(トドさんチーム)
2007年6月6日(木)
<登山計画書と覚書>
「どうして,このような成り行きになったのだろう・・・」
と妙な気分のまま,Flower-hillは,早朝,家を出発する。
何となく成り行きで,今日は山旅スクール5期のトドさん(以下Tさん),同6期のHさん,それにTさんのお友達のIさんの元令嬢お三方と一緒に塔ノ岳へ登ることになった。私はTさん以外の方々の登山歴やその力量は余りよく知らない。それに,私は添乗員でもない。ただの素人の山好きに過ぎない。もし,余りよく知らない方とご一緒して,自分を含めて誰かが事故を起こしたらどうなる・・・こんな心配が絶えず頭の中を過ぎる。
そんなわけで,私は事前に以下のような「登山計画書」と「確認書」を作成して,参加者にお配りした。そして,今日,登山開始前に私自身のものを含めて,署名済みの「覚書」を頂戴した。
※この方式は,常日頃,湘南カラビナ隊で実施しているやり方である。
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丹沢塔ヶ岳登山計画書
(トドさんチーム)
1.開催日 2007年6月6日(水)
2.集合場所・時間 小田急渋沢駅前 7:10
3.解散場所・時間 小田急渋沢駅前 16:45頃
※当日の天候,登山道の状況によって,解散時間は大幅に変ります。
4.コース
7:16 7:28/40 12:10/12:40 16:10/16:22 16:45
渋沢=バス=>大倉→花立→塔の岳→大倉=バス=>渋沢
※コース時間は,多少の余裕を持った設定ですが,当日の気象条件
によって変わります。
5.注意事項
(1)参加人数,天候および途中の経過時間によって,コースを変更す
ることがあります。
(2)昼食,飲料水,緊急用具は,他人に頼らず,自前で事前に準備し
てください。
(3)ヘッドランプ,エリアマップ,地形図,方位磁石は必携です。
他人には絶対に頼らず,すべて自主的な判断でコース確認,安全
確認をしてください。
(4)集合から解散までのあらゆる行動は完全に自己責任です
(同行者は一切の件に関して全く責任を負わないことに合意の上,
ご参加下さい)。
6.予定通りに行動できないときに対応
(1)登攀に想定以上の時間を要した場合
13:30までに塔ノ岳山頂に到着しない場合は,そこから下山します。
(2)エスケープルート
緊急時には登山を中止し,ただちに往路を下山します。
また,状況によっては,以下の何れかのルートを使って下山します。
①戸沢分岐から戸沢
②小草平から二股
③小丸から二股
7.その他
(1)催行の確定前日(6月5日)の19:00の天気予報で,降水確率が
40%を越えた場合は山行を中止します。
(2)懇親会の開催もじ時間があれば,希望者だけで,渋沢駅付近で
30分ほどコーヒーアワーを楽しみます。
8.参加者
(氏名)(性別) (住 所) (電 話)(緊急連絡先)
*****省略*****
※プライバシー情報の扱いにご注意下さい。
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登山参加に関する覚書
私たちは楽しくグループ登山を行うために、下記の各項目を合意している
ことを、署名の上、確認いたします。なお,この覚書の有効期限は,参加者
が集合した時点から解散した時点までとします。それ以外の時間帯における
個人的行動は,各自の自主的な行動ですので,グループ登山に関する当該覚
書の適用範囲外です。
記
(1) 対象となる登山計画
①行 先 丹沢:塔ノ岳
②日 程 2007年6月6日(水)の渋沢駅集合から解散まで。
(2) 合意項目
1. 自分の行動は、100%自己責任で行うことを確認します。
2. 行動中はリーダーの指示に極力従います。
3. しかし、万一、行動中に事故があっても、その責任は自分自身にあり、
リーダーおよび他の参加者には何ら責任がないことを、事前に確認し
ておきます。
4. 前項1、2および3を、事前に家族にも徹底しておきます。万一、事
故があっても、リーダーおよび他の参加者に対して訴訟を起こすこと
は致しません。
5. 山岳保険に加入していることを、参加の条件にします。
※今回は未加入でも構いません。
6.装備については、各自自己の責任で準備します。
7.万一、行動中に事故があった場合には、互いに積極的に協力しあいます。
8.不測の事態に遭遇したときには、互いに協力し合って、事態の解決に努
力します。
以上
2007年6月6日
(署名)
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<大倉から駒止茶屋まで>
■大倉から登山開始
東海道本線大船発6時04分の静岡行に乗車する。そして,何時もの通り小田原から小田急電鉄に乗り換えて渋沢へ,さらにバスで7時28分,大倉に到着する。
本日の同行者は私を含めて4名である。しかし,リーダーが居ない山行なので,登山届けは,各自「1人で山行」という意味を込めて,1人ずつ記入して届け出をすませる。出発直前にも,同行する私は事故に対して一切責任を取らない。頼らないでくれ。全て自己責任ですよと口酸っぱく言っておく。それでも,内心では,万一事故が起きたらどうしようかと心配になる。特に帰りの下りが不安でならない。
ストレッチをしたり登山準備をしたりで瞬く間に時間が過ぎる。そして,7時43分に大倉を歩き出す。何時もの一人登山のときと違って,今日は一層の安全を意識してユックリと登るつもりである。
<大倉尾根の花々>
■雑事場ノ平
歩き出してから,30分ほどで観音茶屋を通過する(8時12分)。まあまあの時間である。足下の石がやや濡れていて滑りやすい。ここを下山するときが思いやられる。私が単独で参考するときに比較すれば,大分ユックリしたペースで登っているが,それでも毎時300~400メートルの早さで継続して登っているので,私もやや安心に思えてくる。それでも,下りのことを心配して,後から一行に絶えず,
「ユックリ歩きましょう・・・」
と言い続ける。
日差しはないものの,随分と蒸し暑い。特に雑事場ノ平で尾根筋に出るまでは,杉林に囲まれてジメジメしたトラバース道が続く。風通しが悪いので,とても蒸し暑く感じる。私は,
「もうすぐ,雑事場ノ平に出ます・・・そこからは尾根道になりますので,風が通って涼しいですよ・・・」
と皆を勇気づける。
8時31分に雑事場ノ平に到着する。備え付けのベンチに座って,暫くの間,休憩を取る。女性群のグループらしく,休憩になった途端に,リュックから色々な食べ物が出てくる。申し訳ないが,私は,皆様に配る食べ物は何も持っていない。ただ,一方的にいろいろな食べ物を頂戴することになる。
■駒止茶屋
8時41分,雑事場ノ平を出発する。ここからほんの2分ばかりは水平な尾根道を楽しむことができる。8時45分,見晴茶屋を通過する。ここからいよいよ急傾斜の上りが始まる。私は,「ユックリと登りましょう」と言い続ける。そして,9時07分にようやく一本松を通過する。皆の様子をそれとなく見ていると,Tさんの呼吸が荒れているのが分かる。
一本松を通過すると,すぐに歩きやすい平らな尾根道になる。ここを歩きながら呼吸を整えて貰う・・・・が,また直ぐに急登が始まる。ユックリ,ユックリと登るようにし向けるが,元気なGさんが,ともすれば突出しそうになる。私は何時飛び出さないように注意しようかと,内心で迷いながら登り続ける。
呼吸を荒げて,目を剥き出しにしそうなほど苦しい表情になりながら,Tさんは懸命登っている。「この方は,とても心が強いお方だな・・・」と私は心の中で感心している。
9時35分に駒止茶屋に到着する。ここで,給水のために5分ほど休憩を取る。
(つづく)