小屋は続けられないですよ・・・」
小屋の雑記帳を開いてみる。中には,大倉から1時間30分で登ったというような,もの凄い記事が並んでいる。私ごとき2時間20分も掛かっている人間の出る幕がない。
10時30分に尊仏山荘を出発する。大倉発12時52分のバスに合わせて,ノンビリと下る。12時46分に大倉バス停に到着する。
[ラップタイム]
7:38 大倉歩き出し
↓
7:58 観音茶屋
↓
8:13 見晴茶屋
↓
8:40 駒止茶屋
↓
8:55 堀山の家
↓
9:32 花立小屋
↓
10:02 塔ノ岳山頂着
10:30 〃 発
↓
12:45 大倉着
■登攀・下山高度 1200m
■登攀所要時間 2:24 (2.40h)
登攀速度 1200m/2.40h=500.7m/h
■下山所要時間 2:16 (2.27h)
下山速度 1200m/2.27h=529.1m/h
(おわり)
当ブログにお立ち寄り頂き有り難うございました。
コメントを頂戴しました縁で,たけし様のブログを拝見させて頂きました。
今後とも宜しくお願い致します。